新型メルセデス・ベンツAクラスはMBUXという“新兵器”装備|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz A Class|メルセデス・ベンツ A クラス
新型メルセデス・ベンツAクラスはMBUXという“新兵器”装備
今年2月、メルセデス・ベンツのコンパクトハッチバック「Aクラス」がフルモデルチェンジを行った。外見こそAクラス登場以来の独特なレイアウトを捨て衝撃的なデビューを果たした先代からキープコンセプトだが、中身は果たしてどう変わっているのか。ジュネーブショーで実車を前にした小川フミオ氏がリポート。
Text by OGAWA Fumio
セグメントのベストを目指して
2018年2月にメルセデス・ベンツは「Aクラス」のフルモデルチェンジを行った。ライバルメーカーからも大注目されているモデルで、その理由は最新のインフォテイメントシステムにある。
2018年のジュネーブ自動車ショーでも、クルマの回りに人垣ができて、近づくのも難しかったメルセデス・ベンツの新型Aクラス。
「ヘイ、メルセデス」と呼びかけると車内の音声認識システムが働き、インフォテイメントや快適装備の操作は自動で行われる。
新型Aクラスに搭載されたのは、メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス(MBUX)と名づけられた最新のインフォテイメントシステムだ。
先代よりすっきりして、グローバルなテイストのスタイリングを与えられたAクラス。外観上の大きな特徴はフロントマスクにある。
薄いヘッドランプと大型グリルの組み合わせ。シャークノーズと同社が呼ぶ新型「CLS」のものと強い近似性を感じさせる。
「新型Aクラスはメルセデス・ベンツを変革する大きな役割をもっています」。ダイムラーのディーター・ツェッチェ会長はそう語る。
その言葉が重みを持つのは、他のモデルレンジに先駆けて新しいデザインランゲージが採用されたことと、「どのモデルよりも進んだ」と開発者が説明するMBUX搭載ゆえだ。
「エントリーカーというものは私たちにとって存在しません。つねにセグメントごとのベストを追求することがモットーです」
僕がジュネーブ自動車ショー会場でインタビューした、ストラテジー&乗用車商品戦略およびプラニング担当、ウィルコ・アンドレアス・シュタルク氏はそう語った。
「ブランド全体を若返らせようという私たちの計画の一環」だと、ツェッチェ会長も述べている。
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満載のデジタルデバイス
MBUXは7インチのタッチスクリーンとステアリングホイールのボタンで操作できる。最新のナビゲーションシステムは(欧州では)曲がり角の目標物を画像で表示するなどきめ細かい。
最初に「Sクラス」で採用された64色のアンビエントライトもオプションで用意される。シートヒーターもと快適装備も事欠かない。
しかも音声で「ブルー」といえば車内照明の色がブルーになるし、シートヒーター前席左側のみという指示も音声でできるという。
大型モニタースクリーンがドライバーの眼の前に設置されるなど、いわゆるGUI(グラフィカル ユーザー インターフェイス)も新しい。たとえば地図の表示はユニークだ。
スマートフォンと連動するアプリも多い。なかでも特筆に値するのはスマートキー。実際のキーに代わってクルマを始動できるシステムである。
一説によるといま欧州では自分のクルマを複数の人とシェアするのがトレンドなのだとか。それに課金することで、おこづかいが稼げる。面白い考え方だ。
AクラスにはさらにオプションでSクラスから下りてきた運転支援システムが搭載される。一定の距離までなら操舵も自動で行われるドライビングアシスタンスシステムを選ぶことも可能だ。
万が一の衝突の際、衝撃音による乗員の聴覚への被害を軽減するため、人間の耳の筋肉を事前に刺激するシステムも採用されている。
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大注目される新型Aクラス
欧州でのラインナップは1,332ccの「A 200」、1,991ccの「A 250」、それに1,461ccのディーゼルの「A 180 d」となる。A 200にはマニュアル変速機があるが、あとは7段ツインクラッチだ。
内容は斬新だがスタイリングは保守的だ。新型Aクラスには最近のコンパクトカーのトレンドともいえる大胆な車体の塗り分けや、造形的な遊びの感覚は乏しい。
そのぶん注力されているのは質感のようで、各部の作りはしっかりしている。スタイリングも好きか嫌いかわかれないぶん、万人ウケするだろう。
先に触れたようにこのクルマの注目度はすさまじく(会場には2台しかなかったこともあり)、ジャーナリストに加え、ライバルメーカーの技術者とおぼしきひとたちも殺到しているありさまだった。
「いま世界的にSUVがトレンドですが、いっぽうでコンパクトカーの市場も拡大しています。メルセデス・ベンツでは今後5ないし8車種のコンパクトカーを増やしていくつもりです」
前出のウィルコ・アンドレアス・シュタルク氏の言葉である。欧州での販売はまもなく始まる。試乗記は追って紹介したい。