BMW 3シリーズ クーペ&コンバーチブル|「エフィシエントダイナミクス」を具現
BMW 3 Series Coupe & Convertible|BMW 3シリーズ クーペ&コンバーチブル
「エフィシエントダイナミクス」を具現
BMWは、ヨーロッパ向け3シリーズの「クーペ」と「コンバーチブル」(日本名:カブリオレ)の2010年モデルを発表した。
文=ジラフ
ワイドになったキドニーグリル
変更点はおもにエクステリアで、ワイドになったキドニーグリルや新デザインのヘッドランプをはじめ、前後バンパー、ドアミラー、テールランプのデザインの見直しなどがあげられる。
オーバーハングをフロント29mm、リア3mm延長したことで、よりスポーティな印象となっているのも特徴だ。オプションで用意されるLEDデイタイムランニングライトの採用も、この新モデルのトピックスといえるだろう。
今回のモデルには新エンジンが搭載され、BMWの「エフィシエントダイナミクス」(より少ないエネルギーで、より高い性能を)という哲学がさらに磨きあげられたことも大きな特徴だろう。
トップグレードの「335i」の直噴3.0リッター直6エンジンは、ツインターボからツインスクロール・シングルターボに変更され、最高出力306ps/5800rpm、最大トルク40.8kgm/1200 - 5000rpmを発生。従来型のエンジンに比して最大トルクの発生回転数が100rpm低められ、0-100km/h加速はクーペ5.5秒、コンバーチブル5.8秒を記録。最高速はどちらも250km/h(リミッター作動)となる。
それでいながら、欧州複合モード燃費は11.9km/ℓ、CO2排出量は196/kmと従来よりも約8パーセント環境性能が引き上げられているのも、新エンジンの実力だ。
2種類のディーゼルユニット
エントリーモデルとして、「318i」を新設定。2.0リッター直4エンジンは、最高出力143ps/6000rpm、最大トルク19.4kgm/4250rpmを発生し、0-100km/h加速はクーペ9.1秒、コンバーチブル10.3秒となる。最高速はどちらも210km/h。欧州複合モード燃費は15.87km/ℓ、CO2排出量は146g/kmという数値を達成する。
ディーゼルについても、「325d」と「320d」の両モデルに新エンジンを搭載。「325d」には3.0リッター直6ディーゼルに可変ジオメトリーターボ、最新コモンレールインジェクションを与えられた新エンジンを採用。同ユニットは最高出力204ps/3750rpm、最大トルク43.8kgm/1750rpmを発揮する。動力性能は、0-100km/h加速6.9秒(クーペ)、7.5秒(コンバーチブル)、最高速244km/h(クーペ)、238km/h(コンバーチブル)となり、環境性能についても、欧州複合モード燃費17.54km/ℓ、CO2排出量151g/kmを記録する。
一方、「320d」に搭載される新設計の2.0リッター直4ターボディーゼルは最高出力184ps/4000rpm、最大トルク38.7kgm/1900rpmを発生。この数値は、従来型よりも最高出力で7ps、最大トルク3kgmアップしている。これにより0-100km/h加速でそれぞれ7.5秒(クーペ)、8.3秒(コンバーチブル)、最高速は237km/h(クーペ)、228km/h(コンバーチブル)となる。欧州複合モード燃費は21.28km/ℓ、CO2排出量は125g/kmという好成績をおさめている。
2010年モデルのヨーロッパ向け3シリーズ「クーペ」「コンバーチブル」に搭載されるエンジンは、計9ユニット(ガソリン5、ディーゼル4)。
クーペモデルには、4WDの「xドライブ」も設定され、335iと320dの6速MT車には新型5シリーズにも採用されたドライサンプオイル潤滑システムが搭載されているという。
日本への導入が待たれる。
BRAND HISTORY
“キドニーグリル”と丸目四灯ヘッドライトにより、ひと目でそれとわかるフロンマスクが特徴のBMW。日本の輸入車市場においても常に高い人気を誇っているが、その名前が何を意味するのか、即座に答えられるひとは意外に少ないのではないだろうか。
Bayerische Motoren Werke(バイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ)。直訳すれば「バイエルン地方のエンジン工場」という意味だ。前身だったラップ社は、カール・フリードリッヒ・ラップが1913年にドイツのバイエルンに設立した航空機用エンジンのメーカーで、おなじバイエルンの機体メーカーのオットー社と組んで、ビジネスを成功に導く。1916年にはバイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ有限会社と改称。2年後には株式会社に組織変更するとともに、バイエルンの青い空と白い雲をイメージしたプロペラのロゴマークを登録している。
その後も革新的な技術により存在感を高めたBMWだったが、第一次世界大戦の敗戦により、航空機エンジンの製造中止を余儀なくされた。そこでBWMは、もてる技術をモーターサイクルに注ぎ、1923年にはシャフトドライブの「BMW R32」を発表して注目を浴びることに。しかし、それだけでは飽きたらず、オースチンセブンをライセンス生産するディクシー社を買収。これにより自動車ビジネスの足がかりをつかみ、1929年には「BMW3/15 PS」を発売、自動車メーカーとしての歴史をスタートさせている。
ちなみに、BMWと深い関係にあったオットー社は、ガソリンエンジンの理論を確立したニコラウス・アウグスト・オットーの実の息子であるグスタフ・オットーが創立した会社。BMWが内燃機関にこだわるのは、このあたりに理由がありそうだ。