Audi S4|アウディ S4 試乗(後編) バランス感覚の良さが光る
Audi S4|アウディ S4 試乗(後編)
バランス感覚の良さが光る
アウディの主幹モデル、A4シリーズ。5月11日に発売された、そのフラッグシップ「アウディS4/S4アバント」の試乗リポート。後編では、この新世代のアウディスポーツのステアリングホイールを握り、その真価を確かめる。
文=小川フミオ写真=荒川正幸
軽快で正確無比なハンドル
果たして乗ってみると、アウディS4は、やっぱりひとことで表現したくなる。「すばらしくいいクルマだ!」と。専用デザインのヘッドレスト一体型スポーツシートに身をあずけ、プッシュスターターでエンジンに火を入れると、弾けるような音で即座にドライバーはやられる。
じつに軽い身のこなしで路上に出たかと思うと、軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで、猛然とダッシュ。ハンドルは軽快で、正確無比。そもそもベースモデルとなる現行のA4はすばらしい感覚のハンドルが大きな魅力になっていたが、性能ぶりでははるか上をいくS4では、パワフルさとの相乗効果で、ちょっとしたスポーツカーである。もちろん乗り心地はずっとしなやかなのだが。
S4では変速機にデュアルクラッチのSトロニックを採用。ギアの奇数段と偶数段用に分けた2つのクラッチを使い、変速時間を可能なかぎり短くするとともに、トルクコンバーターを用いたオートマチック特有の変速における多少のもたつき感のようなものを払拭している。クラッチペダルはなくオートマチック感覚で運転できるのだが、運転に多少慣れているひとなら、マニュアルトランスミッションを運転しているような、ダイレクトな感覚のおもしろさを感じとれるかもしれない。
アウディドライブセレクトがもたらす、さらなる至福の感覚
333psもあるし、発進時の駆動力配分が後輪に6割という設定もあって、S4のパワーに不足なし。そう思っていたが、しかしこのクルマに装備されている「アウディドライブセレクト」なるシステムを体験すると、さらなる至福の感覚が待ち受けていた。
「アウディドライブセレクト」は、エンジンパワー、ハンドルのパワーアシスト量、変速タイミング、ダンピングの硬さ、後輪左右のロッキングファクター変更を統合制御するシステム。「スポーツ」を選択すると、さらに驚くほど加速が鋭くなり、運転する楽しさは格段に上がる。
「アウディドライブセレクト」に設けられている「インディビデュアル」とは、ハンドルの重さや出力特性や乗り心地など、自分の好みに合わせてどれも独立して設定することを可能にしている。パーソナル化は欧州の高級車の重要なテーマなので、アウディも例外ではなかったということになる。
S4は軽快で良いと書いたが、それには4715mmに抑えられた全長と1825mmの全幅でわかるように、車体もコンパクトにまとめられている事実が寄与しているかもしれない。速さを追求するあまりモンスターのようなクルマになっては、普段づかいにはつらい。そのあたりはアウディのバランス感覚の良さが光る。
アウディS4 Avant
ボディ|全長4715×全幅1825×全高1445mm ホイールベース2810mm
車両重量|1830kg
エンジン|3ℓ V型6気筒+スーパーチャージャー
最高出力|エンジン:245kW[333ps]5500~7000rpm
最大トルク|440Nm[44.9kgm]/2900~5300rpm
駆動方式|4WD
トランスミッション|7段Sトロニック
価格|785万円
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