Mercedes-Benz E Class|メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗(前編)
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2015年4月17日

Mercedes-Benz E Class|メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗(前編)

Mercedes-Benz E Class|メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗(前編)

デザイン、メカニズムともに新時代へ

メルセデス・ベンツの中核モデルであり、屋台骨でもあるEクラス。今年1月の
デトロイトショーでデビューしたその最新型の日本への導入が、いよいよ目前に迫った。内外ともに大きく変わった新世代メルセデスの真価について、マドリッドで開催された国際試乗会よりモータージャーナリスト、渡辺敏史が報告する。

文=渡辺敏史写真=メルセデス・ベンツ日本

今後のデザイントレンドはレトロフィーチャー

機械としての、メルセデスベンツのステータスを後席に座って味わうだけではもったいない。すなわち、オーナーが積極的にステアリングを握るべきクルマ──。

それを多くのひとに知らしめ、今にいたるメルセデスとして、ミディアムクラス=Eクラスはそれこそど真ん中に君臨しつづけている。日本においての支持率もそれを物語っており、コンパクトクラス=Cクラスが1980年代に登場して以降も、その人気は揺らぐことがない。一時はお膝元においてトヨタ・セルシオとしのぎを削るほどの年間販売台数を記録していたと聞けば、その浸透ぶりがおわかりいただけるかと思う。

それほどの存在感があるということは、言い換えればメルセデスがこの先に目指すであろう指標が必ず垣間見えるクルマともいえる。そんなEクラスは今年、7年ぶりのフルモデルチェンジを迎えることとなった。間もなく日本にも上陸するだろうそれは、今まで慣れ親しんだメルセデスのデザインフォーマットからは一線を画した存在にみえなくもない。

昨今、欧州のメーカーではデザイナーの世代交代が激しいが、それはメルセデスとて例外ではない。これまでのペーター・ファイファーに代わり、メルセデスの新たなデザイン部門のチーフとなったゴードン・ワーグナーが全面的に指揮をとったはじめてのクルマがこのEクラスだと言われている。リアフェンダーに配された象徴的なキャラクターラインは、氏によれば、53年に登場した初代ミディアムクラスのオマージュだという。今秋の発表が噂されるAMGのスポーツモデルは初代SLがモチーフになっていると言われていたり……と、今後のメルセデスのデザイントレンドは一歩踏み込んだレトロフィーチャへと移るのだろうか。

安全運転支援のための先進テクノロジー

新型Eクラスの中身的なトピックは大きくふたつが挙げられる。まずひとつめは安全運転支援のための先進テクノロジーを積極的に採り入れてきたことだ。車間距離を維持しながら200km/h超の速度域まで全追従を可能にするクルーズコントロールはブレーキとの協調制御が一段と進み、不可避の際には衝突エネルギーを軽減するフルブレーキングも行うほどになった。

また、進行方向を照らし出すヘッドライトのアクティブ制御や、夜間の視認性を高める赤外線モニターシステム、後ろ側方からの接近車を知らせるセンサーやレーンキープアシストなど、搭載される電子制御デバイスは枚挙にいとまがない。

近未来のITS時代にも必要とされるこれらの技術は、現状では国ごとにちがう法規の関係もあってすべてが日本仕様に搭載されるかは未定だ。しかし、これまでは日本メーカー及びサプライヤーが確たるアドバンテージを築いていたと思われるところに、量産車搭載の信頼性をもってメルセデスが大きく踏み込んできたというところの意味は深い。

新型Eクラスの先進性を物語るの4気筒エンジン

もうひとつのトピックはエンジンのダウンサイジング化にある。90年代の後半以降、日本仕様のEクラスに設定されていなかった4気筒エンジンが新型Eクラスに搭載されることは間違いなく、しかもそれは1.8リッター・ターボという常識外れに小さなキャパシティのものとなっている。

欧州車が得意とする環境対応型ディーゼルで培った技術をもとに、排気量を小さくすることで物理的に燃料消費量を抑え、足りないパワーやトルクを過給器で補うという発想のそれはフォルクスワーゲンのTSIが先鞭をつけたものだ。そこにメルセデスが参入することによってヨーロッパの環境型ガソリンエンジンのトレンドは、一気にこの方向にシフトするかもしれない。もちろんよりラグジュアリーなニーズに対応するV6やV8のエンジンも用意されるが、このクルマの先進性を物語るのはやはり4気筒ということになるだろう。

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