Mercedes-Benz E Class|メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗(後編)
Mercedes-Benz E Class|メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗(後編)
白眉はやはり復活した4気筒グレード
今年1月の デトロイトショーでデビューした新型Eクラスの日本への導入が、いよいよ目前に迫った。試乗記後編では、マドリッドで開催された国際試乗会よりモータージャーナリスト、渡辺敏史が主に4気筒モデルについて報告する。
文=渡辺敏史写真=メルセデス・ベンツ日本
130km/h巡航時に13km/ℓ前後の燃費
4気筒エンジンを搭載した新型Eクラス、欧州でのグレード名「E250CGI」をマドリッドで試乗する機会に恵まれた。木目の風合いを活かしたマットブラウンのパネルが車内をナチュラルに彩るそれは、Eクラスのイメージをいい意味で裏切るほど軽快な走りを披露する。
問題の1.8リッター4気筒は極低回転域で若干押し出しの弱さを感じるものの、パワーは決して小さくはなく、この車体を走らせるに充分だ。200km/h巡航も苦もなくこなすそれは一方で、130km/h巡航時に13km/ℓ前後の燃費を示すなど、クラスを鑑みれば環境適合性も相当に高い。さすがに回してエキサイティングというタイプではないものの、回転フィールも滑らかで雑音や振動もしっかり抑えられている。
しかし試乗でさらに印象的だったのはその乗り味だ。小さなエンジンゆえ鼻先が軽く、ノーズはサクサクと向きを変えるほど軽快でありながら、直進時にはメルセデスらしいネットリと地面に張り付くような安定性を披露する。
「メルセデスライド」の真骨頂を味わえる足まわり
くわえて乗り心地も絶品だ。余程の大きなうねりをハイスピードで越えるような状況でも、車体は始終フラットに保たれ、乗員を不意に揺するようなことがない。高速道路のジョイントのように鋭利な入力をも何事もなかったようにタンッと乗り越えていくサマはお見事としかいいようがないが、それでいて、ドライバーに運転状況を実感させるような情報がつねに伝えられるあたりは「メルセデスライド」の真骨頂である。
さすがにV6やV8エンジンを積む他のグレードは軽快とはいかないが、それでも素直なコーナリングマナーと巌のごとき安定性を飛躍した乗り心地のなかに収めてある。が、新しいEクラスの白眉はやはり復活した4気筒グレードだろう。エンブレムの数字がそのままステータスに繋がった時代を忘れさせるほどの新しさと爽やかさを、このクルマは備えている。このグレードを軸に、この時代だからこそのEクラスの新しい価値観をどう訴求するのか。個人的にはそんなメルセデスのチャレンジを早く見てみたい。
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