Audi S4|試乗(前篇) ルックスだけで心が騒ぐクルマ
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2015年3月19日

Audi S4|試乗(前篇) ルックスだけで心が騒ぐクルマ

Audi S4|アウディ S4 試乗(前篇)

ルックスだけで心が騒ぐクルマ

アウディの主幹モデル、A4シリーズ。5月11日に発売された、そのフラッグシップ「アウディS4/S4アバント」がいよいよ日本の路上を走りはじめた。エンジンのダウンサイジングという新しいコンセプトに則って開発された新世代のアウディスポーツに早速試乗した。

文=小川フミオ写真=荒川正幸

楽しさを追求したスポーティモデル

このところ、ニューモデルがどれもすばらしい出来で、セールスも快調なアウディ。2009年も新型車をいろいろ投入してくれるようだ。さる3月25日に発表発売されたのは、A4シリーズのフラッグシップたるS4。4ドアセダンの「S4」(785万円)とワゴンの「S4アバント」(803万円)の2本立てで登場した。

S4とはどんなクルマか。ひとことで言えば、走る楽しさを追求したスポーティモデルだ。

エンジンは新開発の3リッターV6で、燃料直接噴射にくわえ、スーパーチャージャーが組み合わされている。最高出力333ps、最大トルク440Nmを誇る。駆動方式はクワトロシステムによるフルタイム4WD。

ダウンサイジングで燃費を18パーセント改善

先代S4は4.2リッターV8搭載の、重厚なモデルだったが、今回アウディはV6を選択することで燃費を18パーセント改善している。コンパクトなエンジンに過給することで、ハイパワーと低燃費の両立を狙うのが、いまのアウディのクルマづくりにおけるコンセプトだ。

さらに今回は新技術である「アウディホールドアシスト」なる機構を採用。これはアウディ初のリアスポーツディファレンシャル、つまり左右の後輪への駆動力配分を路面の状況に応じて変化させることで、カーブなどにおける車両の動きの軽快性を高めている。

外観上も、エアダム一体型バンパーなど専用パーツの採用と、縦のラインを強調した専用のシングルフレームグリル、そして専用ドアミラーと、A4とは一線を画している。

ようするにルックスだけで心が騒ぐ、そんなクルマがS4だ。

BRAND HISTORY
Audi(アウディ)のエンブレムは“フォーリングス”。その輪ひとつひとつが自動車メーカーのアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーを表しているのはご存じだろう。いずれもザクセン州に本拠を置き、20世紀のはじめ、ドイツの自動車産業を牽引したブランドである。しかし、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の煽りをくらった4社は、生き残りをかけて、1932年にアウトウニオンを結成。DKWがモーターサイクルと小型車、ヴァンダラーが中型車、アウディが高級中型車、そして、ホルヒがラグジュアリーカーに特化する戦略をとることになった。

しかし、第二次世界大戦の敗戦により旧東ドイツのザクセンはロシアの占領下となり、アウトウニオンは消滅。これを見越して、旧西ドイツのバイエルン州インゴルシュタットに新生アウトウニオンが設立される。BMWやメルセデス・ベンツとちがい、工場のない状況からの苦しいスタートをしいられたアウトウニオンであったが、DKWデリバリーバンなどの生産により徐々に体力をつけていった。

1964年末にフォルクスワーゲン傘下に収まったアウトウニオンは、ほどなくしてアウディの名を冠した新型車を世に送り出す。そして1969年には、ネッカースウルムに本拠を置くNSU(“ヴァンケルエンジン”の開発で知られる)を合併し、アウディNSUアウトウニオンとなり、1985年からはアウディとして現在にいたる。クワトロをはじめとするテクノロジーと、モータースポーツ活動に裏付けられたダイナミック性能、エレガントなデザイン、そして、質感の高い仕上がりが、アウディの人気を牽引している。

           
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