Aクラスベース第4のモデル

いよいよメルセデスの新型コンパクトSUV、「GLA クラス」が日本でも正式にデビューした。車名末尾のアルファベットに“A”の文字が入ることからもわかるように、このモデルはAクラスの姉妹車で、プラットフォームやパワートレーンを共用。「Aクラス」、「Bクラス」、そして「CLAクラス」につづく第4のモデルで、余談ではあるがメルセデスではさらにもう1台、このAクラス ベースの新型車の開発をおこなっているという。

GLAは、Aクラスの姉妹車であると同時に、メルセデスとしては5車種目となるSUVモデルでもあることも忘れてはならない。GLAの登場によってメルセデスは、Cセグメントからフルサイズの「GLクラス」まで、ほぼすべてのセグメントをカバーすることになる。

「Sクラス」など、プレミアムセダンのイメージが強いブランドに思われがちだが、SUVのラインナップはことのほか充実しており、さらには“キング・オブ・オフローダー”といわれる本格派「Gクラス」のイメージも伴い、競争力ある鉄壁のSUVラインナップを完成させたのだから、ライバルブランドは心中穏やかではいられないだろう。

発表会場でメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎 社長兼CEOは、オリエントブラウン カラーの「GLA」に乗って颯爽と登場。なんと任天堂のゲームキャラクターである、スーパーマリオブラザーズを伴ってステージに立った。

なぜにここにマリオが登場したかは後々わかるとして、「SUVを作りつづけて35年の歴史をもつメルセデス・ベンツの最新モデル“GLA”の発売によって、メルセデスは最も豊富なSUVラインナップも誇るプレミアムブランドとなった」と、上野社長はGLAの発売に期待感を寄せた。先に発表した6輪駆動のメルセデス・ベンツ「G 63 AMG 6×6」につづくメルセデスのSUVラインナップとして、自信をもって日本に導入するという意思がスピーチからも感じ取れるものだった。

バリエーション豊かなラインナップ 「GLA」のスタイリッシュなフォルムは、いわゆる都会派のSUVといってもいいもので、キャラクターとしてはBMW「X1」やアウディ「Q3」との真っ向勝負が予想できる。フロントのデザインから「Aクラス」にSUVのフレーバーをふりかけそれらしく仕上げた……と思われがちだが、エクステリア上での共通パーツはドアハンドルやドアミラー程度である。

実車を見れば、ボリュームアップされた力強さをもたらすボンネットのパワードームやアンダーガード、前後のフェンダーや延長されたリアのオーバーハング、全車で標準装備されるルーフレールなど、GLA独自のデザインに気づくはずだ。18インチ以上のホイールを採用したこともあり、SUVらしさと、タフなイメージもじゅうぶんに表現されている。

日本仕様となるGLAのボディサイズは、先にデリバリーを開始する「GLA 250 4MATIC」で全長4,430×全幅1,805×全高1,505mmで、ホイールベースはAクラスとおなじ2,700mm。リアのオーバーハング分、全長が拡大されている。日本のタワーパーキングにも対応する車高は、日常の使いやすさを考慮のうえで設定されたものだという。車高の制約でSUVを諦めていたユーザー層にも、アピールしそうなディメンションだ。

今回発表されたラインナップは、FFで90kW（122ps）の最高出力をもつ1.6リッター直列4気筒ターボを搭載する「GLA 180」と、4WDで最高出力155ｋW（211ps）の2リッター直列4気筒ターボを搭載する「GLA 250 4MATIC」、最高出力265ｋW（360ps）の2リッター直列4気筒ターボを搭載する「GLA 45 AMG 4MATIC」の3モデルが基本ラインナップとなる。

全車とも7段デュアルクラッチ“7G-DCT”を採用し、「GLA 45 AMG 4MATIC」にはシフトダウン時に電子制御でブリッピングをおこなうAMGチューンの7G-DCT”や、“AMG パフォーマンスエグゾーストシステム”なども搭載している。

また、「GLA 180」と「GLA 250 4MATIC」には、ベースモデルのほか、最低地上高を約180mmに設定し、オフロードでの走行性能と快適性を向上させた“オフロード コンフォート サスペンション”を採用する「Off-Road」と、AMGスタイリングを採用し標準モデルより車高を10mmローダウンさせた「Sport」グレードをそれぞれラインナップする。

つまりGLAのラインナップは、エンジンと駆動方式別で3モデルが存在し、うちAMGを除く2モデルは3グレードを有するというバリエーション豊かな構成になっているのだ。

ちなみに「GLA 250 4MATIC」と「GLA 250 4MATIC Sport」は本日よりデリバリーを開始するが、「GLA 45 AMG 4マティック」や「GLA 180」全グレードおよび「GLA 250 4MATIC Off-Road」は2014年秋以降の納車を予定している。

SUVの機能もじゅうぶんに持ち合わせる

日本発売にあたっては、コンビネーションカラーの本革シートや、アルミ調のインテリアパネル、専用エンブレムなどを採用した記念モデル「GLA 250 4MATIC Edition 1」と「GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1」を導入、「GLA 250 4MATIC Edition 1」は300台、「GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1」は600台が販売される予定だ。

両モデルともスポーティなエクステリアのほか、専用デザインのシートにくわえ、GLA 250 4MATIC Edition 1ではブラックペイントの19インチ AMG 5本スポークホイールを、GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1ではマットブラックペイントの20インチ AMG 10本スポークホイールを装着している。

SUVとしてラインナップするGLAの4WDシステムは、AクラスやCLAなどと同様に走行シーンや路面状況に応じて前後のトルク配分を100：0-50：50までのあいだで可変させる4MATICを採用している。グリップが確保されている条件の良い一般路などでは、コーナリング時など必要に応じて後輪に駆動力を分配するものの基本的にはFFで走行、燃費向上も考慮したセッティングを施している。

中心モデルと予想される「GLA 250 4MATIC」での最低地上高は150mm。本格的なSUVにくらべれば物足りない数値かもしれないが、なにしろこのクルマで本格的なオフロード走行をメインにしようとは誰も思わないはずなので、ちょっとした雪道や悪路での使用では、セダンやクーペにたいしてじゅうぶんにSUVとしての優位性があるといえそうだ。

もしもオフロードでの仕様を念頭にしているのであれば、少し待たされるが、「GLA 250 4MATIC Off-Road」という選択肢も用意されている。
こうした「4MATIC」モデルには、急勾配の下りで車速を自動制御する“DSR（ダウンヒル スピード レギュレーション）”や、ステアリングの舵角や登坂角、車両傾斜角、方位などをディスプレイ上に表示する実用性と遊び心を兼ね備えた“オフロードスクリーン”も採用。シティ派ではあるものの、SUVとしての基本はおさえているといった印象も見受けられる。

Aクラスと共通するインテリア

いっぽうインテリアは、Aクラスと共通する意匠が基本的となる。

Aクラスに比較し車高がアップし、車両後部も延長されてはいるが、パーキングアシスト リアビューカメラを標準装備するほか、スムーズに縦列駐車などがおこなえるアクティブ パーキング アシストも装備し、ドライバーをサポート。もちろん、最先端の安全を提供するレーダーセーフティ パッケージも用意している（「GLA 45 AMG 4マチック」に標準装備、他はオプション設定）。

ラゲッジルームでは、リアゲートの開閉が容易な“EASY-PACK”自動開閉テールゲートを採用。コンパクトなボディサイズながら、ラゲッジルーム容量は通常で421リットルを確保。リアシートを倒せば、最大1,235リットルにまで容量を拡大可能だ。実用的で使いやすい荷室スペースの確保も、GLAの魅力のひとつだといえるだろう。

また、前席のシートヒーターやプライバシーガラスを標準装備するなど実用性や快適性の向上にも抜かりがない。ボディカラーは新色“オリエント ブラウン”をイメージカラーに“カルサル ホワイト”や“ジュピター レッド”など全9色をラインナップ。GLA 45 AMG 4MATICには、さらに“デジーノ マグノマウンテン グレー”も専用色として用意される。

スーパーマリオとのコラボレーション

この「GLA」の導入にあたり、メルセデス・ベンツ日本では、5月30日より任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」とのコラボレーションCMをTV放送する。テーマは「GO! GLA」で、スーパーマリオブラザーズのゲーム画面から実車が飛び出してくるというコミカルでユニークなCMに仕上がっていた。冒頭登場マリオが登場したのも、このコラボレーションのためである。

それだけではない。本日発売の任天堂“Wii U”ゲームソフト「マリオカート8」にも、GLAのカートが登場する。こちらは間もなく任天堂より無料配信が開始され、今秋にはこの「GLA」カートを使用したマリオカート大会も開催されるという。6月8日までの期間限定で、六本木の「Mercedes me」の2階ラウンジで、ひとあし先にこのゲームを体験できるサービスも行っているので、興味のある方は足を運んでみて欲しい。

最後になったが、価格は「GLA 180」が344万円、「GLA 180 Sport」と「GLA 180 Off-Road」が399万円、「GLA 250 4MATIC」が459万円、「GLA 250 4MATIC Sport」と「GLA 250 4MATIC Off-Road t」が499万円、「GLA 45 AMG 4マチック」は7,30万2,000円となっている。ローンチエディションの「GLA 250 4MATIC Edition 1」は549万円、「GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1」は810万円という設定である。

Mercedes-Benz GLA 180｜メルセデス・ベンツ GLA 180
ボディサイズ｜全長 4,417 × 全幅 1,804 × 全高 1,494 mm
ホイールベース｜2,699 mm
エンジン｜1,595cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力｜ 90 kW（122 ps）/ 5,000 rpm
最大トルク｜200 Nm（20.4kgm）/ 1,250-4,000 rpm
トランスミッション｜7段オートマチック（7G-DCT）
駆動方式｜FF
タイヤ 前/後｜235/50R18 / 235/50R18
価格｜344 万円

Mercedes-Benz GLA 250 4MATIC｜メルセデス・ベンツ GLA 250 4マティック
ボディサイズ｜全長 4,430 × 全幅 1,805 × 全高 1,505 mm（1,510 mm ナイトパッケージ装着時）
ホイールベース｜2,700 mm
トレッド 前/後｜1,555 / 1,545 mm
重量｜1,570 kg（1,600 kgパノラミックスライディングルーフ（オプション）装着時）
エンジン｜1,991 cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力｜ 155 kW（211 ps）/ 5,500 rpm
最大トルク｜350 Nm（35.7kgm）/ 1,200-4,000 rpm
トランスミッション｜7段オートマチック（7G-DCT）
駆動方式｜4WD
タイヤ 前/後｜235/50R18 / 235/50R18
燃費（JC08モード）｜14.0 km/ℓ
価格｜459 万円

Mercedes-Benz GLA 45 AMG 4MATIC｜メルセデス・ベンツ GLA 45 AMG 4マティック
ボディサイズ｜全長 4,455 × 全幅 1,804 × 全高 1,479 mm
ホイールベース｜2,699 mm
エンジン｜1,991 cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力｜ 265 kW（360 ps）/ 6,000 rpm
最大トルク｜450 Nm（45.9kgm）/ 2,250-5,000 rpm
トランスミッション｜7段オートマチック（7G-DCT）
駆動方式｜4WD
タイヤ 前/後｜235/45R19 / 235/45R19
価格｜703万2,000円

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