アウディ A1スポーツバックに試乗!|Audi
Audi A1 Sportback|アウディ A1 スポーツバック
アウディが放つ4ドア版コンパクト
A1 スポーツバックにスペインで試乗
デザイン志向が強くて、かつ使い勝手のよいサイズで人気のアウディA1。2ドアハッチバックのみだったラインナップに、4ドア「A1スポーツバック」がくわわった。2011年の東京モーターショーで発表された、コンパクトでスポーティなこのモデルがいよいよ発売開始。さきごろ、スペインで国際試乗会が開催された。
Text by OGAWA Fumio
ターゲットは都会に住む若いファミリー
「運転して楽しいことが特徴です」。世界各地からのジャーナリストを集めたプレゼンテーション会場で、アウディ本社の広報担当者はそう切り出した。場所は、スペイン地中海沿いのリゾート、コスタブラバ。空港に隣接した駐車場に立派な会場を設営するやり方は、アウディが得意とするものだ。
「A1スポーツバックの4ドアはあたらしい機能といえるものです。ターゲットは都会に住む若いファミリーが中心で、先行発売しているA1に、日常での使い勝手をくわえました。日本やラテン諸国で評価されるでしょう」とプロダクトマーケティングを担当したサンドラ・ゲレス氏は話す。
ボディサイズは全長3954×全幅1746×全高1422mm。A1(2ドア)と比較すると、全高で6mm、全幅で6mm拡大しているのみで、コンパクトなサイズは変わらない。日本で用意されるエンジンは、122psの最高出力をもつ1.4リッターターボユニット。Sトロニックとよばれるデュアルクラッチ式の7段トランスミッションが組み合わせられる。
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A1 スポーツバックにスペインで試乗(2)
コンパクトクラスでは類のない高級感
会場の駐車場には、サモアオレンジ、スクーバブルー、ミサノレッド、グレシアホワイトと、異なるボディ色のA1スポーツバックがずらりと並べられ、壮観だった。A1・2ドアと大きく異なる外観上の特徴は、ルーフのデザイン処理で、コントラストルーフと呼ばれるボディと異なるアクセントカラーを使う手法が、2ドアではピラーのみだったのが、スポーツバックではルーフ全体に及んでいるのだ(オプション)。
Bピラーを約230mm前進させ、同時にルーフを約80mm延長して、後部座席の居住空間を拡充しているというが、2ドアと4ドアのイメージはかなり近い。パーソナルな雰囲気の強い2ドアを重視する市場と、街中での使い勝手など機能を優先する市場との、2つを視野に入れてのマーケティング戦略によるものだろう。
「狭い駐車場での使い勝手が増している」(プロダクトマーケティング担当のサンドラ・ゲレス氏)というように、前席ドアは240mm短くなっており、前席に話を限定するなら、乗りこむのに多少の窮屈感はある。内部に入ると、合わせ目のきれいな合成樹脂によるパネルと、メタリックな表面処理が美しいコントロール類が、このサイズのクルマでは類のない高級感を感じさせる。
「A1はもっともコンパクトなアウディですが、ファミリーの一員であることはなにより大事なので、素材や作りのクオリティには徹底的にこだわりました」。デザインを担当したユルゲン・レフラー氏が話すとおりだ。かつ、オプションによって、2トーンカラーのシート地や、センターコンソール、ドアのアームレスト、エアベント(空気吹き出し口)にもアクセントカラーを入れることができる。試乗車ではこのオプションが装着されていたが、たしかにクルマの本質ではないが、気分が浮き立つ、なかなかよい装備だと感じられた。
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走りだしてすぐわかる軽量ボディの恩恵
フルモデルレンジをみると、燃費志向がより強い1.2リッターから、スポーティな185psの1.4リッターツインチャージャーまで、キャラクターは多岐にわたる。同時に1.6リッターと2リッターのターボディーゼルが用意されており、欧州での販売のメインはこちらになると思われる。
140psの1.4リッターTFSIには気筒休止システムが装着されていた。高速など走行が一定になると、第2と第3、ふたつの気筒用のカムがずれてバルブの開閉を休止。それによって燃費を向上させるという機構だ。「よほど注意ぶかくしていても、気筒の休止と作動はわからないと思いますよ」とA1スポーツバックの技術開発を担当したヨルグ=ウルス・フックス氏は言う。
実際には、計器盤に備わっている燃費計をみていると、たとえば高速道路で100km/hていどで巡航しているさい、消費燃料が「4リッター/100km」(リッター25kmという意味)と出ているのが、気筒休止すると「2リッター/100km」(リッター50km!)となる。「日本市場への導入は未定」とアウディ ジャパンでは話している。
燃費向上は、ウルトラとアウディが呼ぶボディ構造でも核になる目的だったという。シャシーでは、ストレスのかかりぐあいを綿密に解析したうえで、超高張力鋼板など、軽量化と強度とをバランスさせている。同様の軽量化技術は、トランスミッションやエンジン本体にも及び、4ドア化でも25kgの重量増でとどまっている。
軽量ボディの恩恵は、走りだしにすぐわかる。クラッチがつながった瞬間、クルマは軽やかに滑り出すように走るからだ。加速性も気持ちよく、地中海ちかくをいく高速道路でも山間部のワインディングロードでも軽快に走る。コスタブラバは夏のリゾートなので冬は閑散としており、テストドライブには向いていたが、シーズン盛りはそれはそれで、A1のようにデザイン志向の強いモデルは映えそうだ。
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静粛性の高さが印象的
試乗したのは、86psの1.2TFSI(5MT)にはじまり、140psの1.4TFSI(Sトロニック)、143psの2.0TDI(6MT)だ。全体に共通するのは、静粛性の高さ。かなりの高速でも風切り音は低く抑えられている。
1.4TFSIはエンジンがよく吹けあがり、排気音もそれなりに聞こえてくる演出で、積極的にドライバーを楽しませようという意図が感じられる。17インチタイヤ装着で、やや乗り心地は硬く、運転が好きなひとには、とくにいいだろう。Sトロニック トランスミッションの反応も早く、オートマチック感覚で、マニュアルのダイレクト感と経済性の両立をはかるという考えかたがよくわかる。
2リッターディーゼルは230Nmという太いトルクをもつのが特徴で、1000rpmで走ることができる。ディーゼルの燃費がよいゆえんだ。同時に高速では、100km/hで1200rpmていどなのでやはり静粛性の高い走行が可能だ。トルクの太さは加速の俊敏性につながる。もりもりと力を出しながら、車体を加速させるフィールは、ガソリンとはまたちがう気持ちよさだ。東京でも欲しいと思われるモデルである。
そして、今回うれしい発見が1.2TFSI。ポロでもおなじみのエンジンだが、よくできている。加速性もいいし、スペインの空いた道ではとくに実用性充分。かったるさはいっさいない。同時に、乗り心地がよく、タイヤのゴツゴツ感は皆無。やわらかいかんじで快適な走行が楽しめる。ストップ&ゴーが多いと、アクセルペダルを多めに踏みこむことで燃費に影響が出るかもしれないが、混雑した都会で使うのでなければ、こちらもいいチョイスだ。
日本に導入されるのは、現在A1 2ドアでおなじみ122psの1.4リッター4気筒インタークーラー付きターボ装着モデルになる予定という。こちらは今回試乗車が用意されていなかったが、重量増がわずかであることなどを考慮すれば、おそらく楽しい操縦性をもったモデルになるだろう。
Audi A1 Sportback|アウディ A1 スポーツバック
ボディ|全長3954×全幅1746×全高1422mm
エンジン|1.4ℓ 直列4気筒+インタークーラー付きターボチャージャー
最高出力|90kW[122ps]5000rpm
最大トルク|200Nm/1500~4000rpm
駆動方式|FWD
燃費|4.6~6.5ℓ/100km
CO2排出量|122g/km
トランスミッション|7段Sトロニック
価格|未定