Mercedes-Benz C-Class|メルセデス・ベンツ Cクラス 試乗
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2015年4月22日

Mercedes-Benz C-Class|メルセデス・ベンツ Cクラス 試乗

Mercedes-Benz C-Class|メルセデス・ベンツ Cクラス

2000カ所の変更を受けた新型Cクラスに試乗(1)

メルセデス・ベンツ Cクラスが、マイナーチェンジを受けた。「マイナー」といっても、パワートレイン、安全装備、機能装備など、変更は2000カ所におよぶという。C200とC250に試乗したジャーナリスト 小川フミオがその真価について語る。

文=小川フミオ

新開発のV6を積んだC350をふくむ充実のラインナップ

メルセデス・ベンツ Cクラスが大幅なマイナーチェンジを受け、2011年5月30日より日本で販売開始された。ラインナップは、1.8リッター4気筒ターボエンジン搭載のC200とC250(セダンとステーションワゴン)、くわえて今回から新開発の3.5リッターV6エンジン搭載のC350(同)が設定された。ラインナップは下記となる。

・C200ブルーエフィシエンシー・ライト(セダン399万円/ステーションワゴン419万円)
・C200ブルーエフィシエンシー(セダン440万円/ステーションワゴン460万円)
・C200ブルーエフィシエンシー アバンギャルド(セダン492万円/ステーションワゴン512万円)
・C250ブルーエフィシエンシー アバンギャルド(セダン567万円/ステーションワゴン587万円)
・C350ブルーエフィシエンシー アバンギャルド(セダン680万円/ステーションワゴン700万円)

今回はこのなかから、C200ブルーエフィシエンシー アバンギャルドと、C250ブルーエフィシエンシー ステーションワゴン アバンギャルドに試乗した。会話形式で、あたらしいCクラスとはいかなるクルマかを、浮き彫りにしていこう。

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2000カ所の変更を受けた新型Cクラスに試乗(2)

小排気でもパワフルな走りを実現させる7段AT

──Cクラスは販売好調。2007年に204型と呼ばれる現行モデルを発売して以来、セグメントでのシェアはナンバーワン。わが国のメルセデス・ベンツ車の販売台数において約3割を占める中核モデル。好調なのになぜわざわざ「2000カ所」というほど手を入れるの?

ここで失速してはならないから。競合メーカーは製品力を強化している。たとえばギアのさらなる多段化。そこでメルセデスも、C200とC250にも7段ギアを搭載した。理由は、上のほうのギア比を下げ、高速でさらなる燃費をかせぐこと。もうひとつは、エンジンの小型化とターボチャージャーの力をフルに活かせるエンジンの回転領域をうまく使うため。走行状態に応じて適切な回転数を選ぶには、なるべくギアの枚数を多くして、かつこまめな制御をするのがよい。

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──日本ではエコカー減税の対象車になった。

購買層の興味はそこに向いているということ。いま「ライト」といって、プリセイフなど装備の一部を省略して、そのぶん価格を下げたC200の販売が伸びている。中心価格帯は400から600万円というCクラスの販売をさらに拡大するために、400万円を切る価格の「ライト」は重要な戦略車種。そこに惹かれる層にはとりわけエコカー減税による価格のさらなるディスカウントは、大きな魅力に映るはず。日欧ともに、今回のマイナーチェンジは意味をもっている。

──7段になった意味は感じた?

長距離を走っていないので燃費の点ははっきりしないが、ドライバビリティは上がっていると感じた。エンジンのトルクをより効果的に活かせるようになった。C200もおどろくほど俊足。ギアセレクターの根本に、EモードとSモードの切り替えスイッチが設けてある。Eモードでも悪くないけれど、Sモードはアクセルペダルの踏み込み量が少なくても、はじけるようにクルマが加速する。これで1.8リッター?と驚くほどパワフルさが感じられる。C250ではさらにパワフル。150kWのパワーを活かしきっているというかんじだ。このエンジンはいい! 1.8リッターターボでこんなにもパワフルで楽しいモデルになっているのには感心する。インプレッションの詳細についてはのちほど述べたい。

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2000カ所の変更を受けた新型Cクラスに試乗(3)

さらに上質さが増したインテリア

ボディは、空力値が「世界最高レベル」とメルセデスは言う、Cd値0.26を達成するためにパネル形状や小さな空力付加物にいたるまで、細かく手が入れられている。大きく目を惹くのは、ヘッドランプとリアコンビネーションランプのデザイン変更。とくにヘッドランプは変形の、いまのメルセデスファミリーのアイデンティティを強調する形状になった。内部にはLEDランプをCの字に並べるなど小技を効かせている。個人的には、従来のほうが好ましいが、慣れの問題か。フロントグリルは、大きなスリーポインテッドスターを中央にすえたものがスタンダードに。販売台数のうち2割しか占めていなかった、いわゆるエレガンスグリルはオプション扱いになった。

──インテリアの質感が上がったのも強調されている。

ダッシュボードが新設計に。コストがかかっているのがひと目でわかる。ドア内張などいわゆるアップホルスタリーの部分の上質感が増している。ハンドルにしても、グリップ形状といい、触感といい、ぐっとよくなった。細かい点だが、ドライバーとクルマの重要な接点なので、ここに目配りするのは大事なことだ。

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メーターパネルのデザインが変更されたことにくわえ、カーナビゲーションなどに使うCOMMANDディスプレイとメルセデスが呼ぶモニター画面が収められている。とくに今回は、携帯電話をつうじて、グーグルなどの検索ができるようになっている。ただし走り出すと使えなくなる。輸入元によると、「安全のために自社のガイドラインに従った結果。それでも操作できる内容を以前よりは増やしている」と言う。この点では国産メーカーが用意している、オペレータとつながるシステムに大きく軍配があがる。こればっかりはインフラ投資にそこまで資金を投入できない輸入車にとってツライところだろう。海外メーカーが協力してコールセンターを設立してはどうだろう。

──操縦しての印象はどうか?

C200とC250に共通するのは、ステアリングのかんじがまぎれもないメルセデスであるということ。しっとり、どっしり。とりわけ高速走行中のゆるぎない安定感は、大きな魅力だ。一方、ステアリングフィールは切り込んでいったときの車体の反応速度もそれなりに速く、スポーティとはいえないまでも、けっして退屈ではない。お金に余裕があるなら、よりスポーティなC250がいいかもしれないが、C200でも十分すぎるほど。2,000rpmより下からトルクがわき上がり、力強い加速をする。つねに豊かなトルクに下支えされ、ドライバーは思いどおりにクルマを操縦することができる。

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2000カ所の変更を受けた新型Cクラスに試乗(3)

スポーティさと快適を両立させたサスペンション

──乗り心地は?

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快適とスポーティさを両立させる「AGILITU CONTROL」。前後サスペンションには油圧式のセレクティブ・ダンピングシステムを搭載し、快適な乗り心地を実現させるとともに、ハードなコーナリングのさいは、最大限の減衰力を発揮する。

しっかりしている、という印象。硬すぎず。路面の凹凸を上手にいなしてくれる。走行状況に応じてダンパーの減衰力を調整する可変ダンピングシステムが、うまく働いていると思う。ダンパー内のオイル流量を調整することで、通常走行時は快適性を、コーナリング時はスポーティ性を優先する設定になっている。ゴツゴツ感もなく、後席の乗員も快適でいられるはず。ドアの開閉音からして、ボディの剛性感が高いという印象を強く受けるが、「シャシーはエンジンより速い」というメルセデスが大事にするクルマづくりの哲学の片鱗をここで感じることができる。

──ライバルと比してどう思ったか?

ライバルでいうと、BMW 3シリーズ(320iの445万円から335iの686万円まで)や、アウディA4(2.0TFSIの440万円から2.0TFSIクワトロS-lineの566万円まで)がメインになるだろう。BMWはスポーティであるとともにエンジン排気量からみた場合の価格競争力が高く、アウディは質感の高さと、スポーティなハンドリングを特徴としている。Cクラスの強みは、居眠り運転を防ぐための「アテンションアシスト」やハイビームとロービームを自動的に切り替える「アダプティブ・ハイビーム アシスト」といった安全装備や、オプションになるが縦列駐車を支援してくれる「パークトロニック(パーキングガイダンス機能つき)」の設定など、最新のテクノロジーを備えつつ、従来からの、疲労しにくく、乗りやすい、という価値を守っているところだろう。もちろん、運転しても楽しい。買うべき1台といってもいいのではないか。顔つきがアグレッシブになったのは、時代の傾向か。いい悪いで論じる部分ではないが。

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Mercedes-Benz C200 BlueEFFICIENCY AVANGARDE|
メルセデス・ベンツ C200 ブルーエフィシエンシー

ボディサイズ(セダン)|全長4,595×全幅1,770×全高1,445mm
ボディサイズ(ステーションワゴン)|全長4,610×全幅1,770×全高1,460mm
ホイールベース|2,760mm
車輛重量|1,520kg
エンジン|1.8リッター 直列4気筒+ターボチャージャー
最高出力|135kW(184ps)/5,250rpm
最大トルク|270Nm(27.5kgm)/1,800-4,600rpm
JC08モード燃費|11.8km/ℓ
CO2排出量|154–168g/km
駆動方式|FWD
トランスミッション|7段AT
価格|492万円

Mercedes-Benz C200 BlueEFFICIENCY AVANGARDE|
メルセデス・ベンツ C200 ブルーエフィシエンシー

車輛重量|1,550kg
最高出力|150kW(204ps)/5,500rpm
最大トルク|310Nm(31.6kgm)/2,000-4,300rpm
JC08モード燃費|10.8km/ℓ
CO2排出量|150–161g/km
価格|567万円
※CO2排出量は本国データに基づく。

           
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