2015 ミラノサローネ 最新リポート|Piero Lissoni
DESIGN / FEATURES
2015年5月13日

2015 ミラノサローネ 最新リポート|Piero Lissoni

Piero Lissoni|ピエロ・リッソーニ

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2015

世界のデザインをリードするイタリア的デザインアプローチ

デザイントレンドをリードするトップブランドから、いまもっとも求められているイタリア人の建築家、デザイナーであるピエロ・リッソーニ氏。パートナーとの対話から本質を見極め、カタチを生み出す、イタリア的デザインアプローチから名作を生み出す背景には、パートナーとともに葛藤を抱え、ともに進化を探りつづけるデザイナーの姿がみえてくる。

Photographs by Daniele DAINELLIText by KATSURA Kumi(TOL STUDIO INC.)

ラグジュアリーなリゾートスタイルを提案するビッグプロジェクトを発表

2015年のミラノサローネでもっとも名前を耳にしたひとり“ピエロ・リッソーニ”。建築家であり、デザイナーである彼の名を、もはやデザインニュースで目にしない日はない。その活躍は目覚ましく、カテゴリーを超えてさまざまな新作が生まれている。

今年も、LIVING DIVANI(リビング .ディバーニ)、PORRO(ポロ)、Boffi(ボッフィ)、Kartell(カルテル)、VICCARBE(ヴィッカルベ)FLOS(フロス)、GLAS ITALIA(グラス イタリア)といった名だたる一流デザインブランドをはじめとした、約20ブランドとのコラボレーション作品が発表された。

Piero Lissoni|ピエロ・リッソーニ

PORROの新作キャビネット「IPERCOLORE」

Piero Lissoni|ピエロ・リッソーニ

LIVING DIVANIの新作ソファ「LIPP」

建築関連では、Fantini(ファンティーニ)のミラノのあたらしいショールーム、そしてミラノサローネ初日には、リッソーニ氏の拠点であるスタジオ、“スタジオ・リッソーニ”で、フロリダのマイアミビーチで計画されている“リッツカールトン・レジデンス・プロジェクト”が発表された。

世界的なデザイン界の牽引役であるリッソーニ氏の拠点であるスタジオ、スタジオ・リッソーニで開催された“リッツカールトン・レジデンス・プロジェクト”のプレゼンテーションを兼ねたカクテルパーティーには、多くの関係者が集まった。彼がアメリカではじめて手がけたというプロジェクトは、36のボートドックを備えた111戸のレジデンス・コンドミニアムと、15戸の家族用ヴィラが設けられるという壮大なものだ。

Piero Lissoni|ピエロ・リッソーニ
マイアミビーチで計画されている“リッツカールトン・レジデンス・プロジェクト”

庭、プール、エンターテインメントスペースを備え、150~1000平方メートルを超える広さの各ユニットは、2〜5部屋のベッドルームをもつ。60以上のフロアプランがあり、インテリアはカスタムデザインされ、リッソーニ氏がデザインしたボッフィのキッチンを完備する。全館にわたってスマート・ホーム・テクノロジーが配される。最新のデザインと技術を誇るラグジュアリーなリゾートスタイルを堪能できる場所になるという。

建築家“ピエロ・リッソーニ”とデザイン

発表会場となったスタジオ・リッソーニは、ミニマルで洗練されたデザインオフィスで、本質を見極め展開させるリッソーニ氏のプロジェクトの根底にあるアプローチとの共通性が感じられた。建築プロジェクトにくわえ、さまざまなブランドのアイデンティティを表現するデザインの実践者として、ピエロ・リッソーニ氏は、いま何を見ているか、話を聞くことができた。

「デザインはつねに継続的なリサーチとともにある。私の職業は建築家だが、その仕事の一部にデザインがある。デザインをするということは、単に自分のひらめきをカタチにする作業ではない。企業の担当者と、継続的に質問と対話を重ねることでプロジェクトが生まれてくる。これが本当の意味でのデザインの仕事であり、つねにデザインを生み出すための葛藤の繰り返している」と語るリッソーニ氏。そこには、常に技術と素材の研究に基点をおき、パートナーとの密接な対話のなかから本質を見極め、“カタチ”として引き出す、イタリア的なデザインの実践者としての姿があった。

Piero Lissoni|ピエロ・リッソーニ

ピエロ・リッソーニ氏

           
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