ミラノサローネ2018 MINI展示リポート|MINI
DESIGN / FEATURES
2018年5月7日

ミラノサローネ2018 MINI展示リポート|MINI

MINI|ミニ

ミラノサローネ2018

パッケージングの追求と通底する

MINIならではの住まいの提案

毎年4月に開催される世界最大規模の家具の見本市「ミラノサローネ」。昨今、自動車メーカーの出展も多いが、MINIもその例に漏れない。今年はいかなる展示を行ったのか。現地より小川フミオ氏がリポートする。

Text by OGAWA Fumio

ますます人口が集中する都市にどう住むか

昨今はライフスタイルブランドという呼び方を自動車メーカーは好む傾向にある。しかし実際にどこまで踏み込むかは、メーカーによってだいぶ異なる。

なかでもMINIはかなり大胆だ。MINI LIVINGの名の下に、住宅の分野まで進んでいこうという勢いなのだ。

「ミラノ デザインウィーク2018」でも、「MINI LIVING-BUILT BY ALL」と題して大々的なインスタレーションを展開。

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トルトーナ地区では倉庫を使ったスペースシェアという提案を、MINIならではのやりかたで見せてくれたのだった。

MINIは、2017年のミラノデザインウィークで「Breathe(ブリーズ)」という建坪は小さく、上に伸びた狭小シェアハウスを提案。

2018年のテーマは「ますます人口が集中する都市にどう住むか」と、より絞り込まれた現実的なものになっている。

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ミラノサローネ2018

パッケージングの追求と通底する
MINIならではの住まいの提案 (2)

所有よりも経験

そのためにMINIのインスタレーション(空間を使った展示)では、倉庫を模した建物に4人でどう住むか。具体的なデザイン提案が行われている。

「都市には住みたいけれど無機質な建物に住むより、魅力的な建物で、住人どうし良好な関係性が構築できるようがいいと考えました」

MINI LIVINGを主導するMINIのオケ・ハウザー氏はそう語る。

「若い人は所有よりも経験のほうに重きを置くようになっています。それは住宅でも同じだと私たちは考えました」

ハウザー氏のパートナーとして今回のプロジェクトに携わった、ロンドの建築事務所「Studiomama」のニナ・トルストルップ氏の言葉である。

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最も原初的な欲求への回答

4人の住むスペースがある“倉庫”は機能別に色分けがされていた。まず住人ごとに異なった色が割り当てられていた。

加えて共同キッチンは萌え草色、コミューナルスペースやダイニングテーブルは空色といった具合なのだ。

「サステナブルで、楽しい未来を提供したい」。トルスルップ氏の言葉は、クルマをはじめシェアする文化に馴れた若い世代により強く響くだろう。

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ミラノ デザインウィークでは、新しい技術や美しいセンスによるインスタレーションが多かった。テクノロジーが未来を運んでくるというメッセージは、ミラノ市内の随所で見られたものだ。

そこにあってMINIは、シンプルだけれど力強い内容で“未来”を見せてくれた。快適に好きな場所で暮らすという、人間にとって最も原初的な欲求への回答なだけに、訴求力は強い。

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ミラノサローネ2018

パッケージングの追求と通底する

MINIならではの住まいの提案 (3)

大事なのは空間をうまく使うこと

会場を訪れた人は、まずワークショップというよりプレイグラウンドのようなスペースに案内される。

そこでは見知らぬ者どうしが肩を並べて、立体パズルのように、さまざまな色やサイズの球やキューブを重ねることを楽しむ。

その後、冒頭から紹介しているシェアリングのサンプルルームに足を踏み入れると、縦方向にオブジェクトを重ねて作った立体パズルの作品と、床面積を抑えて縦に延ばした個人のスペースとの関連性に気づいたりする。

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大事なのは空間を(縦方向にも)うまく使うことなのだというMINIのメッセージが、遊びを通してすっと頭に入ってくる工夫なのだろう。

そのスペースは「ファクトリー・オブ・アイディアズ」と呼ばれ、建築家がスペースをどう埋めていくか助言を行ったりもする。

人々を能動的なクリエイターとして設計プロセスの中心に

「現在の標準化された住居市場では、個人のニーズは限定的にしか反映されていません」

さらにハウザー氏は、「"MINI LIVING-BUILT BY ALL"では、人々を能動的なクリエイターとして設計プロセスの中心に据えます」と語った。

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MINIはまもなく上海で8000㎡の敷地に建つかつての工場を使い、「暮らし、生活、仕事のための革新的な空間コンセプトが展開される」という。

コンパクトさをセリングポイントにしてきたMINIだが、同時にパッケージングといって空間の効率よい使い方の追求に余念がなかった。それと通底する住まいの提案。これからどう進むかがじつに興味深い。

           
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