ジープ初のコンパクトモデル、レネゲードに海外試乗|Jeep
Jeep Renegade|ジープ レネゲード
ジープ初のコンパクトモデル、レネゲードに海外試乗
ジープ初となるスモールセグメントの新型モデル「レネゲード」。クライスラーとフィアット再編後に登場した、硬派なジープ ブランドの末弟を、九島辰也氏がアメリカから試乗リポートする。
Text by KUSHIMA Tatsuya
最新コンパクト ジープはイタリア生まれ
今年1月のデトロイトモーターショーに展示されたジープ「レネゲード」はかなりキュートなイメージだった。カラフルなボディカラーにポップなデコレーション(オプション装備)はこれまでのものとはちがう。正直ワイルドではないなというのが第一印象だ。
それもこれも、ジープの背後にイタリアンブランドがチラつくからだ。マイナーチェンジした「グランドチェロキー」やフルモデルチェンジの「チェロキー」の顔つきが独創的になったのもその影響があるとおもっている。今度のレネゲードもまたフレームはフィアット「500X」と共有の噂が囁かれていた。
そんなレネゲードが最初に姿をあらわしたのは昨年のジュネーブモーターショー。ジュネーブの反響は相当良好だったとおもわれる。ほとんどそのときの印象のまま、目の前に登場した。ポジションは「コンパス」、「パトリオット」の後継といったところ。この2台のハードウェアは年月がかなり経っていることから、そろそろリニューアルが必要な時期にきている。
その点でレネゲードの中身はあたらしい。発表されているパワートレーンをはじめ、時代の最先端にいる。500Xと共有するフレームもそうだし、フィアットパワートレーン社が開発した新世代の吸気コントロール技術「マルチエア」方式を採用したエンジンもそうだ。それに9段ATも、チェロキーに次ぐタイミングでレネゲードに採用された。
エンジンは2.4リッター直4の「タイガーシャーク+マルチエア2」と1.4リッター直4「マルチエアターボ」となる。前者は既存のジープエンジンをマルチエア化したもので、後者はフィアット系のユニットだ。トランスミッションは、2.4リッターは9段ATと組み合わされるが、1.4リッターの方は6段MTとなる。
Jeep Renegade|ジープ レネゲード
ジープ初のコンパクトモデル、レネゲードに海外試乗 (2)
ダウンタウンでのしっかりした乗り心地
そのため今回の試乗は2.4リッターのみとなった。なぜなら日本へのマニュアルシフトの導入は見込めないからだ。ただ、日本上陸時期は秋頃ということなので、それまでにATやDCTなどと組み合わされる可能性がなくもない。1.4リッターターボの走りも想像するに悪くないようなので、ぜひその節には試してみたいものだ。
では実際の走りはどうか。試乗会の起点となったのはサンフランシスコの南、サンノゼのダウンタウン。そこから100マイルちょっと北へ向かったところのオフロードコースを目指す。
一般道での第一印象は乗り心地がおもいのほかいいということ。イマドキの“高級”SUVっぽい感じで減衰圧の高いダンパーがしっかりと足を地につかせていた。段差の突き上げは小さく、ロール角も極めて小さく抑えられる。
路面によっては少々固めともおもわなくもないが、バックシートに乗車している関係者からはつねに「快適!」という返事しか返ってこない。まぁ、そこは疑うわけではないが、日本導入後に詳しく検証しよう。
エンジンは特に低回転型という印象はないが、9段あるギアが次々にシフトアップするため、つねに2,000回転前後で走ることができる。多段ギアの恩恵もあり、好燃費が期待できそうだ。
シフトチェンジはギアシフトをスポーツモードにして前後に動かす。いちおう記しておくと、パドルシフトはついていなかった。
レネゲードのハンドリングはクイックだ。
ユルユルしたパワステの設定を好む北米マーケットだったが、いまどきはそうでもないらしい。昨年レネゲードの上のサイズのSUVを北米で試したが、それもまたクイックだった。開発者曰く、いまどきはマーケットがそれを欲している――。
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ジープ初のコンパクトモデル、レネゲードに海外試乗 (3)
オフロードでは見た目よりワイルド
ではオフロードではどうか。いい忘れたが、公道を走ったグレードは「リミテッド」で、そのほかに「スポーツ」「ロンジチュード」「トレイルホーク」がある。で、オフロードに長けているのはチェロキー同様に「トレイルホーク」。前後のバンパーを専用部品とし各部のアングルを稼ぐほか、4WDローギアードを持つなどして特性を高めている。
コースは長く続く山岳コースを「マッドモード」で、モーグルなどギャップの強いコースを「ロックモード」で走った。セレクテレインの操作はおおよそチェロキーとおなじ。きっとセッティングもFWDをベースとする面でかなり近いかもしれない。
ここでの評価はアングルの深さ。トレイルホークはその名の通りよくできていて、モーグルやロックセクションをかなり攻められる。バンパーをガリガリなんてことには、なかなかなりそうもない。それから電子制御のトルク配分もよく、1輪でもトラクションを掛けられるタイヤがあれば見事に脱出できる。
コース上ではインストラクターがステアリングの向きを指示してくれたので、おもいのほか容易に走れたが、このくらいの能力があればかなりのラフロードも踏み込めるだろう。その実力は見た目の印象をくつがえすワイルドさだ。
このようなファースト インプレッションだが、気になるのは日本導入モデル。特にエントリーモデルのスタートプライスだ。1.4リッターエンジン+2WDのファブリックシートを装備した「スポーツ」なら200万円前半も夢ではないかもしれない。
そうなれば広く市場に受け入れられるだろう。ポップなこのデザインならジープなれども街を駆けるシティコミューターとしてイケそうな気がする。
Jeep Renegade Trailhawk|ジープ レネゲード トレイルホーク
ボディサイズ|全長 4,236 × 全幅 1,805 × 全高 1,697 mm
ホイールベース|2,570 mm
トレッド 前/後|1,541 / 1,541 mm
エンジン|2,360 cc 直列4気筒 SOHC
最高出力| 185 ps / 6,400 rpm
最大トルク|232 Nm / 4,800 rpm
トランスミッション|9段オートマチック
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マクファーソンストラット
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ディスク