Mercedes-Benz SLS AMG|ガルウィングをもつ新型スポーツカー発売
Mercedes-Benz SLS AMG|メルセデス・ベンツ SLS AMG
ガルウィングをもつ新型スポーツカー発売
ガルウィングドアを備えた2シータースポーツSLS AMGが、メルセデス・ベンツ日本の手で2010年6月10日に発表された。デリバリーは10月ごろという。
文=小川フミオ写真=メルセデス・ベンツ日本
すべてが特別製のスペシャルなモデル
SLS AMG(2430万円)は、AMGブランドで発表されたモデル。1955年に発表されてメルセデス・ベンツのアイコンのひとつになっている300SLクーペを彷彿させるガルウィングドアを特徴としている。シャシーからエンジンまで、すべて「特別製」なのも大きなセリングポイント。
AMGは1967年に誕生した、いわゆるチューナーで、メルセデスのセダンをベースに速いラリーマシンなどに仕立ててきた。その後、メルセデス公認チューナーに。88年からは本格的にメルセデス傘下に入り、同社の製品ラインナップにおけるもっともスポーティなバージョンを手がけている。ドイツツーリングカー選手権(DTM)でもAMGのブランドで参戦して好成績を上げている。
SLS AMGのシャシーは、軽量かつ耐久性にすぐれたアルミニウム製スペースフレーム。搭載されるのは6.2リッターV型8気筒エンジン。基本的には、Cクラスをはじめ、AMGバージョンに採用されているパワーユニットだ。ただ、従来の仕様が457psの最高出力と、61.2kgmの最大トルクであるのに対し(これでも充分すごいけれど)、SLS AMGに搭載された6208ccユニットは120個所に手がくわえられ、571ps/6,800rpmと、66.3kgm(650Nm)/4,750rpmとなった。
スポーツカー的な性格は、ルックスと大出力にとどまらない。エンジンはハンドリング向上を目的とした低重心化のためドライサンプ方式に変更。しかも前車軸より後方搭載の、いわゆるフロントミドシップで、重量配分のバランスがとられている。AMGがチューニングをほどこした「スポーツシフト」変速機は7段のデュアルクラッチシステムを備え、変速タイミングの速さとともに、スポーツ走行を前提としたモードも備えている。ギアボックスはリアのディファレンシャルギアと一体化したトランスアクスル方式で、前後の重量配分も計算されている。
最高速度は317km/hで電子リミッターが作動するようになっている。いっぽう、燃費も開発陣の重要なテーマといい、メーカー発表値によるとリッターあたり7kmの走行距離と、571psのスーパースポーツカーとしては異例といっていいぐらいの値になっている。
Mercedes-Benz SLS AMG|メルセデス・ベンツ SLS AMG
ボディ|全長4,640×全幅1,940×全高1,265mm
ホイールベース|2,680mm
車両重量|1,710kg
エンジン|6,208cc DOHC V型8気筒
最高出力|420kW(571ps)/6,800rpm
最大トルク|650Nm/4,750rpm
トランスミッション|電子制御7速AT
サスペンション|前ダブルウィッシュボーン、後ダブルウィッシュボーン
タイヤ|前265/35 R19、後295/30 R20
価格|2430万円
メルセデスコール
0120-190-610
BRAND HISTORY
自動車の歴史をひもとくとき、その先駆者として辿りつくのがゴットリープ・ダイムラーとカーツ・ベンツというふたりのドイツ人だ。1885年から86年にかけて、このふたりがべつべつにガソリン自動車を生みだし、クルマ社会の礎を築いたことは、いまさら説明するまでもない。それぞれが興した自動車会社はライバルと目されていた時期もあったが、第一次世界大戦後の不況を乗り切るために手を結び、1926年に合併によってダイムラー・ベンツ社が設立されている。
製品に与えられるメルセデスの名は、ダイムラーの顧客であったエミール・イェリネックが、ドイツ国外での販売を引き受けるかわりに長女の名前をつけさせたのがはじまりで、1902年にはダイムラー社により商標登録されている。
こうして生まれた、メルセデス、そして、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、その後もセーフティパッセンジャーセル、エアバッグ、ESP(エレクトリック・スタビリティ・プログラム)、ナイトビューといった最新技術を積極的に導入するなど、自動車発展の牽引役としてつねに時代の先頭を走りつづけているのだ。