ジャガー「XE」をロンドンで初公開|Jaguar
JAGUAR XE|ジャガーXE
新型スポーツサルーン「XE」をロンドンで初公開
かねてより公言されていたジャガーの新スポーツサルーン「XE」が、ついにそのヴェールを脱いだ。その本気の入れようは、発表会における演出の凝りようにもあらわれていたという。ロンドンでおこなわれたお披露目に立ち会った、小川フミオ氏がリポート。
Text by OGAWA Fumio
敢えて歴史的な場所で
「スポーツサルーンのコンセプトを再定義する」と英国ジャガー カーズが誇らしげに語る、新型車、ジャガー「XE」のお披露目が、2014年9月8日、ロンドンでおこなわれた。
ジャガーXEは、メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」、それにアウディ「A4」などと真っ向からぶつかる、ミドルクラスのサルーン。「XJ」や「XF」といった大型モデルとおなじ一族に属することが知れるフロントマスクをもち、軽快さを感じさせるプロポーションを特徴とする。
お披露目は、ロンドン中心部アールズコートのエキシビションセンターでおこなわれた。かつてロンドンの自動車ショーが開催されていた場所で、「ここで過去に14台のニューモデルを発表しました」と、ジャガーXEの発表に先立ち、ジャガーカーズの広報担当者は、来場客に歴史的な意義を強調した。
会場には、戦前の「SS100」から、「マーク2サルーン」、いまも最も人気が高いスポーツカー「Eタイプ」をはじめ、ルマンなどで活躍した「Dタイプ」など、スポーツとラグジュリーのヘリティッジを感じさせるクルマが並べられていた。このあたり、歴史をもつブランドは強いと、今回も再認識。
「真のドライバーズカー」とジャガー カーズが胸を張るジャガーXE。「これまでジャガーが、時代を定義するようなプロダクトを出してきた歴史を思い出してもらいたい」という想いをこめて、お披露目ではミュージカル仕立ての凝ったものとなった。
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新型スポーツサルーン「XE」をロンドンで初公開 (2)
凝った演出でジャガーの本懐を主張
「FEEL XE」と題されたプレゼンテーションはショー仕立て。ゲストのスピーチもあれば、ミュージカルもある。それがかなり凝ったもので、来場者は舞台でおこなわれるジャガーにまつわるストーリーを楽しんだのだった。
「FEEL XE」の主人公はクルマのデザイナーになることを夢見る青年。彼が案内役に導かれて、時空を旅して、サー・ウィリアム・ライオンズなど、ジャガーに多大な貢献をしたひとたちに会い、やがて自分が理想とするクルマ(それがジャガーXE)を実現させるという筋書きになっていた。
これが学芸会的な自己満足に終わっていなかったのは、舞台に登場するDタイプなどの実車、60年代など雰囲気を上手にとらえた舞台装置、そして、カイザーチーフスやエミール・サンディらゲストパフォーマーのライブアクトと凝りに凝った演出ゆえだ。
ミュージカルでジャガーは、自分たちはこれまでの歴史を通して、クルマを愛するひとのためにプロダクトを作ってきたと謳った。そして、60年代のスウィンギン・ロンドンといえばEタイプがまっさきに思いつくように、「時代を定義するクルマ」作りこそ本懐だと主張したのである。