ACT 2 KUBRICK
ACT 2 KUBRICK(2)
text by Ryu as MEDICOM TOY
Ryu as MEDICOM TOYこと赤司です。
お正月早々から仕事で香港に行きっぱなしでした。
今回はKUBRICKについて、お話させてください。
1999年ごろ、日本は空前のキャラクタートイブームが到来しました。
振り返ってみると、あの頃は本当に何でもオモチャになっていた時代だなと思います。
星一徹がちゃぶ台をひっくり返して、飛雄馬がマトリックスのネオのようにのけぞってるジオラマとか20年位前に数ヶ月だけテレビでやってた特撮ヒーローの精密な立体物とか、本当に行き着く所まで行きそうな勢いがありました。(笑)
その時、僕らが何を考えていたかというと、これから1年くらいで大半のキャラクターは消費され、作りたくても作れる物が枯渇してしまうのではないか?
ライセンス取得が熾烈な状況になり、作りたいものが作れない状況に陥るかもしれないのではないか?
また各社の造形技術も、この時期、ひとつのピークを迎えつつありました。
それ以上の造形の追求は、ただの自己満足であり、決して消費者に向けた物ではなく、いたずらにコストを高騰させてしまうだけだけではないか?
あの時期の自分のインタビュー記事を読み返してみると、この辺の苦悩が見て取れます。
そんな折、とある雑誌に掲載されていた、ある特集に目が止まりました。
とある著名なアニメーション作品をカリカチュアしたミニチュアモデルの特集で、そのメソッドは僕には非常に魅力的に映りました。
他社商品企画との明確な差別化によるライセンス取得の可能性造形・仕様の追求によるコストと時間のロスをカットできる企画癒しをキーワードとした手の中に納まる箱庭的な商品・・・こういったキーワードが結晶化して、できた商品がKUBRICKでした。
全高60mmの大人の掌に隠れるオモチャ、可動やギミックではなくそのカリカチュアした形状が最大のセールスポイントの新しいトイの誕生でした。
1999年、KUBRICKの開発は会社を設立して3年目の冬でした。
初期の代表的なアイテムとして、ティム・バートン監督のPLANET OF THE APESの前売チケットのノベルティや、バトルロワイヤル、エヴァンゲリオンなどがありました。
ここから僕らの商品開発は大きく広がりを見せることになります。
このつづきはまた次回。
SEE YOU SOON!
Ryu as MEDICOM TOY
名称はスタンリーキューブリック監督のお名前からインスパイアされています。
彼の独自の作家性と同じ作風の作品を決して撮ることの無かったこだわりをこのオモチャに持たせたかった事、四角柱を思わせる形状から来るキューブという語感を相乗的に配した物でもあります。
実際にはKUBRICKの英語での発音はカブリックという発声の方が近い為、後に外国の方に命名の由来をご説明するのは一苦労でした。(笑)