第6回 シガーはどこで生まれる?
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2015年5月1日

第6回 シガーはどこで生まれる?

第6回 シガーはどこで生まれる?

原料葉タバコの産地と、それを最終的にシガーとして組み立てている製造国は異なっている場合が多い。──さて、シガーはどこで生まれているのか。

text&photo by HIROMI Mamoru

苗を畑に植え替えしてから1ヵ月後、高さが30センチくらいに成長する。

シガーはどこで作られるのでしょうか?

マシンメイド・シガーの場合は大規模な製造設備が必要になりますので、ヨーロッパやアメリカ合衆国等のいわゆる先進国で製造されます。しかし、ハンドメイド・シガーの場合はすべて人の手により巻かれるので、人件費の安い国でないと価格競争に勝つことができません。

シガーに使われる原料葉タバコは、カリブ海諸国や中央アメリカ、東南アジアといった亜熱帯の土地で栽培されます。人件費の安さと、葉タバコ産地に近いという地の利の両方を兼ね備えている土地でハンドメイド・シガーは製造されることになります。

タバコの種子

タバコの種子。大きさ1センチくらいの果実には、なんと約3000粒の種子が入っている。

葉タバコの産地とシガーの製造国

ハンドメイド・シガーは純粋にタバコの葉だけで作られたものです。そして中に詰まっている原料葉タバコの産地と、それを最終的な製品として組み立てている製造国は異なっている場合が多く、一般的にシガーの産地といった場合には、製造国の方を指します。製品を輸出や輸入する場合には原産地証明が必要になり、国際間の商取引においては製造国の方が重要な意味をもっているからです。

しかし、実際にシガーの味や香りを楽しむうえで重要なのは、どこで組み立てられたかよりも、中身にどのような葉タバコがブレンドされたかという原料葉タバコの産地の方でしょう。さらにいえば、シガー1本の内部構造を成す「フィラー」、「バインダー」、「ラッパー」にどこの産地の葉タバコが使われているのか。それぞれの葉タバコの配合が重要な意味をもちます。そのレシピが分れば、大体の味をイメージすることが可能になるのです。それは、ワインでいうところの葡萄品種の割合やブレンド・コーヒーにおける豆のブレンド比率から味や香りが決まるのと同じ理屈です。

タバコの作成工程

シガーローラーが巻き上げた葉巻は「検品」のセクションへ送られ、サイズと重さ、巻き具合の均一性等がチェックされる。この後に「熟成」→「色の選別」→「箱詰め」の工程へと進む。

キューバ産は100%!

ハンドメイド・シガーの場合、キューバで作られるシガーは、キューバ産の葉タバコ100%で作られ、他の産出国の葉タバコが混じることはありません。しかし、キューバ以外の国々では、色々な産出国の葉タバコがブレンドされることが一般的です。キューバは単一品種、その他の国は多品種のブレンドなのです。

ハンドメイド・シガーのなかには色々な種類がありますが、なかでも最高級といわれるシガーは西インド諸島と中央アメリカの国々で作られます。特に国際的な評価の高い葉巻の産出国を挙げるとすれば、次の4カ国です。

○キューバ

○ドミニカ共和国

○ニカラグア

○ホンジュラス

コイーバ ロブスト

※写真はキューバのトップブランド
コイーバの「ロブスト」

前世紀までは、キューバ、ドミニカ共和国、ホンジュラスが世界の3大産地だといわれていました。しかし、今世紀に入ると世界中のシガーエキスパート達はニカラグア産シガーを高く評価しはじめました。ホンジュラスに工場を構えていたシガーメーカーは、隣国ニカラグアのフルボディな葉タバコを産出する土地に惹かれて、次第にニカラグアへと製造の場を移しはじめました。

そして、ついにホンジュラスとニカラグアの世界的な評価は入れ替わるまでとなったのです。
とはいっても、ラテンアメリカ諸国の慢性的な政情不安は変わらず、両国に分散して工場を構える企業が多いのが現実です。

           
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