贅沢なイベント「BMW Mエクスペリエンス」を体験|BMW
BMW M Experience|BMW M エクスペリエンス
一流の、場所、ひと、クルマのぜいたくな一日
「BMW M Experience」を体験
SUPER GT第5戦の翌日。まだ興奮の余韻の漂う鈴鹿サーキットを、「M5」「M6」「X5 M」をはじめとするBMWのスペシャルモデルたちが走りまわった。鈴鹿サーキットのフルコース、前日におなじ場所でデッドヒートを繰りひろげたばかりのGTドライバー、そしてBMW Mモデルがそろった破格のぜいたくイベントに参加したのは、わずかな数の幸運なBMWオーナーたち。BMWが開催する、この「BMW M Experience」に大谷達也氏が参加し、Mモデルのもつポテンシャルを体験する貴重な一日をリポート。
Text by OTANI Tatsuya
ぜいたくなエクスペリエンス
“The M Experience”と呼ばれるこのイベントに参加できる幸運を手に入れたのは、たった20名ほどのBMWオーナーのみ。それがどれほどの幸運だったかは、イベントのメニューを知ればたちどころに理解できるだろう。
まず、イベントの舞台は鈴鹿サーキット。それも東コースや西コースのショートコースではなく、全長5.8kmのフルコースを半日も借り切るという、贅沢きわまりないものだった。
基本となるメニューは3つ。その第1部は、レーシングドライバーによるタクシードライブである。しかも、「No.4 GSR 初音ミク BMW」を駆ってSUPER GTに参戦する谷口信輝選手と片岡龍也選手がドライバー役を務めてくれるのだから、BMWファンには堪えられない人選だろう。
さらに、イベントが開催されたのが鈴鹿サーキットで行われたSUPER GT第5戦の翌日だったため、このレースのみスポット参戦したBMWワークスのヨルグ・ミューラー選手までもがドライバー役を買って出てくれた。そして彼らが操る“タクシー”が「M6 グランクーペ」というのだから、これも贅沢きわまりないチョイスである。どのドライバーの隣に乗れるかはあくまでも運任せだが、この日は3人のうちのふたりに乗車できた。
イベントの第2部はグランクーペ、クーペ、カブリオレの3タイプが揃ったM6の乗り比べ。考えてみれば、ことなるボディタイプが用意されるMモデルは、シリーズのフラッグシップに位置づけられるM6のみ。それぞれの乗り味がどうちがうのかを、F1日本グランプリの舞台でもある鈴鹿サーキットでじっくり味わえるというのだから、これまた贅沢なことにはまちがいない。
そして第3部は「M5」「X5 M」「X6 M」の3モデルにかわるがわる試乗するというもの。Mモデルの中核を成すM5をリファレンスとしながら、超過激なSUV(BMWはこれをSAV=スポーツ アクティビティ ビークルと呼ぶ)のX5 MとX6 Mで鈴鹿サーキットを攻めるというのも、じつに贅沢でオツな趣向である。
BMW M Experience|BMW M エクスペリエンス
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「BMW M Experience」を体験(2)
エンターテイメントと達人の妙技を体験
それぞれどんな印象だったかといえば、第1部のタクシードライブではMモデルのハイパフォーマンス振りを「これでもか!」というくらい思い知らされた。なにしろ現役バリバリのレーシングドライバーが本気でMモデルを走らせるのである。そのコーナリングスピード、加速感、そしてブレーキングの激しさは、経験のあまりない人であれば恐怖感を覚えたにちがいないほどすさまじいものだった。
ちなみに、私は片岡選手、谷口選手の順で“ご相伴”にあずかったが、いかにもプロのレーサーらしくクルマのもつトラクションをフルに引き出し、コーナリングでもタイヤがスライドしはじめる直前のスピードをキープする丁寧なドライビングを見せてくれた片岡選手にたいし、谷口選手は走行の途中で「じゃ、(スタビリティ コントロールの)DSCを外しちゃいましょうか?」といって電子制御の“足かせ”を取り払うと、ヘアピンコーナーであろうとスプーンコーナーであろうとところ構わずドリフトを演じてくれたのである。
2種類のきわだって対照的なドライビングのうち、より速いラップタイムをマークできるのは、確実にクルマを前に進ませることを心がけた片岡選手のほうである。もちろん、おなじような走りは谷口選手もできるし、レース本番のさいには、いうまでもなく谷口選手も片岡選手同様のドライビングをしている。それでも谷口選手がドリフト走行を見せてくれたのは、そうやってわれわれゲストを楽しませようとしてくれたからだ。
いっぽう、本物のドライビングを見極めることのできる目の持ち主であれば、片岡選手の繊細なコントロールに心を奪われたにちがいない。ぱっと見た目にはいかにも簡単に運転しているようにおもえるが、タイヤと路面の接地状況を敏感にとらえ、ミリ単位、いや0.1ミリ単位でステアリング、スロットル、ブレーキをコントロールしている様は息を呑むほど鮮やかだった。
その、息が詰まるくらい緊張感溢れるドライビングは、野球にたとえれば1点をきそう投手戦のようなもの。いっぽう、クルマを派手に滑らせる谷口選手のドライビングは、おなじく野球にたとえれば次々とホームランが飛び出す打撃戦のよう、といえるだろう。
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「BMW M Experience」を体験(3)
サーキットでも不安ないMモデルのSUV
つづいてM6の乗りくらべとなった第2部では、カブリオレ、クーペ、グランクーペの順で試乗したが、カブリオレではコンバーチブルであることが信じられないほどのボディ剛性感に驚き、クーペではカブリオレを圧倒するロードノイズの低さに感動し、グランクーペではクーペやカブリオレよりホイールベースが115mmも長いことによるしっとりとしたハンドリングを味わうことができた。いずれにせよ、車重が2トンちかいクルマが、鈴鹿のS字コーナーやシケインを軽快にクリアする様は圧巻というほかない。
それでいて高速コーナーの130Rは安定しきったフォームでクリアし、ストレートエンドでは200km/hに到達する動力性能をしめす。もちろん、インテリアの豪華さはBMWの最高級クーペの名に恥じないもの。これほどさまざまな要素を高い次元で満たしたクーペモデルも、そう滅多にあるものではない。
最後に試乗したX5 MとX6 Mは、さすがに鈴鹿サーキットを走るには不向きだろうとおもっていたが、あにはからんや、コーナリング時のロールがしっかり抑えられているので切り返しは機敏だし、高速コーナーでも不安を覚えない。
同行したOPENERS編集部のAは「いやあ、意外にもX6 Mがいちばん走りやすかったかも……」と言っていたが、それはきっと高いアイポイントによる良好な視界が、ブラインドコーナーの多い鈴鹿でのドライビングを助けてくれたからだろう。スポーツモデルといっても、周囲がよく見えることはやはり重要なのだ。
本当の参加者は、もうひとつの幸運に恵まれていた
こうして“The M Experience”は、公道では得がたいさまざまな経験をわれわれにもたらしてくれたのだが、果たして、このイベントに参加する幸運を手に入れたのは、どのような人々だったのだろうか?
彼ら、そして彼女たちは、今年3月に全国のBMW正規ディーラーでMモデルを購入した特典として“The M Experience”に招かれたのである。それも抽選ではない。期間中にMモデルを購入した全員に、この貴重なチャンスがもれなくプレゼントされたのだ。つまり、彼らが幸運だったのは“The M Experience”に参加できたことだけではなく、飛び切りハイパフォーマンスなMモデルを手に入れるという幸運にも恵まれた人びとだったのだ。