パリ現地リポート|Volkswagen
Volkswagen|フォルクスワーゲン
7代目ゴルフに対面!
2012年のパリモーターショーでもっとも注目されている1台、7代目 フォルクスワーゲン「ゴルフ」。フォルクスワーゲンナイトでの先行発表の報告につづいて、大谷達也氏がこのゴルフのショーでのワールドプレミアをリポート。ぱっと写真でみたところは、ゴルフの伝統的なスタイリングを継承している印象だが、この自動車界の巨人はこれまでとどうちがう?
Text by OTANI TatsuyaPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko
品質感が大幅向上
ついに7代目ゴルフが我々の前に姿をあらわした。
写真では先代からの変化に気づきにくいかもしれないが、実車を目の当たりにすると、その印象はまるで変わってくる。
たしかに全体的なプロポーションは紛れもなくゴルフだ。しかし、ボディパネルの仕上げ、そして組付け精度の高さから、まったく別のモデルにおもえてくる。これまでのゴルフよりも1クラス上、いや2クラス上に見えるといってもいい。
まずは、その鋭利なプレスラインに注目したい。ボンネット上やボディサイドを流れるキャラクターラインは、どれも触ると指が切れるのではないか、とおもえるほどシャープな仕上がり。また、おなじボディパネルでもフラットな部分はとことんフラットで、ぱりっと張り詰めた印象を与える。
先日、「up!」の発表にあわせて来日したフォルクスワーゲン・グループ・デザイン責任者のワルター・デ・シルヴァは「シンプルこそフォルクスワーゲン・デザインのDNA」と語っていたが、まさにそのとおりだ。
また、デザインとしてはシンプルでありながら、素材や加工技術の質で商品を特徴付けようとする手法(これはiPhoneなどのアップル製品にも共通する)が、up!につづいてこのゴルフ7でも採用されている。
内部も進化
ゴルフ7の特徴は外観だけに留まらない。むしろ、今後のフォルクスワーゲンに与える影響の大きさでいえば、その内面にこそ注目すべきであろう。
ゴルフ7がフォルクスワーゲンの新モジュラー戦略「MQB」に従って開発されたことは周知のとおり。今後同社から登場するすべての横置きエンジン・モデルに採用されるこのコンセプトは、エンジンの搭載角度や搭載位置を共通化することにより、開発の迅速化やコストの低減を狙ったもの。その第1作にあたるゴルフ7について、フォルクスワーゲングループの技術部門を統括するウルリッヒ・ハッケンベルク博士は「MQBのマスターモデル」と語る。それだけに、ゴルフ7の成否はフォルクスワーゲン全体の浮沈に関わる重大事ともいえるだろう。
ゴルフ7で注目すべきもうひとつのポイントは、その軽量化技術である。フォルクスワーゲンがプレスリリースで「最大100kgの軽量化」と謳ったことについては様々な議論があるが、前出のハッケンベルク博士は「ホワイトボディだけで27kg、サスペンション周りで20kg、エンジンで27kgの軽量化を果たした」と語り、その主張に裏付けがあることをしめした。
ラインナップ面では、気筒休止システムを搭載した1.4リッターTSIエンジンを主力とするいっぽう、パリサロンではコンセプトカーとして高性能なゴルフGTI(最高出力は220psと230psの2タイプ)やゴルフ ブルーモーション(1.6リッターTDIエンジンを搭載し、31.25km/ℓの省燃費を達成)なども紹介された。
デザイン、クォリティ、そしてパフォーマンスで一気にライバルの引き離しにかかった7代目ゴルフ。日本では来春発売の見通しだ。