祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.25 メンズノンノ専属モデル 三宅亮輔さん(中編)
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メンズノンノ専属モデルとして活躍中の三宅亮輔さんは、時間さえあればお気に入りのヴィンテージショップに入り浸るほどの大の古着好き。そんな三宅さんがリコメンドする都内の古着屋3店舗を祐真朋樹・弊誌編集大魔王とともに巡る。シリーズ第2回目の今回は、一流ブランドから個性的な新鋭ブランドまで、感度の高い魅力な品揃えを誇る麻布十番のSTOCKLAB(ストックラボ)へ。
Interview by SUKEZANE TomokiPhotographs by SATO YukiText by ANDO Sara (OPENERS)
古着やブランド、さらにお酒までを扱う「STOCKLAB(ストックラボ)」
祐真朋樹・編集大魔王(以下、祐真) ところ変わって麻布十番のストックラボにやってきました。
三宅亮輔さん(以下、三宅) ここは洗練されたセレクトに魅力を感じるお店です。オーナーやバイヤーがチョイスするブランドやアイテムが、僕の感性にぴったり合うんですよ。
祐真 メンズよりもレディスの比率の方が高いですね。
三宅 そうなんですよ、メンズがもっとあったらいいんですけど。と言いつつ、レディスも試着しますけどね。僕の信念は「洋服は着てなんぼ」です。ヴィンテージでレアだから着るのがもったいないだとか、100万円するデニムだから飾っているだとかそういうのでは意味がないんです。
祐真 コレクターではないということですね。
三宅 その要素はあるかもしれませんが、やっぱり服は着てなんぼ、なんですよね。
祐真 三宅君にとってストックラボの魅力は?
三宅 リサイクルショップを含め、数あるブランド古着屋の中で、ここまで洗練されたセレクトをしているところってほかにないと思うんです。メンズよりレディスの方がはるかに多いので、僕が着られるアイテムがそんなにたくさんあるわけではないけれど、この僕の「着てなんぼ」という概念が覆ってしまうほど、見ているだけで面白い感度の高さも魅力の一つですね。だから来るたびに何時間も滞在してしまうんです。
祐真 女子だったらよかったのに、と思うような可愛い商品が多いですね。メンズがもっとあったらいいのにね。
三宅 はい、僕も着られる可愛いのをもっと作って、と常々思っています(笑)。そしてオーナーがいかに洋服が好きか、ということが伝わってくるところも好きです。
祐真 洋服愛、伝わりますね。そこが三宅君に一番響くところですね。
三宅 彼との初対面は飲み屋だったんですよ。飲み屋で服の話ばっかりしているのもそれはそれでどうかなと思ったんですけど(笑)。
祐真 偶然出くわしたの?
三宅 いえ、友達の紹介でした。デニムはリーバイスのこの形しか穿かへんとか、彼は持論があって面白いんです。ストックラボは、数あるブランド古着屋の中でも、突出しているんじゃないかなと思いますね。
Page02. 三宅さんが選んだアイテムをチェック!
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シャネル スタジアムジャンパー 39万8000円(SOLD)
祐真 レディスだからか小さめのサイジングですが、可愛いですね。
三宅 ネイビーに赤と黒のダークトーンの配色がとても好みです。
祐真 ボタンもポイントになっていますね。
三宅 メタルのスナップボタンなんですが、丸じゃなく、四角い形をしているところもとても可愛いと思います。じゃっかん高めの位置のポケットも好きです。
シャネル レザーベスト 4万2800円
祐真 これもレディスですね。
三宅 はい、でもサイズ感的にはちょうどよかったです。
祐真 似合っていますよ。ミリタリーですね。
三宅 個人的に金ボタンとレザーとチョッキがとても好きなんです。
祐真 チョッキ。久しぶりに聞きました。
三宅 これは革の質感も良くて最高です。ポケットの配置バランスも絶妙ですね。
祐真 前は留めて着ますか?
三宅 それはやはり洋服によって変わりますね。6つボタンが配置されているので、合わせる服に合わせて留める数も変わるかと。でも、極力一番上は留めたいですね。前が長めで、後ろが極端に短かいところも面白いです。これに限らず、ほかにないデザインというのにぐっときます。
エルメス ヴィンテージスウェット 4万7800円
祐真 ペガサスのワッペンがついていますね。
三宅 はい。先ほども言いましたが、ワッペン好きなんですよね。いくつか集めていて、50年代のスタジャンにも自分でつけてしまうほどで。
祐真 これはアメリカのスクール的なものや、モーターサイクル系とも違いますね。まさにエルメスらしいワッペンですね。
三宅 外側がゴールドで内側が赤、その中に白いペガサス、ってあんまり見ない配色で好みです。全体のサイズは大きいけど、首の詰まり具合が絶妙で気に入りました。
祐真 裾の処理は?ちょっと緩くなっていますよね?
三宅 これがまたいいんですよ。裾が絞れるようになっていて。ただ、丈が少し長いので、タックインして着るとバランスいいかも。これだけの要素が凝縮されたスウェットってなかなか見つからないので、素晴らしいなと思いました。
祐真 さすがエルメスですね。
三宅 厚いけど柔らかい、ハリのある生地も好みです。
エルメス マウンテンブーツ 12万8000円
祐真 存在感抜群ですね。
三宅 サイズ感がバッチリな上、紐の色も可愛くて、最高です。足元はバチンと決めたいタイプなのですが、こういうブーツはなんというジャンルになるのでしょうか?
祐真 マウンテンブーツないしは、トレッキングブーツでしょうかね。モンキーブーツとも言いますね。
三宅 なるほど。その、マウンテンブーツをモデルにしていると思うのですが、エルメスの素晴らしいファッションの要素が凝縮されていて素晴らしいです。このステッチ使いもカッコいいです。
祐真 エルメスのステッチワークは素晴らしい。これ、カッコいいですね。ステッチひとつで全てを変えてしまうわけですから。
三宅 ほかのアウトドアブランドとはこういうところが違うんですよね。あとはベルトのデザインも好きです。もしこのベルトバックルがなかったら……ここまで惹かれないかなと思います。
祐真 このベルトも一役買っているわけですね。
ジャンポール・ゴルチエ 90'sデッドストックサングラス 16万8000円
祐真 サイドのぜんまいのようなデザインが特徴ですね。
三宅 このスプリング、好きですね。かけた時にしっくりくるデザインだと思いました。
祐真 顔が小さいので、お似合いですよ。
三宅 黒と金が好きなんですよ。純金であれば言うことなし、です。仮にこのスプリングのデザインがなかったとしても、ほかのサングラスとは違うカッコよさがあると思います。デザイン性にオリジナリティがあるのはポイントが高いですね。
エルメス 世界50個限定ブークルセリエブレスレット 59万8000円(SOLD)
祐真 重厚感がありますね。
三宅 この重みがたまらないです。腕につけた時の重みと存在感がたまらない。テーブルの上に置いてる時よりも実際つけてみたら素晴らしさがより一層際立ちました。
祐真 質感もいいですね。今日の格好にも合っているし、似合いますよ。
Page03. 藤井・ストックラボバイヤーに聞く
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藤井バイヤーに聞く、ストックラボの売れ筋と要注目ブランドとは?
祐真 古いデザイナーズの服に興味を持たれたきっかけは何ですか?
藤井・ストックラボバイヤー(以下、藤井) 単純に僕が昔から古着ばっかり着ているというのは大きいですね。そしてこの仕事を始めて、いろんな洋服を仕入れていく中で、現行で出ているものだけを買っていてもあまり面白みがないなと感じていた時に、安くて一見価値のなさそうなものを集めて店頭に出してみたら意外と反応がよかったんです。みんなが求めているものって新しいだけじゃないんだなと感じました。古着が好きでもそうでなくても、カッコいいものだったら受け入れられるのだなと思いました。
祐真 ご自身が特に好きな古着は何ですか?
藤井 アメリカ古着もヨーロッパ古着も好きですが、雰囲気がいいものであれば欲しくなりますね。僕自身はリーバイスのデニムしか穿かないので、トップスはもっぱらデニムに合うものばっかり。新しいも古いも関係なく買いますね。
祐真 お店にはメンズよりもレディスの品揃えの方が多いですが、一番売れるのは何ですか?
藤井 シャネルのツイードジャケットが多いですね。シルバージュエリーの需要も高いです。レディスの取り扱いが多くなったのも、一般的にメンズってアイテム数がかなり少ないことも関係しているんですよね。
祐真 デザイナーズブランドのヴィンテージ化が進んでいると思うのですが、価値は高まっているのでしょうか?
藤井 個人的にはもっと高まってほしいと思っています。例えば、(ジャンポール・)ゴルチエや(ジャンフランコ・)フェレの洋服は、日本だと安く取引されているんですよ。
祐真 日本ではそれほど評価されていないということですか?
藤井 そのように感じます。フランスではもっと高い値段で取引されているようですが、日本は本当に安いんです。1000円とかで買えちゃうぐらいです。
祐真 それはブランドの認知度が低いからでしょうか?
藤井 そこも一つのポイントかもしれないですね。
祐真 今ブランドとしてゴルチエとフェレが挙がりましたが、ほかに価値が上がりそうだなと思うブランドはありますか?
藤井 まったく騒がれていないので、おそらく話題にもなっていないと思うのですが、個人的にレノマに興味があります。アンディ・ウォーホルが着ていた古い、ライセンスではない頃のメンズのフィールドジャケットをずっと探しているのですが、なかなか出て来ないんですよね。
祐真 創業者、モーリス・レノマでしたよね。確かご健在のはずだけど、写真も撮るんだよね。一回パリで会ったことある。
藤井 そうですそうです!
祐真 写真を見に来いって言われて。
藤井 めちゃくちゃうらやましいですね。
祐真 ヌード写真だらけでしたが。そうか、レノマね。面白いですね。確かに今、ライセンスしかないもんね。
藤井 そうなんです、ライセンスしか見つからないんです。レノマ、欲しいですね。写真でもいいので、レノマ自身が作ったコレクションを見てみたいです。
祐真 90年代のマルジェラはどうですか?
藤井 もちろん僕個人としては好きです。僕が言うまでもないですが、誰もが認める洋服を作っているという意味ではマルジェラはもっと注目されるべきだと思いますね。僕も欲しいですし、エルメスのデザイナーを務めていた頃のコレクションも素晴らしいです。
祐真 では、エルメスやシャネルのように、サンローランやディオールが並ぶことはありそうでしょうか?
藤井 サンローランはライセンスが多くて、オリジナルと見分けが付きにくい部分があるんです。エルメスやシャネルと比べると、サンローランもディオールもアイテム数が少ないというのが現状です。フェレがディオールにいた時期のものなども探してはいるのですが、なかなか出てこないんですよ。昔のサンローランは、オートクチュールに近いクオリティのものがたくさんあるのですが、なぜか残っていないんですよね。
祐真 デザイナーズブランドというと、ヨーロッパがメインになるのですか?アメリカのブランドはどうですか?
藤井 確かにアメリカ人デザイナーと言われたらあまり思い浮かばないかもしれません。
祐真 ところで(アレキサンダー・)マックイーンはどうですか?
藤井 中古市場ではまだそこまで価値はないかもしれませんね。ジル・サンダーもそれほどではなさそうです。僕らの業界だと、売れるか売れないかで値段が左右するんです。その点で言うと、エルメスとシャネルの価値は目を見張るものがあります。とにかく人気がありますね。
祐真 特に女性にとっては、なのかもしれないですね。今日はありがとうございました。
三宅亮輔|MIYAKE Ryosuke
1995年7月3日京都府生まれ。MEN'S NON-NO専属モデル。新進気鋭のメンズモデルとしてアパレル撮影を中心に有名アーティストのPVや雑誌で活躍中。趣味はヴィンテージ(古着)収集。時間さえあればお気に入りのショップに入り浸る程のファッションマニア。Instagramアカウント:@ryosukemiyake_
STOCKLAB(ストックラボ)麻布十番店
住所|東京都港区麻布十番 2-3-3 晴花ビル2F
電話番号|03-5439-5543
営業時間|11:00〜20:00(臨時休業・年末年始を除いて無休)
URL|www.stock-lab.com/
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