祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.23 メンズノンノ専属モデル 三宅亮輔さん(前編)
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メンズノンノ専属モデルとして活躍中の三宅亮輔さんは、物怖じしない、凛とした立ち振る舞いが印象的だ。どんな洋服もさらりと着こなしてしまう彼のセンスの良さは誌面からも伝わるが、プライベートでは古着を好んで着ているという。そんな三宅さんがリコメンドする都内の古着屋3店舗を祐真朋樹・弊誌編集大魔王とともに巡る。シリーズ第1回目の今回は、三宅さんが古着の世界に足を踏み入れるきっかけとなった、三軒茶屋の「真性洋服屋 NOIR(ノワール)」へ。
Interview by SUKEZANE TomokiPhotographs by SATO YukiText by ANDO Sara (OPENERS)
メンズノンノ専属モデル 三宅亮輔さんがおすすめする古着屋3選
祐真朋樹・編集大魔王(以下、祐真) 今日はヴィンテージ好きの三宅君がおすすめする古着屋を3店舗一緒に回るのですが、普段はやはり古着ばかり着ているの?
三宅亮輔さん(以下、三宅) はい。古着が大好きなので、時間があればよく古着屋巡りをしています。今回ピックアップしたのは、僕の行きつけのショップの中でも特に好きな3店舗です。
祐真 どんなところが魅力なのでしょうか。
三宅 セレクトされたアイテムがオシャレで味わい深いのはもちろんですが、それぞれのオーナーが魅力的なんです。知識も豊富だし、根底にある人間性が素晴らしいというか……。話をしに行くだけでも価値があるので、どれも何度でも足を運びたくなるお店です。
祐真 なるほど。では参りましょう。
こだわりの一点ものを探すならここ!「真性洋服屋 NOIR(ノワール)」
祐真 さて、三軒茶屋に来ましたが、最初に行くお店は?
三宅 僕の一番のお気に入りのノワールです。古着にハマるきっかけとなったお店です。
祐真 最初は誰と行ったんですか?
三宅 三茶に住んでいる友達に連れられて行ったのがそもそもの始まりです。「古着でも見てみよう」ってなって。3年ぐらい前ですかね。その時、店長は感じが悪かったというか尖っていたというか(笑)。ジロジロ見てくるわりに話しかけてはこないんですよ。でも2回目に行った時に親しみやすいスタッフがいたおかげで、それ以来、かなりの時間とお金を費やしているお店になりました。今では店長とは仲良しです。
祐真 なるほど、確かにここのスタイルは面白いですね。ヴィンテージもありつつ、デザイナーズブランドも並んでいて。
三宅 僕は60年代以前の古着が好きなのですが、ここはレアな50年代のアイテムも多いんです。それ以外の商品もどれもクオリティが高くて面白いですよ。
祐真 60年代以降のアイテムには手は出さないの?
三宅 もちろんカッコよければ買いますよ。この前ここで買ったのはペンキが飛び散ったリーバイスのデニム。デザインがカッコよかったので買いました。全てにおいてそうですが、カッコいいかどうかが決め手です。
祐真 古着狂はノワールから始まったのですね。
三宅 はい。それから古着屋はいろいろと見ましたが、やはりノワールが一番落ち着きますね。柔軟なセレクトと世界観にたくさん影響を受けました。古着屋なのにアンティークジュエリーの取り揃えも幅広いですし。数ある古着屋の中でもここまで高い水準でやっているところは少ないと思います。
祐真 50年代のアメリカの古着をはじめ、ただ古いものを並べるだけではなく、デザイナーズブランド古着も置いているうちに、お客さんがいらなくなったブランド古着を売りに来るようになったというエピソードも面白いですね。お店として売り手にも買い手にもお互いにいい効果がありますね。
Page02. 三宅さんが選んだアイテムをチェック!
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1950年代のウェスタン風シャツ 1万3900円
三宅 ウェスタンシャツって好きなんですよ。スカジャンもそうですが、刺繍やワッペンが好きなんですよね。
祐真 ウェスタンシャツによくある仕様ですが、切り替えもポイントになっていますね。レーヨンの生地感もいいですね。
三宅 イタリアンカラーもいいし、赤も効いていると思います。
祐真 半袖シャツってどうですか?着ますか?
三宅 好きですね。アロハシャツも好きなんですが、去年アロハ再来してたじゃないですか。
祐真 ヴィンテージアロハは古着においてフォーエバーだと思いますが、去年は特に良く見かけましたね。
三宅 僕、流行りに乗るのは好きじゃないんです。皆が着ているからいいや、って思っちゃう。それならちょっと変わったヴィンテージシャツが着たいと思い、これを選びました。
祐真 確かに今年はアロハシャツ着たくないもんね。
三宅 今年の夏はウェスタンシャツに注目しています。
1950〜60年代のヴィンテージスウェット 1万7900円
三宅 パーカなどヴィンテージスウェットが大好きなのですが、この長いリブがたまりません。コットンの厚みも絶妙です。この時代のものはポリが入らないコットン100%なので、生地がふかふかしているんです。
祐真 このワッペンはいかがなものかと思ってしまうのですが。
三宅 このスウェットに関してはこのワッペンがいいんですよ!
祐真 そうですか(笑)。ライフガードのようですが似合っていますよ。
アロハシャツ 3万4900円
祐真 あれだけ皆が着ているからアロハは着ないと言っていましたが。
三宅 和柄は別です。いざアロハシャツを着るとなった時は、直球で着たくないので。
祐真 アロハシャツは日系人がハワイで作ったものだから、そもそもは着物生地でできているんですけどね。でもこれは状態もいいし、似合ってますよ。あなたはやっぱり着物が似合いますね。
三宅 着物はあまり着る機会がないですけど、これなら気軽に取り入れられますね。
ニールバレットのブルゾン 2万9900円
祐真 これはかなり着込んでいるようですが、色がいいですね。
三宅 着てみたらサイズ感もいいんですよ。
祐真 ノワールにおいて唯一デザイナーズブランドを選びましたが、古着とデザイナー服のミックスはよくするんですか?
三宅 あえて混ぜようとしているわけではないですし、全身ヴィンテージの日も全身デザイナーズブランドの日もあります。特にこだわっているわけでもないのですが、わりとミックスしてしまうことが多いですね。
祐真 ヴィンテージが持つ決められた世界観だけだと物足りないとか?無意識にでも、ミックスすることで鮮度が上がるというのはあるかもしれませんね。
三宅 いろいろな要素があるほうが深みが出ますよね。
Page02. 宮崎大輝・ノワール店長に聞く
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宮崎大輝店長に聞く、ノワールのこだわりと魅力
祐真 オープンして5年経ったそうですが、当初からこのような商品構成でやっているのですか?
宮崎大輝・ノワール店長(以下、宮崎) 最初はもう少し絞っていたかもしれません。ブランドものはあまりなかったのですが、徐々に幅が広がっていった感じです。元々好きなものは変えずにやっています。
祐真 ヴィンテージで好きな時代はいつですか?
宮崎 1950年代ですね。生地が抜群にいいんですよ。色柄もここまで発色のいいものはほかにないですよ。デザイン的に増えたのもこの時代です。アメリカの古着でいえば50年代と言えますね。ラインナップは50年代を中心に、ブランドのオールドものなんかを揃えています。
祐真 デザイナー古着はどういうきっかけで始めたんですか?
宮崎 もちろん好きなんですけど、50年代のアイテムばかりでもデザイナーズブランドだけでも全部同じになってしまうというか。この店でひとつのカッコいい完成形を作れたら、と考えた時にいろんなテイストがあったほうがいいなと思ったんです。ブランドものはやはり質もデザインも優れていますし。
祐真 一緒に売ることに違和感はありますか?
宮崎 ないですね。むしろあったほうが面白いかな、と。90年代や00年代のものが多いのですが、お互いの良さを引き出していると思います。
祐真 その年代のデザイナーものと店長の好きな50年代とつながるものがあるのでしょうか?
宮崎 50年代の影響を受けたデザインのものもありますが、レプリカではなく、むしろかけ離れたものを合わせて面白くなればいいなと思っています。まったく関係ないであろうものを並べてみると面白かったりするんですよ。
祐真 ヴィンテージのアイテムに混じってJ.W.Andersonのスウェットが格安で売られているのはかなり面白いと思いました。狭い空間の中で入り乱れているというのは新しいですよね。そこにヴェルサーチの引き出物のようなものを「買って」と言って持って来るおばちゃんの姿があったりして。
宮崎 そういうおばちゃん多いです(笑)。
祐真 お客さんはやはりコアな50’sを求める方が多いのですか?
宮崎 そういう方もいらっしゃいますね。そこからブランドものに興味が移った方、ブランドが好きで来たら50’sに目覚めてしまったという方もいらっしゃいますよ。
祐真 服はどこで仕入れているのですか?
宮崎 買い付けは、アンティークジュエリー以外はほぼ日本です。アメリカから持って来ているのもありますが、卸の会社があるので随時行なっています。ペース的には月に10回ほどでしょうか。あとはコレクターや個人の方に売っていただいたり。ブランド古着で多いのが買い取りですね。個人所有のものが状態や質もよかったりするんですよ。
祐真 アクセサリーのセレクトも豊富ですね。
宮崎 男女問わずセレクトしているのですが、男性でアクセサリーを好んでつけられる方ってそこまでいないんですよ。三宅君はしていますが。こういう世界もあるよ、こういうのも面白いよということを伝えられたらと思って幅を出して力を入れています。
祐真 ジュエリーの買い付けはどちらへ行かれるんですか?
宮崎 イギリスのヴィンテージフェアやアンティークセンターなどへ年2回ほど行っています。日本では買えないものがたくさん見つかるんです。
祐真 やっていて楽しいことは何ですか?
宮崎 僕が好きなものはコアで、ちょっと値段が張ったりするものが多いので、そんなにパッと買えるものではないと思うんです。でも、話しているうちにどんどんその魅力が伝わって、ファンが増えて巻き込んでいけているな、と実感できることが楽しいです。
祐真 (三宅さんを指して)こちらの方なんかまさにそうですね。
宮崎 はい、ありがとうございます(笑)。
祐真 お店の入り口の看板の意味は?
宮崎 創業当時に作ったものですね。“本物の”とか、“真の”とか“色あせない”という意味を込めました。
祐真 なるほど、いいですね。最後にポリシーを聞かせてください。
宮崎 セレクト命、ですね。一つひとつ選んでいるということはもちろんですが、買い取りの場合も、置きたくないものはお断りしていますし。認めた、といったら偉そうですけど、一定のラインをクリアしたものだけを置いています。妥協はしたくないので。絶えず良いものを供給し続けられるよう努力しています。
祐真 ありがとうございました。
三宅亮輔|MIYAKE Ryosuke
1995年7月3日京都府生まれ。MEN'S NON-NO専属モデル。新進気鋭のメンズモデルとしてアパレル撮影を中心に有名アーティストのPVや雑誌で活躍中。趣味はヴィンテージ(古着)収集。時間さえあればお気に入りのショップに入り浸る程のファッションマニア。Instagramアカウント:@ryosukemiyake_
真性洋服屋 NOIR(ノワール)
住所|東京都世田谷区三軒茶屋1-35-3
電話番号|090-8640-0317
URL|ameblo.jp/noir-clothes instagram.com/noir120317
営業時間|平日16:00〜24:00、土日祝 14:00〜24:00(年末年始のみ休業)