マイナーチェンジを受けた新型フォルクスワーゲン ゴルフに試乗|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2017年6月21日

マイナーチェンジを受けた新型フォルクスワーゲン ゴルフに試乗|Volkswagen

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフがあれば、××はいらんではないか

第7世代となる現行型フォルクスワーゲン「ゴルフ」が、2011年11月にマイナーチェンジを受けたのはご存じの通り。日本ではこの5月に導入されたばかりの、“ゴルフ7.5”ともいうべき最新モデルに、さっそく箱根で試乗した。

Photographs by ARAKAWA MasayukiText by IMAO Naoki

まるで「Eクラス」みたいな快適さ

箱根で開催された新型フォルクスワーゲン「ゴルフ」の試乗会で最初に乗ったのは、アトランティック ブルー メタリック、濃紺のゴルフ ヴァリアント TSIハイラインだった。乗り心地のよさに驚いた。まるで大型車、メルセデスでいえば、「Cクラス」というより「Eクラス」みたいな快適さだ。

ま、ちょっと大げさに書いてますけれども、なんせ筆者は2002年式の小さなルノー「ルーテシア」で箱根までやってきていたからご勘弁ください。たいていのクルマは筆者のクルマから乗り換えるとよく感じてしまうのである。にしても、最新型ゴルフの出来のよさに感嘆しないではいられない。い~いクルマだ。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフ ヴァリアントは、事実は異なるけれど、ホイールベースがゴルフのハッチバックより長いと感じるほど乗り心地に落ち着きがある。リアが70kg、大人1人分ほど重いことがよい方向に働いているのかもしれない。ドイツ車らしく若干固めではあるけれど、サスペンションがしっかり動く。ボディの剛性感ときたら石づくりの中世の城のごとしである。

ドイツ本国では発表以来およそ3年半でマイナーチェンジを受けた、この“ゴルフ7.5”とでも呼ぶべき最新型の主な改良点は、デジタル化への対応と“オールイン・セーフティ”なる自動ブレーキやら渋滞時追従支援システムやらからなる運転支援システムの充実にある。パワートレインについては「GTI」、「R」の高性能モデル以外は特に言及がない。フツウのゴルフは、ハッチバックもワゴンのヴァリアントも、下から「トレンドライン」、「コンフォートライン」、「ハイライン」の3グレードで構成されるのはこれまで通りだ。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフがあれば、××はいらんではないか (2)

マイチェンの狙いはゴルフのいっそうの高級化

今回の試乗会で用意されたのは、このうちハイラインのみで、なぜそうだったのかといえば、フォルクスワーゲンでは「パサート」のハイブリッドである「GTE」や「ティグアン」に次いで採用された12.3インチのデジタルメーター“Active Info Display(アクティブ インフォ ディスプレイ)”が選べるのはハイラインだけだからだ。マイチェンの目玉がデジタルメーターであると主張しているのに、いやぁ、トレンドラインとコンフォートラインには設定がないのです、と頭をかくわけにはいかんのである。

ジマンのLEDヘッドライトも、標準装備するのはハイラインだけだし、“ダイナミックターンインジケーター付き”の流れるLEDテールライトはハイラインで“テクノロジーパッケージ”を選ぶと“アクティブインフォ”ことデジタルメーターと一緒についてくるオプションなのだ。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

フォルクスワーゲンの狙いが何かといえば、ゴルフのいっそうのブランド化、高級化の一環と解すことができる。トレンドラインは249万9,000円、コンフォートラインが279万9,000円、そしてハイラインが325万9,000円。ハイラインでのみ選べる“テクノロジーパッケージ”は17万2,800円、“Discover Pro(ディスカバープロ)”なるナビゲーションを含む純正のインフォテイメントシステムが22万6,800円。合わせて365万8,600円。389万9,000円のゴルフGTIが視野に入ってくる ―― 。う~む。悩ましいでしょうなぁ、ゴルフ欲しい人は。ゴルフ400万円時代の到来は近い。ちなみにゴルフVIIの販売は、コンフォートラインとハイラインが半々ぐらいだという。250万円弱のトレンドラインは納期にやや時間がかかる、というような存在であるらしい。

もちろん筆者はこの高級化路線を責めているわけではない。私には私の事情があり、フォルクスワーゲンにはフォルクスワーゲンの事情というものがある。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフがあれば、××はいらんではないか (3)

1.4リッターTSIユニットの強烈な低速トルクが印象的

ゴルフ ヴァリアントは、ルーフが長いおかげで後席居住空間も広く感じられるわけだけれど、もちろんキモは荷室が広いことである。やや余談ながら、荷室のフロアの下にスペースセイバーのタイヤが入っていて、さすがフォルクスワーゲンである、と感心した。パンク修理剤だけより、はるかに安心感がある。

ゴルフ ヴァリアントがあればパサートはいらんではないか、と筆者は思うけれど、世の中にはパサートが欲しい方もいらっしゃるわけで、その方にはその方の事情があることもまた、ここで改めて申し上げるまでもない。あぁ、私はなにをゴチャゴチャ書いているのでしょう。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフ7.5はホントにいいクルマである。ヴァリアントのあと、ピュアホワイトのハッチバックのTSIハイラインに乗って、ヴァリアント同様、芦ノ湖スカイランの峠の茶屋までひとっ走り往復した。印象的なのは1.4リッターTSIユニットの強烈な低速トルクである。最高出力こそ140psと控えめながら、最大トルクは250Nmもある。自然吸気だと2.5リッター級の駆動力を1,500-3,500rpmで生み出す。ヴァリアントのほうがリアが重い分、顕著に感じられたけれど、たとえば箱根にはままある、やや登りの坂道のT字路で一旦停止したのち、アクセルを不用意に踏み込むとフロントのタイヤが空転して絶叫する。そんなつもりはなかったのに ―― 実用車としてはトルクありすぎ、と思うほどだ。

クルマとしてよりバランスがいいのはハッチバックであり、ハッチバックがあればヴァリアントはいらんではないか、と筆者なんぞは思うわけだけれど、世の中にはゴルフ ヴァリアントがほしい方もいらっしゃるわけで、その方にはその方の事情があることもまた、ここで申し上げるまでもない。

なお、TSIには“ドライビングプロファイル機能”なる、いわゆるドライブモードが標準でついており、エンジンと7段DSGのシフトプログラムを“エコ”“スポーツ”“カスタム”と変えることができる。この切り替えスイッチはシフトレバーの影に隠れていて、早くいってもらわないと気づかない。筆者は“スポーツ”で走っていたようで、もしトルクが多すぎるというような考えを抱いたならば、“エコ”でドライブしていただいたらよろしいのではあるまいか。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフがあれば、××はいらんではないか (4)

兄弟車のアウディ「S3」より気持ちいいかもしれない

最後にもう1台、ゴルフ最強バージョンの「R」でも芦ノ湖スカイラインを駆け抜けた。GTI用の2リッター直噴ターボも最高出力が10psアップして230psを誇っているけれど、4WDのR用は30psも強力になり、最高出力310psにも達している。300psオーバーといえば、ちょっと前、といっても70年代だけど、スーパーカーである。GTI同様、マニュアルもあるけれど、試乗車は7段DSGで、18インチの225/40という扁平タイヤを標準装備する。銘柄はポテンザS001。

ということを確認して走り始めると、すぐさまひときわキリッと硬いと感じる。確かに硬い。けれど、“DCC(アダプティブ シャシー コントロール)”なる電子制御の可変ダンパーを備えていて、硬いのにすこぶる快適で、ボディがガタゴト揺すられたりしない。硬いのにフラットで、心地よい。

車重はフツウのゴルフに比べると2クラス重い1,510kgある。ハイラインのハッチバックは1,320kgで、前後荷重がそれぞれ100kgほど増えているのだ。しかしながら、Rのターボユニットはこのような体重増加をいっさい気にしない。最高出力310ps/5,500-6,500rpm、最大トルクは400Nm/2,000-5,400rpmもある。自然吸気でいえば4リッターV8並みだ。

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

Volkswagen Golf|フォルクスワーゲン ゴルフ

ノーマルでも野太い快音を発しているけれど、ドライブモードをレースに切り替えると、ゴオオオオッという排気音がいっそう大きくなり、DSGのプログラムがDからSに自動的に切り替わる。コーナーの手前でブレーキを強めに踏むと、それだけでバウッバウッと中吹かしを入れながらダウンシフトしてくれる。そこからフルスロットル! 4WDだからきわめて安定している。もしかして、兄弟車のアウディ「S3」より気持ちいいかも ――

ゴルフRは、デジタルメーターもナビも、流れるLEDテールランプも、それに専用のレザーシートも標準で、お値段559万9,000円。6段マニュアルだとこの10万円安で手に入る。ヴァリアント ボディがお望みのむきには10万円高で用意されている。

ゴルフRがあれば、606万円もするアウディS3はいらんではないか、と筆者なんぞは思うわけだけれど、世の中にはS3がどうしても欲しい方もいらっしゃるわけで、その方にはその方の事情があることもまた、ここで申し上げるまでもない。と知りつつも、ゴルフがあれば、××はいらんではないか。そうつぶやく私でした。

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Volkswagen Golf TSI Highline|フォルクスワーゲン ゴルフ TSIハイライン
ボディサイズ|全長 4,265 × 全幅 1,800 × 全高 1,480 mm
ホイールベース|2,635 mm
エンジン|1,197cc 直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ
最高出力|103 kW(140 ps)/4,500-6,000 rpm
最大トルク|250 Nm(25.5kgm)/1,500-3,500 rpm
トランスミッション|7段DSG
最小回転半径|5.2m
定員|5人
JC08モード燃費|18.1 km/ℓ
価格|325万9,000円

Volkswagen Golf Valiant TSI Highline|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TSIハイライン
ボディサイズ|全長 4,575 × 全幅 1,800 × 全高 1,485 mm
ホイールベース|2,635 mm
エンジン|1,394cc 直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ
最高出力|103 kW(140 ps)/4,500-6,000 rpm
最大トルク|250 Nm(25.5 kgm)/1,500-3,500 rpm
トランスミッション|7段DSG
最小回転半径|5.2m
定員|5人
JC08モード燃費|17.3 km/ℓ
価格|339万9,000円

Volkswagen Golf R|フォルクスワーゲン ゴルフ R
ボディサイズ|全長 4,275 × 全幅 1,800 × 全高 1,465 mm
ホイールベース|2,635 mm
エンジン|1,984cc直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ
最高出力|(MT)228 kW(310 ps)/5,800-6,500 rpm
       (DSG)228 kW(310 ps)/5,500-6,500 rpm
最大トルク|(MT)380 Nm(38.7 kgm)/1,850-5,700 rpm
        (DSG)400 Nm(40.8 kgm)/2,000-5,400 rpm
トランスミッション|6段MT / 7段AT(DSG)
最小回転半径|5.2m
定員|5人
JC08モード燃費|(MT)12.6 km/ℓ  (DSG)13.0 km/ℓ
価格|(MT)549万9,000円  (DSG)559万9,000円

問い合わせ先

フォルクスワーゲン カスタマーセンター

0120-993-199

           
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