ついに復活! ホンダNSXが日本でも正式発表|Honda
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2016年11月15日

ついに復活! ホンダNSXが日本でも正式発表|Honda

Honda NSX|ホンダ NSX

ついに復活! ホンダNSXが日本でも正式発表

8月25日、26年ぶりにホンダNSXがフルモデルチェンジし、日本でも発表。27日より販売が開始される。価格は2,370万円である。

Text & Photographs by UCHIDA Shunichi

新時代のスーパースポーツ体験“New Sports eXperience”

初代「NSX」に魅了されHonda R&D Americas,Inc.に入社した、新型NSXの開発責任者テッド・クラウス氏は、「初代NSXは、“スポーツカーはこうあるべき”というホンダの主張だと感じました。コンパクト、低重心、高剛性シャシー、優れた視認性、シンプルで人間工学に基づいたインターフェース。そしてドライバーに直結するクルマづくり。これこそが、新型NSXで目指したものにほかなりません。すなわち、初代NSXのコンセプト“人中心のスーパースポーツ”を継承しながら、新時代のスーパースポーツ体験“New Sports Experience”を実現したのです」と述べ、新型が初代の延長線上に位置していることを強調した。

さらに、日米合同チームで開発をスタートするにあたり、「まず日本で、初代NSXの開発メンバーや、何人ものオーナーに会い、NSXの築いた伝統、すなわちNSXらしさとは何か、を深く理解することから始めました。このNSXらしさを基準に、開発のすべての意思決定を行ってきたのです」と明かした。

Honda NSX|ホンダ NSX

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そして、新型NSXについて3つの基本コンセプトを作り上げた。その1つ目は、“瞬間に反応する加速性能”だ。これは、アクセル操作に対して、俊敏かつリニアに反応する加速フィールを目指したもの。

2つ目は、“ドライバーに呼応するハンドリング性能”。スロットル、ブレーキング、ステアリングなど、ドライバーからのインプットに高い精度で呼応し、人とクルマの直感的なコネクションを創造する。

最後は“ヒューマン・フィット”だ。キャビンの人間工学的な配慮に加え、ドライバーの個性やスキルに関わらず、だれもが楽しめるスポーツカーを目指した。クラウス氏は、「我々はこれらのコンセプトを、最新技術を駆使して実現することで新時代のスーパースポーツ体験を提供するのです」と述べた。

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ついに復活! ホンダNSXが日本でも正式発表(2)

ホンダ独自の電動化技術を融合

新型NSXのパワートレインは、高効率・高出力の3モーター ハイブリッド システム“SPORT HYBRID SH-AWD(Super Handling-All Wheel Drive)”を採用。ミッドシップに搭載された新開発のV型6気筒ツインターボエンジンと、9段DCT、そしてアクセル操作に即応する特性を持つモーターをフロントに2基、エンジンのクランク軸に1基加え4輪へ自在に駆動力を伝達する。

フロントのツインモーターは、最高出力27kw(37ps)/4,000rpm。最大トルク73Nm(7.4kgm)を発生。前輪左右のプラストルクとマイナストルクを自在に制御し、トルクベクタリングにより、オンザレール感覚を実現するという。

リアのダイレクトドライブモーターは、35kw(48ps)/3,000rpm、148Nm(15.1kgm)/500-2,000rpmを発揮。このモーターはエンジンに直結され、モーター特有の優れたレスポンスでエンジンをアシストするとともに、ターボラグを解消。また、発電も行われる。

Honda NSX|ホンダ NSX

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リアのミッドに搭載される3.5リッターV型6気筒DOHCツインターボエンジンは、373kw(507ps)/6,500から7,500rpm、550Nm(56.1kgm)/2,000-6,000rpmと、高出力とフラットなトルク特性を実現、コンパクト化と低重心配置により運動性能の向上に大きく貢献している。ちなみにシステム合計値は427kW(581ps)、646Nm(65.8kgm)となる。

ボディには複数素材によるスペースフレームを採用。その結果、コンパクトなサイズを維持したまま、軽量かつ高い剛性と優れた衝突安全性を誇る最新のボディを実現したとしている。サイズは、全長4,490mm×全幅1,940mm×全高1,215mm、車両重量は1,780kgだ。

さらに新型NSXには、新開発の“Integrated Dynamics System”が装備された。これは、走行シーンに合わせて、静粛性を目的とした“QUIETモード”からサーキットで性能を最大限に発揮する“TRACKモード”まで ドライバーのニーズに合わせ、シャシーの設定と SPORT HYBRID SH-AWDのパワーユニットシステムを統合してダイナミクスとテイストを制御するもので、 4つのモードが選択できる。これにより、より幅広いシーンで、誰もが我慢を強いられることなくスーパースポーツを楽しむことが可能になったという。

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エクステリアデザインコンセプトは“INTERWOVEN DYNAMIC”

基本デザインは日本で行い、その後、アメリカと共同で開発しながら、生産化に向けて熟成させたという。その考え方も、初代NSXの思想を継承し、“人”を中心としたパッケージを成立させ、取り回しのしやすい視界やボディサイズを実現することを前提に構築されている。

“INTERWOVEN”を意訳すると、二律背反を意味するとのこと。すなわち、低中速でのスポーツ性と高速域でのゆるぎない安定感という相反する性能の両立や、スーパースポーツのハイパフォーマンス性と、時代に即した環境性やジェントルな価値を融合するという新型NSXが目指した方向性を表している。それが、力強さと軽さという両極の側面を編み合わせた、先進のエクステリアデザインとして結実しているという。

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具体的には、ボディ下面を極限まで下げ、前後異径タイヤの存在を強調するような、張り出したフェンダーをくさび形のボディーラインに融合。視界の良いフォワードキャビンを収めたルーフラインは、 テールに向かいながらややリフトアップし、見た目にも空力性能の良さが表現されている。

そうした力強さを持つ骨格と相反する軽さは、薄い外板でつくり上げたフローティングリアピラーなど、羽根のような軽快さを感じる薄い構造体でボディができているような見え方で表現。全体としては1つの塊感のある力強いスポーツカーとしての骨格を目指している。

同時に、機能も追求された。その1つは空力で、Cピラーにあたる“フローティングリアピラー”は、ボディサイドに沿って流れる空気を効率的に側面のサイドインテークに誘導。リアの熱排気ベントまわりやリアウインドウの外側終端付近に負圧ゾーンを形成することで熱排気の効率を上げ、エンジン冷却にも寄与させている。

そのほか、Aピラーから伸びるドアミラーも空力とともに、視界確保にも貢献するなど、機能からくる美しさを追求したデザインになっているという。

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インテリアにも初代NSXからの思想を継承

この考えはインテリアにも踏襲されている。初代の重要な要素の1つである視界の良さを受け継ぎ、“人”を中心とする開発思想のもと、視界・視認(見る)、操作性(操る)、そして心地よさ(触る)領域を感性に深く訴えるところまで追求しデザインしたとのこと。

スポーツカーといえども視界は重要だ。視界が優れているほうが運転しやすく、正確なドライビングができるからだ。この初代NSXからの思想を継承し、優れた視界の確保に徹底してこだわった。3DQ超高張力鋼管の採用で断面を小さくしたフロントピラーと、位置を外側にオフセットしたドアミラーに加え、ステアリングホイールの上部を平たくし、ダッシュボードを低くすることで、コーナリング時の前方と横方向に優れた視界を確保。さらに、フロントフェンダーの盛り上がりが見えるため、タイヤの位置が認識しやすく、コーナリング時にクリッピングポイントを狙いやすいという。

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NSXはアメリカからやってくる

2代目NSXの製造は、アメリカはオハイオ州メアリズビル四輪車工場に隣接する専用工場“パフォーマンス マニュファクチュアリング センター”で、熟練した約100名の従業員がボディ製造、塗装、最終組み立てまでを担当する。

特に、3.5リッターV6ツインターボエンジンに関しては、組み立てからバランス調整まで一基あたり6時間をかけ、アンナ工場のエンジン専門の匠が担当するという。

さらに、パワーユニットを構成するエンジン、9段DCT、そしてダイレクトドライブモーターとフロントツインモーターユニットは、一基ずつベンチテストと慣らし運転が行われる。まず2,000rpmで5分間、次に3,000rpmで20分。次に4,000rpmでさらに20分回す。そのうえで、入念なデータ収集と品質検査が実施され、納車後すぐに最高の走りが堪能できる状態が整えられる。

新型NSXの開発責任者テッド・クラウス氏は「25年前、私が日本に駐在していた時に、同僚たちに“将来、米国の研究所が、日本と同じくらい、いや日本よりも強くなるといいな”といいました。しかし、実際には、我々は言語や国を超えて、同じ価値観を共有している“One Team(一つのチーム)”です。そんな我々が作ったこの新型NSXは、Hondaにしか作ることができないスーパースポーツです」と語った。

一方、八郷隆弘社長は、「お客様に喜んでもらう、そして、新しい価値を提供するために、志を高く持ち自分たちでやるんだという気持ちで技術を追求するホンダスピリットは、国境も言語も超えた世界共通の精神です。新型NSXは、そんな志を共有した日米行動チームが情熱を注ぎこんだクルマであり、まさに“Team HONDA”の精神を具現した夢の結晶でもあるのです」と、日米が一丸となって作り上げたホンダの代表作であることを強調した。

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Honda NSX|ホンダ NSX
ボディサイズ|全長 4,490 × 全幅 1,940 × 全高 1,215 mm
ホイールベース|2,630 mm
重量|1,780kg
エンジン|3,492cc V型6気筒DOHC ツインターボ + 電気モーター(前×2、後×1)
ボア×ストローク|91.0 × 89.5 mm
圧縮比|10.0
エンジン最高出力|373 kW (507 ps)/6,500 – 7,500 rpm
エンジン最大トルク|550 Nm (56.1 kgm)/2,000 – 6,000 rpm
モーター(前)最高出力|27 kW(37 ps)/4,000 rpm (1基あたり)
モーター(前)最大トルク|73 Nm(7.4 kgm)/0-2,000 rpm(1基あたり)
モーター(後)最高出力|35 kW(48 ps)/3,000 rpm
モーター(後)最大トルク|148 Nm(15.1 kgm)/500-2,000 rpm
システム統合最高出力|427 kW(581 ps)
システム統合最大トルク|646 Nm(65.9 kgm)
トランスミッション|9段デュアルクラッチ
駆動方式|4WD(SPORT HYBRID SH-AWD)
サスペンション 前/後|ダブルウィッシュボーン式 / ウィッシュボーン式
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
燃費(JC08モード)|12.4 km/ℓ
駆動用バッテリー|リチウムイオン電池(72セル)
ハンドル|右
タイヤ|245/35ZR19 93Y / 305/30ZR20 103Y
最小回転半径|5.9メートル
最低地上高|110 mm
価格|2,370万円

           
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