日本デビューを果たした新型レクサスRXに試乗|LEXUS
CAR / IMPRESSION
2015年11月27日

日本デビューを果たした新型レクサスRXに試乗|LEXUS

LEXUS RX|レクサス RX

日本デビューを果たした新型レクサスRXに試乗

よりスポーティなデザインと走りを得て、今年4月のニューヨーク国際オートショーでデビューした新型レクサスRX。先月、日本デビューを果たした同モデルにさっそく試乗した。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

内外ともにクーペ的

フルモデルチェンジを受けたレクサスRXシリーズ。これまでより大型化し、スタイリング同様、走りはスポーティになったことが強調される。495万円からというプレミアムSUVとして、2014年度は5000台超がオーナーの手にわたった人気車種だ。それだけに、今回の変更に興味を惹かれるひとは多いだろう。4代目になって、2リッターエンジン搭載モデルもくわわった。

まず目を惹くのはボディスタイルだ。路面につきそうなぐらい力強く大型化した“スピンドル”グリルと、菱形とレクサスが表現するクーペ的なプロフィール、そしてエッジが立ったキャラクターライン。従来とは確実に一線を画した大胆な姿である。レクサスNXと共通のデザインランゲージが採用されているように思うが、RXシリーズのほうが、長いルーフと流れるようなサイドウィンドウの造型により、クーペ的な印象が強い。

クーペ的とは、比喩というより、このクルマの本質に近いかもしれない。なにしろ、ボディ剛性は従来より高められるとともに、フロントプラットフォームはつくりなおされ、ハンドリング性能が向上しているのだ。より運転を楽しみたい向きには、「Fスポーツ」仕様が用意され、硬められたダンパー等で、コーナリング時のボディロールなどが効果的に制御される。

Lexus RX 200t "F SPORT"|レクサス RX 200t "F SPORT"

Lexus RX 200t "F SPORT"

Lexus RX 200t "F SPORT"|レクサス RX 200t "F SPORT"

ラインナップは、RX200tとRX450hで構成される。前者は、NX200tにも搭載されている175kW(238ps)の最高出力と350Nmの最大トルクをもつ2リッター4気筒ターボエンジン。後者は、3.5リッターV型6気筒に電気モーターを組み合わせたハイブリッド。システム合計で230kW(313ps)と数値からしてパワフルだ。全長4890mm(先代+120mm)、全高1710mm(先代+20mm)、さらに重量約1.9トンという車体にたいして、2リッターで必要にして十分(以上)、ハイブリッドでは過剰に近いパワーが楽しめるという設定といえる。

RX200t、同450h、ともに前輪駆動と、AWDと呼称される四輪駆動が用意される。前者は負荷がないときは100対0のトルク配分で完全な前輪駆動になるオンデマンド型4WD。後者は後輪を電気モーターで駆動する電気式4WDシステムが採用されている。

「RXでありながら、RXであることを超えていく」とレクサスはする。少々禅問答のようなコメントだが、単純に、いいところを伸ばしていくという解釈でいいだろう。「プレミアム」SUVであるこのクルマの存在意義を、レクサスでは、ボディサイズとスポーティさに見出しているのだ。従来型を新型と並べてみると、女性的なやさしさすら感じる。新型は上質感をもちながら、けっこうアグレッシブだ。

試乗すると、たしかにブランドの思惑どおり、スポーティである。

LEXUS RX|レクサス RX

日本デビューを果たした新型レクサスRXに試乗(2)

幅広い層に対応するRX200t

外観は大型化しつつ、クーペをどことなく思わせるスタイリングイメージが印象的な新型レクサスRX。BMWのX4およびX6、それにつづくメルセデスベンツのGLEクーペ(日本には2016年導入予定)、そしてランドローバー・イヴォークまでおなじじカテゴリーに入れられるかもしれない。若々しくて、いい意味でアグレッシブだ。従来型とはだいぶ雰囲気がちがう。

操縦しても、スポーティだ。とりわけRX200t(のFスポーツ)は、運転を積極的に楽しみたいひとの期待を裏切らないのではないか。RX200tのラインナップ中もっともスポーティな仕様であるだけに、足まわりのセッティングはしっかりしている。

Lexus RX 200t "F SPORT"|レクサス RX 200t "F SPORT"

Lexus RX 200t "F SPORT"

Lexus RX 200t "F SPORT"|レクサス RX 200t "F SPORT"

エンジンは2リッターといえども、昨今の欧州の自動車メーカーが手がける同排気量のエンジンのレベルに近い。とりわけ「ドライブモードセレクト」でスポーツモードを選ぶと、するどい加速性と、回転ののびのよさを味わえる。サスペンションシステムのダンパーは硬めだけれど、そのぶん、コーナーではみごとな車体の制御を恩恵とし楽しめる。ステアリングには操舵初期における差動を抑制して切りはじめの遊びを小さくする機構も採用。おかげで、ひらりひらりとカーブを曲がっていける。

RX200tを勧めたいのは、そうはいっても、休日にはゴルフにもいくし、家族を乗せて、街中での買い物に日常的に出かけるような、自然体でつきあえるひとだ。その場合は、Fスポーツである必要はない。サスペンションシステムのコイルをやわらかめにするなどして、「疲れにくい乗り心地を追求」(レクサス)したというし、ノーマルもいいのでは。べつの見方からいえば、それだけ幅広い層に対応できる柔軟なコンセプトが、このモデルの魅力になっているのだ。

室内は広々としていて、後席は頭上にも足もとにもたっぷりと空間的余裕がある。座面がややフラットなのは、バックレストを倒して大きな荷物を積むこともあるために、しようがないのだろう。いっぽう前席はこれまで以上に快適性が増している。運転席、助手席ともに、囲まれ感のあるのが落ち着くのも、SUVとしての魅力とわかっているのだ。乗り降りもしやすいうえに、車体のサイズが把握しやすい。細かな配慮が行き届いているのに感心する。

よりスポーティに運転を楽しみたいなら、RX450tは最適だ。

LEXUS RX|レクサス RX

日本デビューを果たした新型レクサスRXに試乗(3)

スポーツ性を求めるならRX450h

スタイリングがクーペ的であるRXシリーズに、操縦面でもスポーツ性を求めるなら、RX450hは期待を裏切らないはずだ。3.5リッターV6エンジンは燃費などで有利なアトキンソンサイクルを採用。最高出力は193kW(262ps)、最大トルクは335Nm。くわえて、前輪駆動版では335Nmの電気モーターが、さらに4輪駆動版ではリアにも139Nmの電気モーターが組み合わされている。少し強めにアクセルペダルを踏むと、ぐいぐいと前に進む強い加速を体験できる。

RX200tのところでも触れたように、「ドライブモードセレクト」で「スポーツ」あるいは「スポーツ+」モードを選択すると、まるでスポーツクーペのような加速性を見せる。エンジン回転を上げていなくても、電気モーターの強いトルクを合わせたトヨタ流シリーズパラレルハイブリッド方式の面目躍如だ。走りのクオリティに重点を置いているといえる。

Lexus RX 450h "F SPORT"|レクサス RX 450h "F SPORT"

Lexus RX 450h "F SPORT"

Lexus RX 450h "F SPORT"|レクサス RX 450h "F SPORT"

昨今の欧州メーカーの(プラグイン)ハイブリッド車のように、電気モーターとエンジンと、作動を明確に分けているのでない。ドライバーの気持ちをちゃんと汲んで、加速の時はエンジンとともに、電気モーターが、いってみれば細心のバックアップをするのだ。

RX450hの「Fスポーツ」モデルでは、リアに電動アクティブスタビライザーが搭載され、コーナリング時など車体のロールに応じて、適切な姿勢を保つ。ゴルフに行く時でも運転も楽しみたい。たとえばポルシェ・マカンのようなモデルに興味あるひとなら、かなり興味をそそられるだろう。街中では「ドライブモードセレクト」の「ノーマル」モードで十分といえるほど、トルキーで、車体の重さは感じさせない。強いていえば、高速での乗り心地が期待以上にしっとりと感じられたのは、車体の重量をうまく使っているのだろう。

新型レクサスRXシリーズは、そのスタイリングとともに、はっきりとスポーティな個性を打ち出しているところを評価したい。RX200tで495万円から、RX450hで602万5000円からと、けっこう高価なモデルなので、いっそターゲットをしぼりこんで、スポーティな「Fスポーツ」ではより薄いスポーツシートを採用するなど、コンセプトの差別化があってもいいかもしれない。そんなRXにも興味がある。

問い合わせ先

レクサスインフォメーションデスク

フリーコール0800-500-5577(9:00~18:00/365日年中無休)

           
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