Peugeot 508|プジョー 508 試乗
CAR / IMPRESSION
2015年3月11日

Peugeot 508|プジョー 508 試乗

Peugeot 508|プジョー 508

日本上陸を果たした新世代フラッグシップに試乗(1)

プジョーのニューモデル「508」。ラインナップの頂点に位置し、プジョーが「きわめて重要なモデル」と謳う上級車種だ。日本ではセダンとワゴンが同時発売。試乗しての実力は?

文=小川フミオ

新世代の顔立ち

プジョー508は、これまでの407の後継車に位置づけられる。フローティンググリルと呼ばれる新世代のフロントグリルを特徴とし、1.6リッターターボという小排気量ながらパワフルなダウンサイジングコンセプトのエンジンが採用され、快適性の高さを特長とする。

日本ではセダンとSWと名づけられたステーションワゴンが同時発売される。ラインナップは下記のとおり。

508 Allure(アリュール)|374万円
598 Griffe(グリフ)|414万円
508 SW Allure|394万円
508 SW Griffe|437万円

アリュールとグリフ、パワートレインは共通で、最高出力156psの1.6リッターターボエンジンに、6段オートマチックトランスミッションの組み合わせ。ちがいは装備が中心。グリフは1インチ径が大きい17インチタイヤを履き、革張りシート、対向車の有無でロービームとハイビームを自動的に切り替えるインテリジェントハイビーム機構を備えたキセノンガス封入ヘッドランプなどを備える。

すべてにおいて向上した品質

「従来の407と607の後継モデルという位置づけ。特長は、ダウンサイジングしたエンジンと多段化した変速機による燃費の向上、アルミニウムボンネットをはじめ、高張力鋼板、さらにテールゲートの一部にプラスチックを採用するなどしての軽量化、セダンで0.26、ワゴンではルーフレールをボディと一体化するなどして0.27という低いCd値を実現するなど空気抵抗の軽減。そして、部品、組み立て、見た目と、すべてにおいて品質の向上も図りました。世界的には2010年に12万台を販売し、2011年は20万台という目標を設定しています」と、輸入元のプジョー・ジャポンでは話す。

Peugeot 508|プジョー 508

日本上陸を果たした新世代フラッグシップに試乗(2)

最新の高級車と同等とも言える静粛性

かなり肝いりのモデルだ。このセグメントは、日本ではフォルクスワーゲン パサート(1.4リッターターボ/セダンで324万円~)やメルセデス ベンツC200(1.8リッターターボ/同399万円~)と、最近、手ごわい競合車が増えているだけに、奮闘が期待される。

ドイツ車を相手に戦うことになるプジョー508。操縦すると、まず印象に残るのは、ライバルたちより静粛性が高いことだ。速度域がどんどん上がっても、エンジンルームからの透過音が高まることもないし、タイヤハウスまわりやサイドウィンドウからのこもり音が気になることもない。欧州の最新の高級車と同等ぐらいに感じた。これはおどろくほど質感が高い。

Peugeot 508|プジョー 508 試乗|05

BMWと共同開発した1.6リッターターボチャージャーつき直列4気筒DOHCエンジン。

Peugeot 508|プジョー 508 試乗|06

BMWと共同開発した1.6リッターエンジンを搭載

走りも軽快だ。フロントサスペンションが新設計のマクファーソン ストラットになり、設定がうまくいっているのだろう。巡航時の乗り心地はフラットで快適。カーブでは、ハンドルへの追従性が高く、セダンで4,790mmの全長という余裕あるボディサイズを意識することなく、ひらりひらりとカーブをこなしていくのが気持ちよく感じられる。

エンジンはすでに308やRCZなどでおなじみのBMWと共同開発した1.6リッター。これにターボチャージャーで過給している。このエンジンはとても出来がよい。低回転から高回転までよどみなくまわり、運転の楽しさを味わわせてくれる。新世代の6段ATは5速からオーバードライブになっているので燃費にもすぐれそうだが、4速までは近接したギア比の設定で、ひとつのギアからつぎのギアへの橋わたしはスムーズ。1,400rpmから240Nmの最大トルクを発生する設定とともに、パワー感が途切れることがないのもよい。

Peugeot 508|プジョー 508

日本上陸を果たした新世代フラッグシップに試乗(3)

スポーティなエクステリアのステーションワゴン

とくに印象がよかったのは、ベーシックモデルに位置づけられている508アリュールだ。このクルマの持ち味のひとつであろう軽快さを堪能させてくれる。ハンドルをとおした入力への反応は鋭いうえに、アクセルペダルに載せた足のわずかな力の入れ方にも敏感に反応して加速する感覚だ。16インチというタイヤサイズが貢献しているのだろうか。静かで速い。かつステーションワゴンなら、後方にいくにしたがって絞られるように見えるデザインが斬新でスポーティ。パサートにとって手ごわいライバルだ。

Peugeot 508|プジョー 508 試乗|08

ステーションワゴン(SW)

Peugeot 508|プジョー 508 試乗|09

セダンのラゲッジスペースは513リットル。

味のあるクルマ

使い勝手もあがっていて、室内空間は広くなっている。後席乗員のニースペース(フロントシートと膝頭のあいだの空間)は407に対してプラス53mmと余裕が生まれた。トランクスペースはセダンで比較すると407より108リッターも増えて513リットル。いっぽう、フロントのタイヤハウス前端からノーズ先端までのフロントオーバーハングは407の1040mmから今回は985mmに切り詰められているので、取りまわしがよくなっていると謳われている。

個人的にはこのように好ましい印象が強いプジョー508。では、日本のマーケットでそれなりのシェアをとっていくために、プジョーはなにをすればいいか――。ひとつは、かつて上級プジョーがもっていたエレガントさなど、ドイツ車に不足しがちな特徴をどれだけアピールするかも重要なことのように思う。508はファブリックシート仕様でも硬い。かつてのからだを包みこむようなシートを期待するのは懐古的すぎるのか……自分でも結論が出なかった。フォルクスワーゲン パサートは324万円で買え、メルセデスC200ブルーエフィシエンシー ライトという399万円(プジョー508グリフで394万円)モデルのセールスも伸びているという。このセグメントのクルマに興味をもつユーザーへのアピールを怠らず、がんばれ~と応援したくなる。そんな味のあるクルマだ。

Peugeot 508|プジョー 508
ボディサイズ(セダン)│全長4,790×全幅1,855×全高1,455mm
ボディサイズ(SW)|全長4,815×全幅1,855×全高1,505mm
ホイールベース│2,815mm
エンジン│1.6リッターターボチャージャーつき直列4気筒DOHC
最高出力│115kW(156ps)/6,000rpm
最大トルク│240Nm(24.5kgm)/1,400-3,500rpm
トランスミッション│6段オートマチック
10・15モード燃費│11.0km/ℓ(セダン)、10.8km/ℓ(SW)
CO2排出量|144g/km(セダン)、145g/km(SW)
定員│5人
ハンドル│右
価格│508アリュール:374万円
508グリフ:414万円
508SWアリュール:394万円
508SWグリフ:437万円

           
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