Porsche Boxster E Prototype|ポルシェ ボクスター E プロトタイプ ミシュラン チャレンジ・ビバンダム
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2015年3月4日

Porsche Boxster E Prototype|ポルシェ ボクスター E プロトタイプ ミシュラン チャレンジ・ビバンダム

Porsche Boxster E Prototype|ポルシェ ボクスター E プロトタイプ

テスラに追い打ちをかけるポルシェ式EVスポーツ

ポルシェAGは、ベルリンで開催されたミシュラン チャレンジ・ビバンダムにおいて2 種類のボクスターE プロトタイプを展示した。

Text by OPENERS

4WD、後輪駆動の2モデルをラインナップ

2011年2月、テスラの独壇場であったEVスポーツ分野に追い打ちをかけるポルシェ ボクスターの電気駆動モデルが写真で公開された。当時、詳細はあきらかにされず、市販も計画されていないと言われていたが、ドイツ・ベルリンで開催されたミシュラン チャレンジ・ビバンダムにて3台のボクスター E プロトタイプが展示され、体験走行が実施されると同時に、その詳細が次第にあきらかになってきた。

よりクリーンで、安全で、持続可能なモビリティ社会を目指すことをテーマにおこなわれているミシュラン チャレンジ・ビバンダムは、世界各国で開催され、今年で11回を迎える。今回も政治、産業、経済などの分野の研究者が集まり、環境に優しい交通と、将来のクルマのありかたについて話し合いがおこなわれた。

今回展示されたボクスター E プロトタイプは、前後アクスルにモーターを備える4輪駆動モデル1台と、後輪駆動モデル2台。構造としては、まず通常のマニュアルトランスミッションとエグゾーストシステムが置かれているところに電気モーター、すべてのギヤが常時かみ合っている状態のコンスタントメッシュ式トランスミッション、電気モーターを制御するパワーエレクトロニクスが搭載され、このユニットが後輪を駆動する。フロントエンドには、64リッターの燃料タンクを取り外した空間に、第2のドライブユニットが置かれ、ラゲッジコンパートメント内にあるパワーエレクトロニクスによって制御される。モーターの同期は、セントラルエレクトリックコントロールユニットでおこない、前後アクスルのトルク配分をコントロールするというシステムだ。

2基のモーターを搭載する4WDモデルは、最高出力180kWで、540Nmの最大トルクを12,000rpmという高回転で発揮。ボクスター E コンセプトは、ゼロエミッションという点だけでなく、電気駆動ならではのドライビングプレジャーを味わうことができる。走行性能は、0-100km/h加速5.5秒、最高速度は200km/hだ。

一方のフロントに電気モーターをもたない後輪駆動モデルは、最高出力90kW、最大トルク270kWで、加速性能は0-100km/h加速は9.8秒、最高速度150km/hである。

バッテリーは、ポルシェが独自に製造した29kWhのリチウムイオンバッテリーが、エンジンを積んでいた位置に置かれる。440個ものセルで構成されるこのバッテリーは、341kgと比較的軽量な作りになっており、その結果通常のボクスターから35kg減の車輌重量1,600kgに抑えられている。ちなみに、テスラ ロードスターは、バッテリー重量が450kgで、車輌重量は1,238kgである。

充電にかんしては、給油口とおなじ場所に作られた充電ポートからおこなう。フル充電には9時間を要するとのことだが、急速充電器を用いれば、より短時間で充電を完了できるとのことだ。1回の充電での最大航続距離は170kmである。

また、ほかのEV同様にエネルギー回生機能がついている。アクセルの踏み離しによって自動で回生をおこなうのが一般的ではあるが、ボクスター Eの場合は少々変わっており、ステアリングに配置されているボタンを押すことでエンジンブレーキが作動、それと同時に回生をおこなうという。

いよいよ顕在化してきたポルシェ式EVスポーツ。あくまで、シュトゥットガルトが推し進めるエレクトロモビリティ開発の一環として、政府の資金援助のもと試験がおこなわれているという段階だが、市販されることも決して夢の話ではないかもしれない。

           
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