CD値0.26

長いボンネットと、サッシュレスサイドウインドウを採用した上下に狭い印象のウインドウエリア、リアに向けて下降するルーフなどを特徴とし、世界にいわゆる4ドアクーペブームを起こしたCLSが2代目へと進化した。あたらしいCLS では、ラジエーターグリルは、ボンネットと一体化しておらず、分離しているかのような外観に。サイドは、より筋肉質な印象へと変化。LED技術を採用した幅の広いリアコンビネーションランプをサイドへまわり込ませ、リアエンドとのつなぎの役目を果たしているのが特徴だ。また、ドアパネルに備えられた新型ドアミラーをはじめ、エアロダイナミクスを見直すことで、ボディサイズや前面投影面積が拡大したにもかかわらず、CD値は先代モデルにくらべ、約13パーセント向上の、0.26となった。

フルLEDのヘッドライト、LEDハイパフォーマンスヘッドライトを採用したのもトピックだ。片側だけで71個（ウインカー＝13個、ポジションライト＝22個、ロービーム＝近距離用8個、中距離用8個、ハイビーム＝8個、コーナリングライト＝2個、ナイトビューアシストプラスの赤外線照射灯10個※オプション）ものLEDを使用している。内部を上から下へ3つ層に分割したデザインとし、最上層にはウインカー、その下にはロービーム、そして下層にはハイビームとナイトビューアシストプラスの赤外線照射灯を備える。

CLS 63 AMG

CLS 63 AMG

燃焼効率を上げたエンジンにより、30パーセントの以上の燃費改善

インテリアで目を引くのは、運転席ドアからインストゥルメントパネルサポート、助手席ドアにいたる高い位置にラインを走らせた、コックピットのラップアラウンドデザインだ。ナビなどとして使用されるCOMANDディスプレイもインストゥルメントパネルの上部に一体化。CLS 63 AMGでは、セミアニリンレザーで覆われ、前席には横Gがかかったさいに、パッセンジャーを安定したドライビングポジションに保持するAMGスポーツシートを備える。そのほか、アルカンターラルーフライナー、上部と下部がフラットなナッパレザーで覆われたAMGパフォーマンスステアリングなどを採用。AMGメーターパネル&インストゥルメントクラスター､ワンタッチでギア選択可能なAMGセレクターレバーや、トランスミッションモード、ESPモード､サスペンションモードなどのドライビングモード切替スイッチをセンターコンソールに集中配置したAMGドライブユニットシステムが搭載される。

エンジンは2種類。CLS 350 BlueEFFICIENCYに搭載されるのは、新開発の3.5リッター60度V6直噴エンジン。最高出力225kW（306ps）、最大トルク370Nm（37.7kgm）を発生。7速AT（7G-TRONIC プラス）と組み合わされ、先代モデルに比べ出力、トルクを向上させつつ、33パーセントの燃費向上と34パーセントのCO2排出量削減を実現した。最大圧力200barのピエゾインジェクターとスプレーガイド式燃焼システムを採用。1万分の1秒の反応速度で1回の吸気行程に最大5回の燃料噴射をおこない、つねに最適な燃焼状況をつくりだすほか、1,000分の1秒以内に最大4回のスパークを発生させるMSI（マルチスパークイグニッション）システムによって、燃焼時間を短縮させているという。また、ハイパフォーマンスモデルであるCLS 63 AMGには、すでに発売されているCL 63 AMGなどとおなじ5.5リッターV8直噴ターボエンジンを搭載。最高出力386kW（525ps）、最大トルク700Nm（71.4kgm）を誇る。これだけの高出力かつハイトルクにもかかわらず、ECOスタートストップ機能（アイドリングストップ機能）やAMGスピードシフトMCTと組み合わされることで、燃費は従来モデルに比べ30パーセント以上の改善、CO2排出量232g/kmと優れた環境性能を実現している。

新開発の高剛性ボディ

ボディは、SLS AMGの開発思想を引き継ぎ、すべてをあたらしく設計。ボディ全体の約72パーセントに高張力鋼板を使用し、先代モデルにくらべ、静的曲げ強度は約28パーセント、ねじれ剛性は約6パーセント向上。また、オールアルミニウム製のフレームレスドアを装備することで、約24kgの軽量化を実現。ボディデザインにかんしては、ドアにメルセデスのエクステリアデザインにおける礎とも言える、斜めに降りるサイドラインをあしらったドロッピングラインを採用。

CLS 350 BlueEFFICIENCYには、セレクティブダンピングシステム（可変ダンピングショックアブソーバー）をもちいたDIRECT CONTROLサスペンションをフロントとリアに採用。通常の走りでダンパーへの入力が小さい場合は、減衰力を自動的に低減して乗り心地を大きく高め、通常より速い速度でコーナリングする場合や回避操作時など、ダンパーへの入力が大きい場合には、最大の減衰力を発揮することでクルマをより効果的に安定させるものだ。CLS 63 AMGのサスペンションは、フロントにコイルスプリング、リアに専用のエアスプリングを採用したAMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション。ダンパーの減衰特性はコンフォート、スポーツ、スポーツプラスと3つのモードに切り替え可能となっている。

CLS 350 BlueEFFICIENCY

CLS 350 BlueEFFICIENCY

AMGパフォーマンスパッケージ採用により、最高出力557psを発生

装備面では、ステアリングは電動化により、燃費（0.3ℓ/100km）とCO2排出量（7g/km）の軽減に寄与。フロントガラスに設置されたマルチファンクションカメラが、先行車や対向車を検知しヘッドライトの照射範囲を自動的かつ連続的に調整するアダプティブハイビームアシスト（照射可変範囲：65m～300m）やアテンションアシストを全車に標準装備するほか、レーンキーピングアシストやナイトビューアシストプラスをオプション設定している。エアバッグは、運転席、助手席、前席・後席サイド、ウィンドウにくわえ、衝突時にドライバーの膝部を保護し、前方への移動を抑えるSRSニーバッグや、側面衝突のさいに運転席や助手席の乗員の胴や骨盤周辺にかかる負担を軽減するSRSぺルビスバッグと、合計11個にもおよぶ。

CLS 63 AMGは、最近のAMG仕様にもれず、AMGパフォーマンスパッケージをオプション設定。最高出力が557ps（ノーマル比+32ps）、最大トルクが800Nm（+100Nm）に向上するほか、チタニウムグレーペイント19インチAMG 5ツインスポーク鍛造アルミホイールやAMGカーボンファイバートランクリッドスポイラーリップ、スポーツ性を高めた専用チューニングサスペンションを採用している。さらに、このCLS 63 AMG には、AMG カーボンセラミックブレーキも用意される。SLS AMGにも設定されている、サーキット走行時など過酷な状況でもすぐれた制動力と耐フェード性を発揮するもので、ノーマル仕様に装着されるAMG強化ブレーキシステムに比べて約40パーセントの軽量化を図り、ばね下重量が削減されるためドライビングパフォーマンスが向上するという。

この、あたらしいCLSの価格は、CLS 350 BlueEFFICIENCYが930万円、CLS 63 AMGが1,625万円で、オプションのAMGパフォーマンスパッケージは110万円、AMG カーボンセラミックブレーキが140万円となっている。

Mercedes-Benz CLS 350 BlueEFFICIENCY｜メルセデス・ベンツ CLS 350 ブルーエフィシエンシー
ボディ｜全長4,940×全幅1,881×全高1,416mm
ホイールベース｜2,874mm
車両重量｜1,735kg
エンジン｜3.5リッター V型6気筒
最高出力｜306ps（225kW）/6,500rpm
最大トルク｜370Nm（37.7kgm）/3,500-5,250rpm
トランスミッション｜電子制御7速AT
駆動方式｜FR
燃費｜6.8-7.0ℓ/100km
CO2排出量｜159–164g/km
価格｜930万円

Mercedes-Benz CLS 63 AMG｜メルセデス・ベンツ CLS 63 AMG
車両重量｜1,870kg
エンジン｜5,4リッター V型8気筒＋ツインターボチャージャー
最高出力｜525ps（386kW）/5,250-5,750rpm
最大トルク｜700Nm（71.4kgm）/1,750-5,000rpm
燃費｜9.9ℓ/100km
CO2排出量｜232g/km
価格｜1,625万円
※国内で得られなかった燃費およびCO2排出量は本国データにもとづく。