PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボ S 試乗
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2015年3月13日

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボ S 試乗

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボS

模範的スポーツカーの変わらない魅力(1)

「911 ターボ」より30ps高い最高出力をもつ530psエンジンに、フルタイム4WDを備えた「911 ターボ S」。ポルシェ最強のスポーツモデルは健在だ。

文=小川フミオ写真=清水博孝

強力な3.8リッターエンジンを搭載

「S」がつく911ターボの最強版、ポルシェ 911 ターボS。
3.8リッターという排気量は同等ながら、エンジン各部に手が入れられ、ターボチャージャーのブースト圧は約0.2バール増えて1.2バール。超がつくほど強力だ。

かつて「ポルシェ 911 ターボ」といえば、スーパーをつけてもいいスポーツカーの鉄板銘柄だった。昨今はライバルが増えており、どこに911 ターボならではの魅力があるのか。それが最大の興味だ。

外観はボディ幅が911に比べて40mmも大きくなっているだけでない。大きく張り出したフェンダーに収まった、レースカー同様のセンターロックシステムをもつ19インチの大径、超扁平タイヤとボディ各部のエアロパーツが、すごみを効かせている。

安定感をもつ“S”の鋭敏な走り

ただ全体に「911」のイディオムから逸脱していないため、刺激の強いスポーツカールックを見慣れたひとにとっては物足りなく感じることもあるかもしれない。

しかし走りだせば、ターボSの名は伊達ではないとすぐ知れる。リアに搭載された3.8リッター水平対向6気筒エンジンは、390kW(530ps)/6,250-6,750rpmの最高出力と、700Nm/2,100-4,250rpmの最大トルクを発生。7段デュアルクラッチシステムを介して、前後4つのタイヤに分配する。超高速域を安定して走れるシステムだ。

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボ S 試乗|03

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボ S 試乗|04

911 ターボ(S)の魅力は、大馬力をもっているとは思えないほど、操作性も乗り心地もおおいに洗練されているところにある。超ド級のスーパースポーツが、操縦性やエンジンのピークパワーなどに、いわばエッジを効かせて少々の運転しにくさをあえて残しておく場合が多いのに対して、911 ターボ(S)は初心者でも操作できるほどの扱いやすさを身上とする。

911 ターボSに標準装備されるポルシェトルク・ベクトリングは、コーナリング時の挙動変化を安定させ、より速く、より安全にコーナーから脱出することを電子制御の力で手助けするシステムだ。左右の後輪へ振り分けられるトルクを変化させる一方、クルマの挙動から片輪へのブレーキングをおこなうなど、細かな制御がかけられている。

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボS

模範的スポーツカーの変わらない魅力(2)

胸のすくような加速性能

一方で、その気になったドライバーには、すばらしい世界を体験させてくれるのもまた911 ターボSだ。911 ターボSは、適度な重さをもちながら、ダイレクトで反応のよいハンドル、固められた足まわり、そしてどこまでも加速がつづくエンジン、といった稀有なコンビネーションを特長とする。ブースト圧の高いターボエンジンは、昔のようにドッカンとターボが効きはじめる明瞭な領域をもたないが、あくまで自然に、ぐいぐいとクルマを加速させてゆく。

6気筒エンジンには、ダイレクト・フューエル・インジェクション(DFI)、可変タービンジオメトリー(VTG)、バリオカム・プラス、エクスパンションインテークマニフォルドといった技術が組み合わせられている。静止から100km/hまで加速するのに要する時間はわずか3.3秒というのは、よくわかる。胸のすくような加速だ。

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボ S 試乗|06

PORSCHE 911 turbo S|ポルシェ 911 ターボ S 試乗|07

スポーツカーの模範的ブレーキシステム

同時にポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ(PCCB)による強力な減速。速く走るのは簡単だ、むしろ止まるのがむずかしい。これはスポーツカーづくりでよく言われることだが、スーパースポーツカーこそ、ほかのどんなクルマよりすぐれたブレーキシステムを備えていなくてはならない。911 ターボSはそのとてもよい見本だ。滑らかなペダルフィールと、路面に吸着するような減速Gの立ち上がりは、いつ乗っても特筆ものだ。

3本スポークのスポーツステアリングホイールには変速用のパドルシフトが装備される。とりわけ注目に値するのは、レースカーのシフトロジックを採用している点だ。つまり、右側のパドルを手前に引くとシフトアップ、左側のパドルを引くとシフトダウンする。どこまでもスムーズにまわるエンジンを体験するには、最強のコンビネーションだといえる。

1975年から88年にかけてつくられていた初代911 ターボは、速さやブレーキ性能ばかりか、ボディの剛性やつくり自体のよさでも、スタンダード911の倍ぐらい高い品質感があった。その伝統はずっと受け継がれている。世代を重ね、ほかから多くのライバルが登場しても、けっして魅力を失わない。それが911ターボ、最大の特徴だと確信した。

PORSCHE 911 Turbo S|ポルシェ 911 ターボ S
ボディ|全長4,450×全幅1,850×全高1,300mm
エンジン|3.8リッター 水平対向6気筒
最高出力|390kW(530ps)/6,250-6,750rpm
最大トルク|700Nm/2,100-4,250rpm
駆動方式|フルタイム4WD
トランスミッション|7段デュアルクラッチ
燃費|11.4ℓ/100km
CO2排出量|268g/km
※燃費、CO2排出量は欧州データに基づく。
価格|2,365万円

           
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