20年ぶりに「ロングテール」の名が復活

3月のジュネーブ モーターショーで公開されたマクラーレン「675LT」が、5月22日、日本で初披露された。今回発表された675LTは、「650S」をベースに、サーキットでの使用を念頭に徹底した軽量化と空力性能の最適化、エンジンの強化を図ったモデルだ。マクラーレンが現在展開している3つのモデルレンジのなかでは、もっともスポーツ志向の強い「スーパーシリーズ」に位置するが、スーパーシリーズのなかでもいちばんサーキット志向が強いモデルだという。

車名の「675」はほかのマクラーレンのモデル同様、エンジンの最高出力を、末尾の「LT」は“ロングテール”の頭文字をあらわしている。この名称は、1997年に活躍した「F1-GTR」の改良型がエアブレーキを兼ねた長いリアエンドをもち「ロングテール」と呼ばれたことにちなんでいる。

発表会場では、今回のお披露目にあわせて来日した、マクラーレンのアジア太平洋リージョナルディレクターのデイビッド・マッキンタイヤー氏の挨拶につづき、675LTのプログラム マネージャーを務めたマーク・ゲイトン氏が、675LTに施された技術的な改良ポイントについて、詳しく説明しながら紹介した。

ゲイトン氏によると、675LTは、パフォーマンスと軽量化、そしてドライバーとマシンの一体感を目標として開発されたという。エンジンはマクラーレン「650S」の3.8リッターV8ツインターボをベースに、コンロッドの軽量化、カムシャフトの変更、ターボチャージャーのフローレート変更など、レスポンシビリティの向上を目指して改良された。

ボディでは軽量化とエアロダイナミクスの改良を中心に変更がおこなわれた。ボディパネルにカーボンファイバーを多用し、リアスクリーンはポリカーボネート製。軽量なエンジン、シャシー、ボディ構造もあわせ、ほかのスーパーシリーズのモデルより全体で100kgもの減量を図ったという。

エアロダイナミクスの面では、これもカーボンファイバー製の新設計のフロントスプリッターやサイドスカートで、フロントからリアへの空気の流れを整え、約3割をボディサイドからラジエターに流すことで冷却し、残りをダウンフォースの発生に利用している。通常のエアブレーキが採用される650Sに対して、およそ1.5倍となった「アクティブ ロングテール エアブレーキ」により、ダンフォースは全体では40パーセント増加している。

リアホイール部分から後ろが一新されたボディは、オープンなデザインを強調。とくにリアエンドの一部をメッシュとすることで、冷却効率をよくするとともになかを見せ、機能と見栄えを両立させたスタイリングとなっている。

軽量化のため、潔くエアコンはついていないが、希望すれは追加料金なしで装着することもできる。ボディカラーは会場に展示されたブルーグレーの新色「シケイン」のほか、グリーン、デルタレッド、シリコンホワイト、マクラーレンオレンジが設定されているが、オプションで好きな色を選ぶことも可能だ。

日本での価格は4,353万4,000円とアナウンスされた。生産台数は全世界で限定500台、日本ではそのうち8パーセントにあたる約40台の販売を目標としているという。5月1に営業を始めた福岡を含め、東京、大阪の全国3店舗のマクラーレン正規代理店で取り扱う。

McLaren 675LT｜マクラーレン 675LT
ボディ｜全長 4,546 × 全幅 2,095 × 全高 1,188 mm
重量｜1,230 kg
前後重量配分｜42.5 : 57.5
エンジン｜3,799 cc V型8気筒ツインターボ
最高出力｜675 ps（666 kW） / 7,100rpm
最大トルク｜700 Nm/5,500-6,500 rpm
トランスミッション｜7段SSG（デュアルクラッチ）
0-100km/h加速｜2.9 秒
0-200km/h加速｜7.9 秒
最高速度｜330 km/h
CO2排出量｜275 g/km