新作「ミニット・リピーター・トゥールビヨン5303」｜PATEK PHILIPPE

PATEK PHILIPPE｜パテックフィリップ

文字盤のないオープン・アーキテクチャーが特徴。視覚と聴覚を刺激する、優美な新作

1845年、最初のミニット・リピーター搭載懐中時計を創作して以来、パテックフィリップは、各時代において偉大な“音楽演奏者”としての地位を確立してきた。そして2020年、文字盤のないオープン・アーキテクチャーを搭載し、構造の細部に至るまで眺めることが可能な新作「ミニット・リピーター・トゥールビヨン5303モデル」が発表された。

Text by OZAKI Sayaka｜Edit by TSUCHIDA Takashi

文字盤側にチャイム機構を見せるミニット・リピーターが特徴

マニュファクチュールパテックフィリップは、最も数多くのミニット・リピーター腕時計を現行コレクションとして提供するウオッチメーカーだ。ミニット・リピーターのゴングには、クラシック・ゴングとカセドラル・ゴングの2種類があり、ミニット・リピーターのみを搭載したモデル、および他のコンプリケーション（永久カレンダー、トゥールビヨン、ワールドタイム、クロノグラフ）と組み合わされたモデルを展開してきた。

2019年、マニュファクチュールの歴史上初めてとなる、文字盤側にチャイム機構を見せるミニット・リピーター搭載モデルとしてリリースされた5303モデルが、「ウォッチアート・グランド・エグジビション・シンガポール2019」にて12個の限定製作モデルとしてデビューを飾った。そして2020年、そのミニット・リピーター・トゥールビヨン5303モデルが、デザインに細部の変更を加え、パテックフィリップの現行コレクションに加えられた。チャイム・ウオッチの愛好家のために創作された、この新しいグランド・コンプリケーションは、文字盤のないオープン・アーキテクチャーを特徴とする。

このオープン・アーキテクチャーの採用によって、時計を手首に着用しながら作動中のミニット・リピーター機構をハンマーとゴングも含めて鑑賞することを実現。同時に、これはパテックフィリップの創作哲学を改めて立証するものでもある。透明性へのこだわりはトゥールビヨンにも活かされており、6時位置のスモールセコンド・スケール越しに、トゥールビヨン・キャリッジの裏面を眺めることができる。その印象は、18Kローズゴールドでめっきされた地板とコントラストを為しており、完璧なミニチュア・サイズの絵画に例えられるだろう。

手巻きキャリバーR TO 27 PSは、スケルトン・ムーブメントの通例に従い、特定の部分が刳り抜かれ、完璧な美しさを実現するように変更が加えられている。またサーキュラー・コート・ド・ジュネーブやペルラージュで装飾された地板、微小な回転サテン仕上げの施されたハンマーなど、ムーブメント構成部品一つひとつが、パテックフィリップの手仕上げの優れた伝統にも忠実に仕上げられている。18Kローズゴールド素材を用いた極めて独創的なケースは、膨らみを帯びた幅の広いポリッシュ仕上げベゼル、およびケース側面とラグにリーフ（葉）装飾の彫金が施されたホワイトゴールドのインサートが特徴。ケース左側面のミニット・リピーターを作動させるホワイトゴールドのスライドピースにも、同じくリーフ型のモチーフが組み合わされている。

アワーサークルは、パウダー仕上げローズゴールドのドットを配した、ブラック塗装サファイアクリスタルのリングで構成されている。裏面はサファイアクリスタル製ケースバックを通してムーブメントを鑑賞でき、インサートとスライドピースを彷彿とさせるオープンワーク装飾が施された、ホワイトゴールドのアンフィシアター（古代ローマの円形劇場）を想わせる装飾により縁取られている。

高級時計製作、エレガンス、精緻な手仕上げの驚異的な模範ともいえるこのタイムピースは、パテックフィリップのミニット・リピーターならではの、比類のない音響によっても際立っている。また、パテックフィリップのすべてのミニット・リピーターは、ティエリー・スターン社長による最終判定により、その各々の音色の完璧さが保証されたものである。