ラウンド型で再登場。レディス・ファースト・クロノグラフ|PATEK PHILIPPE
PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ
通好みの女性へ。クラシカルなデザインに
貴石を載せた、手巻きクロノグラフ
2009年にリリースされた女性のためのクロノグラフ(Ref.7071)は、コラムホイール制御、水平クラッチ機構を持つ、現行ラインナップ初の自社開発・製造クロノグラフムーブメントを搭載したモデルだった。男性用の自社製クロノグラフが当時ラインナップされていなかったタイミングで、女性用が先に出たのだから、そのインパクトは絶大だったのである。そして今回の新作は、そのムーブメントを引き継ぎ、新たな外装が与えられたモデルだ。
Text by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)
徹底的にクラシカル。そして必要十分なプレシャス
女性用のコンプリケーション、しかも手巻きを選ぶ女性とは、かなりの時計好きだと思います。そういう振り切った方にこそ、身に着けてほしいモデルがコレ。その美しさは、一度見たら釘付けです。
2009年に誕生した、女性のためのクロノグラフ、通称"レディス・ファースト・クロノグラフ"は、クッションケースでした。そしてラウンド文字盤との間の隙間にパヴェダイヤを敷き詰めていたのですが、装いも新たに生まれ変わった本作は、ケースフォルム自体がラウンド。ベゼルにダイヤモンドを一列巻いて、スマートなエレガントさを演出しています。
ケースは文字盤のテイストを引き出すために、器であることに徹し、存在感を抑えています。しかし、アールデコ調のラグや、プッシュピースの先端部分への装飾など、ひとつひとつのディテールがシャープなために、キリリとした印象を与えています。
一方で、文字盤に目を移すと、膨らみを持たせたブレゲ針、インダイアルの同心円状の機械彫りなど、ディテールリッチ、この上ないことが分かります。しかも文字盤外周にはパルスメーターを備え、古き良きクロノグラフのテイストを演出しています。
ブレゲ数字インデックスは、ローズゴールドによるアプライド仕上げ。パーツひとつひとつを別体で作り、文字盤の裏側へ足を通して、かしめています。そうやって立体感のあるインデックスを作っているのであり、手間をかけて豊かな表情を作っているのです。
つまり、昔ながらの手作業技術を、ほぼ変わらぬ形で現代に再現している、というわけです。このモデルを選ぶということは、時計製造の歴史に敬意を払い、その継承を評価している、という意思表示にほかなりません。
ケースバックにはクロノグラフならではの複雑な輪列。自動巻きクロノグラフのようにローターで塞がれてしまう部分がなく、複雑なメカニズムがしっかりと見える。そんな利点も、手巻きにはあると思います。
最後に私見をひとつ。このモデル、小径トレンドの昨今にあって男性が身に着けると、かなりアヴァンギャルドに攻めて見えると思います。
7150/250 婦人用クロノグラフ
ムーブメント|手巻きクロノグラフ(Cal.CH 29-535 PS)
パワーリザーブ|最小65時間
表示|30分積算計(3〜4時位置)、スモールセコンド(8〜9時位置)
ケース素材|18KRG、72個のダイヤモンド(約0.78カラット)
ケース径|38mm
防水|3気圧
予価|914万円(税別)
発売|今秋発売予定