エイチ・ワイ・ティー|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|HYT
HYT|エイチ・ワイ・ティー
ホワイトとブルーの液体によるレトログラード(1)
液体を使って、往復運針するレトログラードのように計時を行う時計で、時計ファンにお馴染みになったHYT。“液体機械時計師”(ハイドロ・メカニカル・オロロジスト)を標榜して、驚きのアイデアを結実させた彼らのSIHHデビューを飾ったのは、ホワイトとブルーのツートーンが映える時計だった。
Text by KAWADA Akinori
クラシック&モダンの融合
HYTは、本当に不思議な腕時計ブランドだ。機械式腕時計の内部に水を通すシステムが発表されたのは、2012年。以来、このコンセプトを踏襲したユニークなモデルがスイスのバーゼルワールドで発表されてきた。ベローと呼ばれる着色された特殊な液体をを送り込むポンプによって、時刻が表示されるという。HYTが、SIHHに姿を現した。
HYT最新作はカラーバリエーションの充実に力を入れており、ホワイトとブルーのツートーンカラーが眩しい時計を2本リリースした。1本は、これまでのHYTのイメージとは異なるクラシック路線。もう1本はややモダンな雰囲気。いずれも時計にエレガントな香りをまとわせ、腕時計の新たな世界を切り開いたデザインといえる。
独創性の確立
今回登場した「H2 トラディション」は、これまでの「H2」のイメージを大きく変える劇的なモデルとなった。これまでの近未来的なフォルムとは異なり、12時位置寄りのオフセンターに分表示盤、それに寄り添う形で、小ぶりな秒表示を配している。これで、脱進機をはじめとする機構を隠すと、一気に時計のメカっぽさが緩む。
文字盤はホワイト、分針と秒針がブルー。時分秒を別個に表示する古風なレギュレーター時計の趣さえ感じてしまう。これに合わせるように、文字盤の外周はホワイトとし、時刻インデックスはローマ数字に。時刻を示す液体もブルーにしている。
そのスタイルは、まさに優雅にして、クラシカルな装いだ。HYTの時計のスタイルを一新させる好デザインである。
H2 トラディション
ケース|18Kホワイトゴールド+チタン
直径|48.8mm
厚さ|17.9mm
ムーブメント|手巻き
機能|液体レトログラードの時刻表示リューズ機能インジケーター
ストラップ|ラバー
防水|5気圧
限定数|50本
発売時期|9月予定
予価|3300万円(税別)
Page02. ホワイト+ブルーの優雅さを再認識させたモデル
HYT|エイチ・ワイ・ティー
ホワイトとブルーの液体によるレトログラード(2)
ホワイト+ブルーの優雅さを再認識させたモデル
ホワイトとブルーでクラシックスタイルを確立した「H2 トラディション」だが、ホワイトとブルーを採用したモデルは2014年に「H1 アイスバーグ」で大好評を博した実績があった。
新作「H1 アイスバーグ2」は、限定50本で「アイスバーグ」を復活させたモデルである。「アイスバーグ」はもともと、ホワイトのラバーストラップを採用し、ブルーの分表示、ブルーの液体レトログラードを採用したモデルである。ブルーは空や海をイメージさせる、やや深めだが、鮮やかな色調のものを採用。ストラップのホワイトは、まさに氷のようなクールさを感じてしまう。「H2 トラディション」と同系統の色を使いながら、強調するポイントを変え、「H1」本来のスタイルはそのままとすると、現代的かつ都会的洗練がにじみ出るデザインとなる。
ブルーとホワイトの取り合わせの優雅さと美的なコントラストを再認識させるモデルだ。
H1 アイスバーグ2
ケース|チタン
直径|48.8mm
厚さ|17.9mm
ムーブメント|手巻き
機能|液体レトログラードによる時刻表示
ストラップ|ラバー
防水|100m
限定数|50本
発売時期|4月予定
予価|950万円(税別)