PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ|年次カレンダー クロノグラフ 5960P
Watch & Jewelry
2015年3月3日

PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ|年次カレンダー クロノグラフ 5960P

PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ

年次カレンダー クロノグラフ 5960P

Text by OPENERS

世界最高の技術力に裏づけされた名品

パテック フィリップが世界最高といわれるゆえんは、単に歴史性やステイタスだけではない。時計の開発から製造を社内で一貫して行うマニュファクチュールであり、数々の超絶的な複雑機構や70を越す特許に代表される真の技術力に裏付けされているからだ。
そして2005年には、開発が困難といわれるクロノグラフの完全自社製化にも成功。翌06年には、自社開発の自動巻きクロノグラフ「5690P」も発表した。

「5960P」はクロノグラフに加えて、年次カレンダー機構も搭載。この機構はアニュアルカレンダーとも呼ばれ、閏年の3月1日以外のカレンダー調整を不要とするもの。セミコンプリケーションとしては高難易度のメカニズムで、特許も取得した同社の看板的な実用機構である。
しかも、クロノグラフの計測機構で重要な30分積算計と12時間積算計を6時位置に同軸で配置している。年次カレンダー機構とからめれば、文字盤側のメカニズムが複雑化するのは必然であろう。

そして、クロノグラフの発停機構には垂直クラッチ式を採用する。通常のクロノグラフならば、クロノグラフ車に対してクロノグラフ中間車を水平方向に接続/離脱させるところ、この機構ではクロノグラフ車に対して、その動力源となるクラッチディスクを垂直方向に圧着/離脱させて、クロノグラフのオン・オフをコントロールする。

つまり、面対面によるクラッチを行うため、針飛びが防止されるし、摩耗も少ないというアドバンテイジを持つ。これもまたわずかなマニュファクチュールしか実現できていない、独創的なクロノグラフ機構のひとつである。

自動巻き。毎時2万8800振動。55時間パワーリザーブ。ケース径40.5mm。ケース厚13.55mm。プラチナケース。アリゲーターベルト。2.5気圧防水。753万9000円。

BRAND HISTORY

19世紀半ばより常に時計界のトップに君臨し続ける別格ブランド、パテック フィリップ。時計フリークが最後に行き着く高みと、崇敬の念を込めて呼ばれるこの世界最高峰のウオッチブランドは、時計に情熱を注いだ2人の人物によって創設された。

最初に礎を築いたのはボーランドからの亡命貴族、アントワーヌ・ド・パテック。彼は、帝政ロシアの圧制下にあった祖国ポーランドから、スイス時計産業の中心地であるジュネーブへと逃れる。そこで遭遇した地場産業の時計に興味を持ち、また時計師のフランソワ・チャペックとの出会いをきっかけにして、1839年に時計会社を設立する。

同社は順調に業績を伸ばしていくのだが、アントワーヌ・ド・パテックは、時計製造に対してさらなる可能性を求めていた。ちょうどその頃、フランスのパリで開かれていた万国博覧会を訪れた彼は、世界初のリューズ巻き式懐中時計を見つけて、大きな衝撃を受ける。

この時計を製作した人物こそ、時計師のジャン-アドレアン・フィリップ。アントワーヌ・ド・パテックは、フランソワ・チャペックの後任に彼を迎え入れる。この2人の出会いこそが、’46年の独立分針、’48年のフリーゼンマイなどの新機構開発に繋がっていくのだった。そして、ロンドン万博で金メダル受賞した1851年、現在の「パテック フィリップ」へと社名を変更したのである。

その後、パテック フィリップ社は、’89年に初の永久カレンダー機構を開発してから、複雑機構にも積極的に取り組み、なかでも1927年の「グレーブス・ウォッチ」は、24もの複雑機構を搭載する歴史的なコンプリケーションウォッチとして高い評価を得る。さらに、1932年には現代もなお「ドレスウオッチのお手本」と称される、カラトラバを発表。腕時計の分野においても、確固たる地位を築き上げた。

こうして時計界を牽引する立場に立ったパテック フィリップは、21世紀に入ってからもシンプルウォッチからコンプリケーションまで数多くの佳作を手掛け続ける。スイス時計界の遺産を後世に伝えるべく伝統技術を継承するほか、さらに新たな可能性を自ら切り開くべく新技術・新素材の開発にも積極的にチェレンジしている。

【創業年】1839年
【創業地】スイス、ジュネーブ
【主なシリーズ名】カラトラバ、ゴンドーロ、グランド・コンプリケーション、ノーチラス
【問い合わせ先】パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109
公式サイト:http://www.patek.com/

           
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