連載第4回 東京・高層・ステイケーション アマン東京|TRAVEL
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2021年9月6日

連載第4回 東京・高層・ステイケーション アマン東京|TRAVEL

TRAVEL|アマン東京

ラグジュアリーな非日常的を確実に過ごせる、都心の真ん中で“ひっそり“佇むサンクチュアリ(1)

ちょっと自慢していいですか? 「アマン東京」でステイケーションしてきちゃいました。そして、そこは噂に違わぬ“サンクチュアリ”でした。

Text by HASEGAWA Aya|Edit by TSUCHIDA Takashi

1秒1秒を大切にしたいけれど、何もしないのがまた贅沢

最初に「アマン」についてさくっとご紹介しますね。小規模ラグジュアリーリゾートの先駆けとして知られる「アマン」の誕生は1988年、インドネシア人のエイドリアン・ゼッカ氏がタイのプーケット島にオープンした「アマンプリ」にさかのぼります。これがセレブ層を中心に爆発的な人気を博し、その後、世界中に個性的なリゾート・ホテルを続々と開業。現在、アジアを中心に33軒のリゾートを展開しています。で、そのほとんどが街の中心地や空港から離れた、ビーチや遺跡の近くに位置するヴィラタイプのリゾートなのです。
「アマン東京」は、そんなアマンが手がける初の都市型ホテルとして、2014年12月、東京・大手町にオープンしました。多くのアマンジャンキー(アマンをこよなく愛する人をこう呼びます)はこう思ったことでしょう。「大手町にアマンって、マジですか?」と。

が、エレベーターを上がり、33階のロビーに辿り着いた瞬間、その心配は杞憂だったと分かります。
「アマン東京」は、高さ約200mの複合ビル「大手町タワー」の最上層6フロア(33〜38階)に位置していています。33階のロビーフロアには、メインダイニング「アルヴァ」やカフェ、バーがあるのですが、それぞれが壁では仕切られてはいません。言わば“でっかいワンルーム”! デザインを担当した、建築家のケリー・ヒル氏はこのフロア全体をひとつの空間として捉え、四季折々の自然を愛でる日本人のライフスタイルを表現するために、センターに大きな生花を据えた「池「と「石庭」を配しました。これを囲む通路は「縁側」に見立てているのだとか。
ロビーフロアの天井高は約30メートル。障子を模した和紙の格子からはやわらかな光が差し込みます。そして特筆すべきはやはりその眺望! 西側全面が窓になっていて、晴れた日には富士山と連山が望めます。なーんて、つらつらと書いてしまいましたが、ロビーだけでもリゾート気分……、あ、違うな、日本の伝統文化と現代性が共存する桃源郷と言うほうがしっくりくるかもです。
そんなわけで、ロビーにいるだけでも十分に癒されるのですが、今日はなんといっても“お泊まり”ですからね、早々に部屋に移動するとしましょう。
客室数は84室。スタンダードの客室でも71平方メートルの広さを誇ります。大切なことなのでもう一度言いますが、ココ、大手町ですよ? 誰にも聞かれていませんが勝手に告白すると、筆者のマンションより広いです(笑)。しかも今回は「スイートキング」カテゴリーの302号室に宿泊しちゃいました。ああ世界の中心で、この幸福を叫びたい(笑)。
客室のドアを開け、中に入ると、片側にキッチン&ダイニングテーブル付きリビングルームが、もう片側にベッドルームが配されていました。リビングルームからは外苑の緑、新宿方面のビル群、東京タワーが、ベッドルームからはレインボーブリッジやお台場の風景を眺めることができます。これ、ほんとにずっと見ていても飽きないんですよね。ビールでもいただきつつ、「東京の地理ってこうなっているんだ」なんて窓の外を眺めていると、あっという間に時間が過ぎていきます。
窓側を向いているベッドの高さは、横になっていても外の景色が見えやすいように設計されているのだとか。(入口からみてベッドの手前にある)デスクも窓を向いていました!
リビングルームの障子をあけると隠れ家的な書斎が。リュクスなお仕事空間です。引き出しには文房具も用意されていました。同様に、TVは、ベッドとテーブルスペースの間にある棚の中に入っています。観たいときにはリモコンで操作すればにょきにょきと出てきます。
電源やLANポートもばっちり。お部屋の隅っこには、BOSEのBluetoothスピーカーも鎮座していました。
“縁側”をイメージしたデイベッドは一度、座ったら立てなくなりそうな危険地帯。そうなんです、ロビーフロア同様、客室にも、木や石、和紙といった、日本を感じさせる設えがふんだんに取り入れられているのです!
このまま部屋にいて真剣にダラダラを決め込みたいところですが、筆者には行かなければならないところがありました。宿泊者と会員のみが入場を許されるプールは、この機会にぜひ足を運ばないと! ここがまたとびきりの非日常空間。ガラス張りのプールの長さは30メートル。都心のホテルでは最大級です。天井は8メートル以上、かつ2面採光で、開放感という言葉で片付けられないくらい、心地よく拓けた空間です。
たまたまかもしれませんが筆者の利用時は、筆者以外の利用者はカップルオンリー。みなさん、二人の世界を築き上げているなか、マジ泳ぎしちゃいました。天井までの大きな窓からまばゆい光が降り注ぐ朝、幻想的なトワイライトタイム、煌めきの夜景に包まれる夜と、こちらも時間を変えて何度でも足を運びたい場所です。
調子に乗って、「アマン・スパ」のトリートメントも受けちゃいましょう。33、34階の2フロアで構成される同スパの面積は、2500平方メートル。もちろん東京のホテルスパの中でも最大級の広さです。8つのトリートメントルーム、フィットネスジム、ヨガスタジオ、温浴施設、スチームルームなどを取り揃え、包括的なウェルネスを提案している、同スパのトリートメントは「癒された〜気持ちよかった〜」だけでは終わりません。コンセプトは、心・身体・精神の全てを健全にし、それを維持し発展させる旅(ジャーニー)を続けるためのトリートメント。魅力的なプログラムが多数あるので、今の自分に合ったプログラムが分からなければ、セラピストに、相談に乗ってもらいましょう。
筆者が選んだのは、「チネイザン」というトリートメント。内臓のコリや滞りを探り、ほぐすというタイ発祥のトリートメントだそうで、施術のあと体と心が浄化されたのが自分でも実感できました。セラピストの方は、「いらした時よりも良い気になっています」とにっこり。え。そうなの? 確かにそんな気もします。今なら仕事もはかどりそうです(笑)。
今回は利用する時間がなかったのですが、全面ガラス張りのジムで汗を流すのも気持ちよさそう! フィットネス用のウェアやジム用のシューズは無料で貸し出してくれるので、思い立ったら即トレーニングできます。
なお、現在、「アマン・スパ」では、宿泊ゲストに向けて、東洋医学をベースにした60分のウェルネスコンサルテーション「ウェルネスアセスメント」を用意しています。こちらはじっくりカウンセリングしてもらい、東洋医学の「四診」を基に悩みの根源を見つけるというもの。「アマン東京」での滞在中だけでなく、チェックアウト後の健やかな暮らし方まで提案してもらえます。体脂肪や代謝率などを事細かに測定してくれるインボディ測定も含まれていて、今の自分を知ることができる貴重な機会になるはず。まあ、かなり恐ろしい現実に向き合うことになるかもしれませんが。
さて、夕暮れ時はどこで過ごそうかと迷いに迷った挙句、客室のお風呂に決定。アマン東京のお風呂は浴槽が深い日本式。檜を使った、桶や椅子は特注したものだそう。バスアメニティの香りも檜で統一されていました。高貴な香りに包まれ、しばし自分自身も高貴になったかのような幸せな錯覚に陥るとします。
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