TRAVEL|ホテルステイをもっと自由に、もっと楽しく
TRAVEL|ホテルステイをもっと自由に、もっと楽しくする方法
香港ホテルホッピング
最近、旅慣れた人たちと話をしていて気づいたことがある。それは、旅行先でどこに宿泊するかという話をしていると、かなりの確率で、「あちらこちらに」と答えるのだ。以前は、旅の上級者といえば大抵お気に入りの常宿があって、そこに“帰る”という感覚の人も多かった気がする。それが今やホテル滞在すら愉しみのひとつとして、自らの旅をより印象的なものにするために、心の赴くままにデザインしているのだ。
Text by MAKIGUCHI June
ホテルが密集した香港で楽しむ“ホテルホッピング”
背景のひとつとして、ホテル業界が熾烈な競争を勝ち抜くため、独創的なコンセプトやインテリアで個性を打ち出していることがあるのかもしれない。最近では、同じブランドであっても、都市やエリアによってデザインやコンセプトを変えている。それはクラシック音楽で例えるなら変奏曲のようなもの。同じ主題を土台に、バリエーションを展開する。エスプリはそのままに、ブランドの様々な側面を表現することこそブランディングの妙。そんな背景もあるのか、以前にもまして、ホテル滞在が旅の主要な目的のひとつになっていると肌で感じるのだ。
“ホテルホッピング”を楽しむなら、やはりホテルが密集した都市がいい。例えば、西洋と東洋の文化が入り混じるアジア有数の国際都市、香港。2016年には、世界中から5665万4903人、日本からは109万2329人が来港した(香港政府観光局発表)。ここには、まだ日本未上陸のブランドを始め、世界的なホテルブランドがしのぎを削っている。
例えば、長年日本上陸を望む声がやまない「W」。ラグジュリーの枠を超えて大胆な個性を放つライフスタイルブランドだ。デザイン、音楽、ファッションといった業界とのコラボレーションが頻繁で、パーティイベントも多く開催されている。「WOOBAR」では、DJによるダンサブルな音楽が毎晩楽しめる。
また、ゲストの要望に応えるサービスに「Whatever/Whenever®(お望みのものを・お望みのときに)」と名付けたり、滞在をより印象的なものにするために相談できる担当者「インサイダー」を配置し、街で起きているエキサイティングな出来事の数々を教えてくれたり。他にはない発想のサービス、ホスピタリティが独自にデザインされており、滞在する楽しみがそこここで感じられる。世界のクリエイターたちからも支持を集めているのも納得だ。
インテリアにはロケーションに応じてさまざまなこだわりが取り入れられている。W香港では、街の西洋の交差点らしい個性が生かされ、都会的でスタイリッシュながら、遊び心のある鮮やかな色をアクセントに、街のパワフルなエネルギーを感じさせている。
76階にある「WET®」は、香港のホテルで最も高いところに位置する屋外プールだ。ヴィクトリア湾を見下ろしながら泳ぐ気分は格別。また、1階に位置するレストラン「星宴」では、伝統的な広東料理を本場で楽しむ喜びを堪能できる。
実は先日、たまたま、「W」好きを自称するビジネスマンと話をする機会があったのだが、ロケーションの歴史や伝統、文化をモダンに取り入れ、土地によって違った趣を見せているこのブランドは、デザイン好きにはたまらないのだと話していた。日本未上陸のホテルだけに、海外では好んで宿泊する日本のファンも多い。
「W香港」があるのは、エアポート・エクスプレスの九龍駅の真上なので、空港からのアクセスがすこぶる便利。メトロの駅にも外に出ずに行けるので、香港島サイドへの移動も簡単だ。目の前はヴィクトリア湾。昼は忙しい港の様子が、そして夜は対岸にある香港島の美しく煌めく摩天楼が心躍らせてくれる。ショッピング、ダイニングにも便利な「エレメンツ」という商業施設の一角にあるということも、もうひとつの魅力だろう。
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香港ホテルホッピング (2)
ホテル好きならお馴染みの5つ星ホテル「ザ・リッツ・カールトン」も香港にある。しかも、「W」のお隣、「エレメンツ」を挟んで繋がっている。実は、2016年秋からこのふたつのホテルは同じマリオット・インターナショナルの仲間となった。ラグジュアリーホテルという意味では同じだが、「W」が同グループ内で、「ディスティンクティブ ラグジュアリー」というジャンルに位置付けられているのに対し、「クラシック ラグジュアリー」とされているのが、「ザ・リッツ・カールトン」だ。
一世紀にわたって歴史と伝統を育み、磨き抜かれた伝統的なホテルサービスが、驚くような体験を生むと話題の場所でもある。例えば、飲み物のメーカーや果物の種類、客室の温度など、ゲストの好むもの、また記念日などを会話などから知ると、それらを記録し、全世界で共有。どの国の「ザ・リッツ・カールトン」に泊まろうとも、次の宿泊の際にはまるで“戻ってきた”ような居心地の良さに包まれるのだという。これが日々当たり前にできるよう、また突発的な出来事にも臨機応変に対応できるよう、紳士・淑女と称される従業員たちには自らの判断で行動するための幅広い権限が与えられているのだ。
素晴らしい体験に加え、「ザ・リッツ・カールトン香港」では、世界一高いところに位置するホテルに宿泊する興奮も。客室は102階から118階にあり、香港名物の摩天楼が眼下に広がる。優雅で洗練された格式ある雰囲気は、正統派を好む人、重要な商談を控えて落ち着いた時間を過ごしたいビジネスマンにぴったりだろう。118階にある世界最高階にあるバー「OZONE」や、102階で飲茶が楽しめる「天龍軒」、香港であえて訪れたいイタリアンレストラン「TOSCA」など、絶景のダインニングは、ぜひプライベートで選びたい。
香港に来たからには、立ち寄りたいマカオには、「セントレジス・マカオ コタイセントラル」がある。ここも「ザ・リッツ・カールトン」同様、「クラシック ラグジュアリー」。全部屋、到着から出発まで、部屋付きの執事が24時間にわたり要望に応えてくれるバトラーサービスに代表される、きめの細かいホスピタリティで有名なホテルだ。110年前に誕生した「セントレジス ニューヨーク」で花開いた様々な伝統と習慣が、リチュアルとして今も残る。例えば、ナポレオンがサーベルでシャンパンをあけた習慣にならって、夕暮れ時には「サブラージュ」が行われ、シャンパンがふるまわれる。ほかにも、「アフタヌーンティー」「深夜の晩餐」といったリチュアルがどの国でも体験できるのだ。もうひとつ、「セントレジス」と言えば欠かせないのが、「ブラディーマリー」。1934年にセントレジス・ニューヨークの名高いバーテンダー、フェルナン・プティオが考案したセントレジスブランド自慢のカクテルだ。オリジナルの「レッドスナッパー」に加え、各国でロケーションの特徴を生かした味を開発。マカオ発の「マリア・ド・レステ」はイベリア半島のポルトガル側の海岸がテーマだ。コクがありながらもピリッと辛いテイストは、探検を通してマカオを重要な貿易港として確立した船乗りたちの世界各地への旅を象徴している。
ひとくちにラグジュアリーといっても、これほど違うホテルが同じエリアにあるのなら、旅の上級者としては一か所だけに留まるのが実にもったいないことなのだと感じるはずだ。たえとば、上記の3ホテルブランドを擁する世界最大のホテルチェーン、マリオット・インターナショナルなら、香港だけでも12のホテルがある。世界では125ヶ国以上の6000を超えるロケーションに、30のホテルブランドを展開。つまり、あらゆる旅の目的に対応してくれるのだ。1泊ごとに移動するのが面倒だとしても、同系列の宿を選べば車の手配は簡単だし、ポイントがまとめて貯められたり、特典が使えるチャンスが増えたりもするので、同じホテルに連泊するのと同等の利点も見つけられる。旅好きには好都合だ。
仕事で訪れた都市に、せっかくだからプライベートで数日延泊するということもあるだろう。そんな時、公私を切り替えるようにホテルをホッピングするという発想もありかもしれない。より快適なホテルステイの可能性を広げて、旅をもっと自分らしくカスタマイズしてみてはいかがだろうか。
W香港
http://www.starwoodhotels.com/whotels/property/overview/index.html?propertyID=1965
ザ・リッツ・カールトン香港
http://www.ritzcarlton.com/jp/hotels/china/hong-kong
セントレジス・マカオ コタイセントラル
http://www.starwoodhotels.com/stregis/property/overview/index.html?propertyID=3121&language=ja_JP
マリオット・インターナショナル
世界125ヶ国以上の6000を超えるロケーション、30のホテルブランドを展開。あらゆる旅の目的に対応してくれる
http://www.marriott.co.jp/brands.mi