MUSIC│アルヴァ・ノトが「複製」をテーマに制作した『xerrox vol.3』
LOUNGE / MUSIC
2015年5月4日

MUSIC│アルヴァ・ノトが「複製」をテーマに制作した『xerrox vol.3』

MUSIC|「複製」をテーマにしたエレクトロニック・サウンド

アルヴァ・ノトのシリーズ最新作『xerrox vol.3』

坂本龍一とのコラボレーションなどで知られるドイツ人サウンド・アーティスト、アルヴァ・ノトによるシリーズ最新作『xerrox(ゼロックス) vol.3』が、4月26日(日)にリリースされる。「宇宙に向かって」という副題があたえられた本作は、ゼロックス・シリーズとしてはおよそ5年ぶりという待望の新作だ。

Text by YANAKA Tomomi

夢のなかで見た風景を通過した、空想の旅のようなサウンド

サウンド・アーティストのアルヴァ・ノトは、1965年に東ドイツ・カールマルクスシュタットに生まれた。創造的なプロセスにたいする独自の微視的な見方を作り出すため、電子音とヴィジュアル・アートをハイブリッドし、現代美術やメディアアートといった多彩な領域を横断してきた。

全5作になる予定のゼロックス・シリーズは、コピー(複製)のプロセスをもとにノトが取り組んできた作品。2007年にリリースされた『xerrox vol.1』には「旧世界」、2009年の『xerrox vol.2』には「あたらしい世界へ」、そして5年ぶりとなった本作では「宇宙に向かって」という副題がつけられている。

アルバム『xerrox vol.3』の6曲目に収録される「xerrox isola」

本作では飛行機や空港、クルマなど、移動中に集音したサウンドをサンプリング。それら日常の音を大きく変容させて、あらたなサウンドを作り出すことで、もとの素材を連想させることはほとんどできなくなる。つまり、オリジナルのコピーはそれ自身がオリジナルになるというコンセプトだ。

『惑星ソラリス』や『ミステリー島探検/地底人間の謎』など、ノトが子どものときに観た映画の記憶からインスパイアされたという本作。まるで、夢のなかで見た風景を通過した空想の旅のようなサウンドが広がり、ノト本人も「実際に存在しない映画への映画的な感情のサウンドトラック」と解説する。

銀座メゾンエルメス フォーラムで作品を展示

また、本名のカールステン・ニコライとしてアーティスト活動もおこなっているノトは、銀座メゾンエルメス フォーラムで4月24日(金)から7月5日(日)まで開かれるグループ展『線を聴く』に出展。

これまでも、ヴィジュアル・アートと電子サウンドを融合させ、自然科学やその構造に着眼した作品を発表し、各国の展覧会に参加してきたノト。今回の展示では、“シンプルな「線」を考察する” というテーマのもと、線や点のずれによって生じる現象をリサーチしたヴィジュアルディクショナリーを発表する。『xerrox vol.3』と合わせて、この機会に彼が創造する世界を感じとってみてはいかがだろう。

カールステン・ニコライ|Carsten Nicolai《グリッド・インデックス gi-ntp-005》

『グリッド・インデックス gi-ntp-005』(2011)

 

alva noto|アルヴァ・ノト 『xerrox vol.3』 02

『xerrox vol.3』
アルヴァ・ノト
全11曲
発売日|4月26日(日)
価格|2355円(AMIP-0064)
レーベル|raster-noton

『線を聴く』展
日程|4月24日(金)~7月5日(日)
時間|11:00~20:00 ※日曜は~19:00
会場|銀座メゾンエルメスフォーラム
東京都中央区銀座5-4-1 8階
Tel. 03-3569-3300
入場料|無料

 

Courtesy of Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery/ JASPAR, Tokyo, 2015 E1509

           
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