松浦俊夫｜ジャズ・ヒップ・ジャップを体現するアーティスト、三宅純

松浦俊夫｜from TOKYO MOON 9月15日オンエア

ジャズ・ヒップ・ジャップを体現するアーティスト、三宅純

DJ松浦俊夫による、大人のための音楽番組『TOKYO MOON』。日曜の夜23:30から、InterFM 76.1MHzにてオンエア中です。世界中から選りすぐった“フレッシュ”な音楽や、大人の知的好奇心を刺激するトピックスをご紹介。ここではオンエアされたばかりの内容を振り返ります。アーティストについて深く掘り下げたり、関連した楽曲を紹介したり、さらにはその曲が購入できたりと、『TOKYO MOON』を目と耳で楽しむ連載です。今週は新作『Lost Memory Theatre Act-1』の発表を控えた作曲家、三宅純にスポットを当ててお届けします。

Text by MATSUURA Toshio

日本発のスペシャル・プロジェクト！

1980年代より、日本の名だたる企業のCM曲から、映画、舞台、ダンスなど、さまざまなクリエイティヴ・シーンにおいて、“ジャズのナイフ”を隠し持ち、時代の盲点を突いた音楽を生み出してきた作曲家、三宅純。この連載で取り上げた、ヴィム・ヴェンダース監督による映画『Pina／ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』でも、脇役に徹しながらも、圧倒的な存在感を放っていた彼の楽曲は世界中から賞賛されました。

トランぺッター、日野皓正の作品に出会ったことがきっかけとなり、高校卒業後、アメリカに単身音楽留学。そこで基礎を築き上げ、帰国後発表したデビュー作に収録された楽曲が、アンディ・ウォーホールの出演するCMに起用され、以降カンヌ国際広告映画祭などの受賞作を多数生み出し、CM王と異名を取るほど活躍してきました（なんとその数3000以上）。

1987年、東京・西麻布にオープンした“踊るジャズ・クラブ”「ボヘミア」でわたしが働いていたころ、三宅さんはここの音楽監督として、ミュージシャンのセレクトとブッキングをおこなっていて、自らのグループも率いて出演することもあったのですが、若造のわたしにもいわゆる普通のジャズとはちがう香りを漂わせる、個性的なミュージシャンたちが東京の夜を彩っていました（ちなみにわたしは、このジャズ・クラブで、その後U.F.O.を結成することになるふたりと出会いました）。

それから四半世紀が過ぎたいま、彼の“ナイフ”は錆びるどころか、さらに輝きを増してきていると思います。活動の場をパリに移しながらも侍としての熱き魂を持ち続け、世界を舞台に活躍し続けジャズ・ヒップ・ジャップを体現するアーティスト、三宅純。これからもその動向に注目したいと思います。

三宅純

最後に新作『Lost Memory Theatre Act-1』に寄せたご本人のコメントを掲載します。ちがいの分かる大人にこそ聴いて欲しい音楽がここにはあります。

「特定の場所と深く結びついている記憶がある。その特定の場所が、予告も無く姿を消してしまう事がある。
リンクを断ち切られた僕らの記憶は、どこに迷い込んでしまうのだろう。どこかに失われた記憶が流れ込む劇場が
あったとしたらどうだろう？記憶を渇望するブレードランナーのレプリカントのように、そこには記憶に焦がれた
人たちが集まり、その記憶の疑似体験をしていく。そこで流れている音楽はどんなものだろう？過去にあった音楽
そのものではなく、失われた記憶を喚起するような音楽とはどんなものだろう？」――三宅純

http://www.junmiyake.com/

REVIEW｜TRACK LIST

★マークのついた楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。

01. 三宅純 / Assimetrica (P-Vine)
02. Tetine / O Bandido (Slum Dunk)★
03. Massive Attack / Inertia Creeps -State Of Bengal Mix (Circa)★
04. Brigitte Fontaine / La Femme À Barbe (Virgin)★
05. Ras G / Culture Riddim (Brainfeeder / Beat)★
06. DJ Shadow / Organ Donor (Mo Wax)★
07. Head West / Attention (Disques Vogue)
08. Jessy Lanza / Pull My Hair Back (Hyperdub)★
09. Braids / Fruend (Arbutus)★
10. Fatima & Eglo Live Band / Redlight (Eglo)
11. Bugge Wesseltoft / (All I Wanted Was To Make You) Feel Good (Jazzland)★
12. 三宅純 / Ich Bin Schon (P-Vine)

三宅純
『Lost Memory Theatre Act-1』

Tetine
『In Loveland With You』

Massive Attack 「Inertia Creeps」

Brigitte Fontaine 『Genre Humain』

Ras G
『Back On The Planet』

DJ Shadow 『Endtroducing..... 』

Head West 『Head West』

Jessy Lanza
『Pull My Hair Back』

Braids 『Flourish / / Perish』

Fatima 「Circle」

Bugge Wesseltoft 『Sharing』

今週の「TOKYO MOON on iTunes」

これまでに紹介した楽曲のなかから、選りすぐったものをここで購入できます。気になった楽曲がすぐ入手できる喜びを味わってください。今回は秋を感じる心地よい風に合わせた3曲をピック・アップしました。ぜひ野外で楽しんでください。

楽曲をクリックすると、試聴・購入することができます。
あらかじめ「iTunes」ソフトをインストールのうえ、お楽しみください。

The Durutti Column / Brother　　2010.9.12
Teebs / Tomorrow　　2011.10.16
The Beauty Room / One Man Show　　2012.9.23

ふたつの街で味わう秋の夜

今週末、音響にこだわった新旧の2つのクラブでパーティが開催されます。小規模なスペースならではの“音楽的な自由度”。18年つづけた新宿と、生まれたばかりの青山のふたつの街で秋の夜をともに楽しみましょう。

OTO 18th Anniversary at OTO

日程｜9月21日（土）
時間｜20:00開場
入場料｜当日券 2500円（1ドリンク付き）　※フライヤー掲示で2000円（1ドリンク付き）
ライブ｜Freedom Suite Folk Club
DJ｜TOSHIO MATSUURA、竹花英二 (JAZZBROTHERS)、橋本徹 (suburbia/Café Après-midi)、中村智昭 (Bar Music)、城内宏信、イシカワアツヒロ、sight、杉山征利、Nashimoto Hollywood、中村ゆうや、DJ video-kid、hakkase、kobori、akira、neralt、DJ SinTA
ライブ・ペインティング｜渡辺彩子
フード｜青木食堂
http://www.club-oto.com/

CLUB 100 (One Hundred) AT 0 -ZERO-
日程｜9月22日（日）
時間｜22:00開場
入場料｜2500円（1ドリンク付き）　※23:00までは1500円（1ドリンク付き）
DJ｜TOSHIO MATSUURA、TR(:SYNTHESIZE /TIMEWARP)
ビジュアル＆アート｜KAZUYA KITAOKA、ATSUSHI TEZUKA、DAISUKE TAKAHASHI、HIROTAKA BUNYA
スイーツ｜UTCHEY
https://www.facebook.com/pages/0-Zero/198446586945627