kizunaworld.org|プロジェクトを締めくくる最後の作品「KIZUNA311」
LOUNGE / MUSIC
2015年1月17日

kizunaworld.org|プロジェクトを締めくくる最後の作品「KIZUNA311」

kizunaworld.org #30

プロジェクトを締めくくる最後の作品

坂本龍一と田島一成による映像作品「KIZUNA311」

坂本龍一氏らによってスタートし、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る東日本大震災被災地支援プロジェクト、「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」。プロジェクトを締めくくる30番目の作品は、坂本龍一氏の音楽と、写真家・田島一成氏の映像によるコラボレーション作品「KIZUNA311」。

Text by IWANAGA Morito(OPENERS)

東日本大震災から2年が経過

「kizunaworld.org」は、「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのもと、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供し、寄付を募ってきた。震災から2年が経過し、30番目の作品となる今回の更新で「kizunaworld.org」は幕を閉じる。プロジェクトの発起人である、音楽家・坂本龍一氏とデジタルステージ代表・平野友康氏の両人からメッセージが届いた。

kizunaworld.org|プロジェクトを締めくくる30番目の作品「KIZUNA311」02

2年目の3.11を迎え、あれからずいぶん時間がたったようでもあり、昨日のことようでもあり、複雑な感情にとらえられています。改めて犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々が早く安寧な日常を取り戻すことを願うものです。

2011年4月よりkizunaworldをおこし、被災地への寄付をおこなってきましたが、3.11からちょうど2年が経ち、その役目はまっとうしたのではないかとおもっています。なんといっても、いままで無償で作品を提供してくださった世界中のアーティストのみなさん、彼らの深い同情心に尊敬と感謝を捧げます。また寄付をしてくださったみなさんに、大きく「ありがとう」を言いたい。そして、忙しい仕事をぬってサイトをデザインし、運営してくれた平野氏を筆頭とするデジタル・ステージのスタッフに、大きな感謝を捧げます。

最後に、なかなか進まない復興にいら立ちながらも、単にむかしの姿に戻すだけではない、日本の地方のあり方の、あらたなモデルになるような復興が、いち早く実現することを、切に願うものです。
坂本龍一

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今回の新曲「KIZUNA311」の作品発表を以て、このkizunaworldの活動に一旦の区切りをつけることになります。改めて、この活動にご参加いただいた国内外のアーティスト、関係者の方々、そしてご支援をいただいた皆様に深く感謝を捧げます。ありがとうございました。

作品発表での更新は終わりになりますが、世界中から30もの作品が寄せられたこの活動を、何らかのかたちで残せないかと考えています。そこで、作品を寄せていただいたアーティストの方々はもちろん、いままで寄付してくださった方々のご意見も求めながら、これまでの集大成のようなものを模索していきたいとおもっています。そして、そうした活動そのものも、被災された方々の支援に繋がるよう取り組んでいければとおもいます。

いまだ、元通りの日々とはかけ離れた暮らしをされている多くの被災された方々のことをおもうとき、わたしたちが生きていくことの意味と、残された者がすべきことについて考えさせられたこの2年でした。そして、これからも考えつづけていかなければならないのだと強く感じます。
改めて、東日本大震災の犠牲になった方々へのご冥福をお祈りいたします。
平野友康

被災地の“いま”に想いを馳せて制作された最後の作品

「kizunaworld.org」最後の作品として発表された「KIZUNA311」では、坂本龍一氏が被災地の“いま”に想いを馳せて制作した音楽に、田島一成氏の映像が融合した。田島氏は、坂本氏の音楽にたいして「過度に情緒的な表現をせずに、悲しみと喜びを微差で表現」した映像を寄せたという。

なお、寄付の受付は継続しておこなわれる。作品は、1口1000円~20口2万円の任意の寄付をPayPalで決済し、ダウンロードする仕組み。集まった寄付金の全額(決済手数料を除く)が、被災地で「いま必要な支援」として「医療」「こども」「食料」「住宅」「エネルギー」の分野を代表する5つの団体へ均等に配分され、四半期ごとに寄付をおこなっている。

〈寄付先〉
「国際NGO 世界の医療団」|岩手県大槌町でこころのケアを中心とした医療活動、医薬品の調達
「こどもの音楽再生基金」|教育機関での楽器修復や提供・音楽活動支援
「サンライズ元気村プロジェクト」|仮設住宅で生活する高齢者に米を届ける支援
「ボランタリー建築家機構 坂茂/東日本大地震津波支援プロジェクト」|避難所用簡易間仕切りシステム設置による支援
「つながり・ぬくもりプロジェクト東北」|太陽光・太陽熱・バイオマスなどによる被災地支援

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SAKAMOTO Ryuichi|坂本龍一
音楽家。1978年『千のナイフ』でデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏と「YMO」を結成。2006年、あらたな音楽コミュニティの創出を目指し「commmons」を設立。同年に六ヶ所村核燃料再処理施設稼働反対を表明し、「stop-rokkasho.org」をスタートさせた。2007年には「more trees」の設立を発表し、温暖化防止についての啓蒙や森林保全、植樹活動をおこなう。
http://www.sitesakamoto.com

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TAJIMA Kazunali|田島一成
1968年生まれ。東京を拠点に活動する写真家。ピチカート・ファイブやオリジナルラブなど、多くのミュージシャンのポートレートのほか、ファッション誌、広告、テレビコマーシャルの撮影など、多岐にわたるメディアで活躍する。代表作となるドキュメンタリー写真集「N/Y」では、ニューヨークでの坂本龍一氏を撮影。
http://www.tajimakazunali.com

kizuna play for japan

           
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