上原ひろみがトリオの可能性をどこまでも追求した『SPARK』を語る|INTERVIEW
LOUNGE / MUSIC
2016年4月26日

上原ひろみがトリオの可能性をどこまでも追求した『SPARK』を語る|INTERVIEW

上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトfeat. アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス

待望のニューアルバムが発売

上原ひろみ、『SPARK』について自ら語る(1)

上原ひろみのニューアルバム『SPARK』が発売された。アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとの作品づくりは前作『ALIVE』につづくもので、このトリオの結成から約5年、通算4作目になる。この三人でなければできない音楽があるという上原が、新作『SPARK』について語った。

Photographs by KOMIYA KokiText by NAGASAKI Yoshitsugu

アルバム全体でストーリーを表現した『SPARK』

上原ひろみについて、今さら多くの説明は必要ないだろうが、おそらく世界のジャズシーンで最も有名な日本人の一人であることに疑いの余地はない。彼女のニューアルバム『SPARK』は、アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとともにつくり上げてきたザ・トリオ・プロジェクトの最新作でもある。

「今回はアルバム全体が一つのストーリーを描くような構成を考えて、曲づくりを進めました」

上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

その言葉通り、ひとが何かに衝撃を受けるところから物語は始まり、そこから夢のような世界へと心が動き、物語の終わりでは現実に戻ってくる。そんなストーリーをアルバム全体で表現している。まさに大きな流れのような作品。

「今は一曲ずつでもネットで買える時代になっていますが、その時代にアルバムを出す意味というのは何かをミュージシャン自身も考えなければならいないんだと思います。だからこそ、このアルバムは一枚でひとつのストーリーを紡ぐというアイデアを試したかったんです」

トリオとしての4作目だけに、コンビネーションもこれまで以上に練られている。

上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

「この三人でなければできない音楽があるという実感があります。これまで5年間一緒にやってきて、ライブを積み重ねてきた成果や成長をかたちにできたのがこのアルバムだと確信しています」

上原とともにアルバムをつくり上げたのは、コントラバスギターのアンソニー・ジャクソン、ドラムスのサイモン・フィリップス。いずれもファースト・コール・アーティストとして世界中のミュージシャンが恋い焦がれる存在だ。

上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

「音楽のジャンルにこだわるのではなく、あらゆる音楽を経験してきた二人だからこそ、どんどん化学反応が生まれて、ひとつになっていく感覚がありました」

そのために必要なのがライブだという。

「ライブを重ねるなかで、完成度を高めていく。そしてレコーディングという流れです」

Page02. ライブこそがトリオの醍醐味となる

上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトfeat. アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス

待望のニューアルバムが発売

上原ひろみ、『Spark』について自ら語る(2)

ライブこそがトリオの醍醐味となる

「ライブは私たちトリオにとってとても重要です。曲の完成度を高めるという意味だけでなく、三人がそれぞれの持ち味を最大限に発揮するにはどうすればよいかを、リアルな演奏のなかで完成させていくからです。このアルバムもレコーディング前に3週間ぐらいツアーに出ていて、新しい曲を演奏しながら固めていきました」

そのなかで鍛え上げられた楽曲だけに、完成度は半端ではない。

上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

「ライブのなかで一体感が生まれて、さらにお互いを驚かせようというサプライズがほとばしります。そういう要素をすべてスタジオに持ち込んでレコーディングをします。そこでひとつの完成形をつくり上げ、そのアルバムを持ってまたツアーに出ます。そのライブのなかでまた新たな発見があります」

彼らの音楽はつねに進化を遂げているということだ。

「音楽の冒険旅行を5年間共にしてきた今の三人にでしかできないことを、アルバムでつくり上げました」

ライブでのダイナミックな演奏。そして、ひとつのストーリーとして完成されたアルバム。そのどちらにも上原ひろみとトリオの魅力は存在する。できればアルバムを通して聴いて、さらにライブに出かける。その両方を堪能するべきなのだろう。


上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

『SPARK』
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト
feat. アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス
発売日|2016年2月3日(水)
■初回限定盤SHM-CD+DVD 3564(UCCO-9998)
■通常盤SHM-CD 2808円(UCCO-1167)
■プラチナSHM 3564円(UCCO-40008)

1. SPARK
2. イン・ア・トランス
3. テイク・ミー・アウェイ
4. ワンダーランド
5. インダルジェンス
6. ジレンマ
7. ホワット・ウィル・ビー、ウィル・ビー
8. ウェイク・アップ・アンド・ドリーム
9. オールズ・ウェル

UNIVERSAL MUSIC JAPAN
上原ひろみ

http://www.universal-music.co.jp/hiromi-uehara/

上原ひろみ『Spark』を語る|UEHARA Hitomi

上原ひろみ|UEHARA Hiromi
静岡県浜松市生まれ。6歳よりピアノを始め、同時に作曲を学ぶ。17歳のときにチック・コリアと初共演。1999年にボストンのバークリー音楽院に入学し、在学中にジャズの名門テラークと契約。2003年にアルバム『Another Mind』で世界デビューを果たす。これまでに『Duet』『Place to Be』『スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ』『MOVE』『ALIVE』などのアルバムを発表。チック・コリア、スタンリー・クラークなどの海外アーティストとの共作も多い。2015年6月には日本人アーティストとして唯一となるニューヨーク・ブルーノートでの11年連続公演を成功させた。国内では、2014年の日本ツアーで延べ4万人を超える観客を動員。DREAMS COME TRUE、矢野顕子、レキシといった多彩なアーティストと共演ライブもおこなっている。

問い合わせ先

ヤマハミュージックアーティスト

Tel. 03-6894-0212(平日10:30〜13:00)

http://www.hiromiuehara.com/

           
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