kizunaworld.org|彫刻家・名和晃平と坂本龍一のコラボ映像作品「Dot Synthesis」
kizunaworld.org #21
彫刻家・名和晃平と坂本龍一のコラボ映像作品
坂本龍一氏らによってスタートし、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る東日本大震災被災地支援プロジェクト、「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」。21番目の作品は、若手彫刻家として知られる名和晃平氏と、坂本龍一氏によるコラボレーション映像作品、「Dot Synthesis」である。
Text by KASE Tomoshige(OPENERS)
「根源的なもの」を感じさせる作品
坂本龍一氏と平野友康氏が発起人となり立ち上がった「kizunaworld.org」。「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのもと、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供、寄付を募っている。その活動はすでに1年を超え、2年目以降も個人の想いを繋げながら、継続的な支援をつづけている。
21番目の作品は、ガラスビーズを使った彫刻などで注目を集める現代芸術家、名和晃平氏と、坂本龍一氏が共同で制作した映像作品。2011年に東京都現代美術館で開催された名和氏の個展「Kohei Nawa - SYNTHESIS」。そこで発表されたドローイング作品「Dot Synthesis」の世界観を映像化したものとなる。
映像は名和氏が担当、映像をもとに坂本氏が音楽を制作し、コラボレーションが実現した。生成と消滅を繰り返す「セル」の振る舞いを、グリッド状にランダムに配置された絵の具の「しずく」で表現。映像は静かにスクロールし、荘厳なイメージの楽曲がオーバーラップする。生命や存在における「根源的なもの」を感じさせる作品となっている。
作品は、1口1000円~20口2万円の任意の寄付をPayPalで決済し、ダウンロードする仕組み。集まった寄付金の全額(決済手数料を除く)が、被災地で「いま必要な支援」として「医療」「こども」「食料」「住宅」「エネルギー」の分野を代表する5つの団体に対して均等に配分され、四半期ごとに寄付をおこなっている。
〈寄付先〉
「国際NGO 世界の医療団」|岩手県大槌町でこころのケアを中心とした医療活動、医薬品の調達
「こどもの音楽再生基金」|教育機関での楽器修復や提供・音楽活動支援
「サンライズ元気村プロジェクト」|仮設住宅で生活する高齢者に米を届ける支援
「ボランタリー建築家機構 坂茂/東日本大地震津波支援プロジェクト」|避難所用簡易間仕切りシステム設置による支援
「環境エネルギー政策研究所 つながり・ぬくもりプロジェクト」|太陽光・太陽熱・バイオマスなどによる被災地支援
名和晃平|NAWA Kohei
1975年、大阪生まれ。彫刻家として、現代美術の領域で注目を集める。京都造形芸術大学准教授(総合造形コース主任)。独自の「PixCell = Pixel(画素)+ Cell(細胞・器)」という概念を機軸に、多様な表現を展開する。2009年、京都・伏見区に創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」を立ち上げた。2011年6月には東京都現代美術館で個展「Kohei Nawa - SYNTHESIS」を開催。2012年秋には韓国・チョナンに大規模な屋外彫刻「Manifold」を設置し、同時に韓国のARARIOギャラリーで2つの個展を開催する予定だ。