MOVIE|“キング・オブ・ソウル”の栄光と挫折をあぶりだす『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』
MOVIE|伝説のミュージシャンの栄光と挫折をあぶりだす
『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』
“キング・オブ・ソウル”など、最高の称号で呼ばれるジェームス・ブラウン(1933-2006年)の生涯を親友との交流を軸に描き出す『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』。5月30日(土)より、シネクイントほか全国公開される。
Text by YANAKA Tomomi
ミック・ジャガーが製作に名乗り
1950年代から2000年代まで半世紀にわたり音楽シーンで活躍し、マイケル・ジャクソンやプリンスら多くのアーティストに影響を与えてきたジェームス・ブラウン。音楽業界の既成概念を壊し、道なき道をつくり、歴史を生み出してきた彼の激動の人生が映画化された。
映画化に動いたのは無名時代からジェームス・ブラウンに憧れていたというローリング・ストーンズのミック・ジャガー。彼が製作に名乗りをあげ、監督には『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』などで知られるテイト・テイラーが務めるなど、“ゴッドファーザー”と呼ばれたジェームス・ブラウンへの大きな尊敬の念を抱くスタッフが集結した。
ジェームス・ブラウンを演じるのは、チャドウィック・ボーズマン。本人にそっくりな動き、南部なまりの強い独特の話し方、歌い方まで見事に再現したパフォーマンスは、映画館をライブ会場へと変貌させる。
栄光の影で荒れていく私生活
貧しい家庭に生まれ育ったジェームス・ブラウンは、両親に捨てられ、貧困ゆえに盗みを犯してしまう。収監された刑務所で生涯無二の親友となるボビー・バードと出会い、彼らはゴスペルをとおして親交を深めていくのだった。
出所後、本格的に音楽の世界に入っていくブラウンは強烈な上昇志向をもち、さまざまな理不尽な差別に強い意志で対峙していく。一方で、私生活も破天荒そのもの。ミュージシャン仲間、家族ともぶつかり合いながら、“ソウル・ブラザー・ナンバー・ワン”への階段を登り詰めていくのだった。
彼の生み出すほかとは一線を画すソウル・ミュージックは、大きなうねりとなり、いつしか黒人解放運動の先陣としても頭角をあらわしていく。と同時に、彼の激烈なプライベートの一面は激しさを増していく。
差別や偏見、嫉妬などの多くの壁をぶち破り、20世紀最高峰のエンターテイナーへと登り詰めた彼の見た景色とは。すべてが桁ちがいだった天才を、影で支えつづけた親友との友情と絆があらたなジェームス・ブラウン像を浮き彫りにする。
『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』
5月30日(土)より、シネクイントほか全国ロードショー
監督|テイト・テイラー
出演|チャドウィック・ボーズマン、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイド、ヴィオラ・デイヴィス
配給|シンカ/パルコ
2014年/イギリス・アメリカ/139分
http://jamesbrown-movie.jp
© Universal Pictures(C)D Stevens