MOVIE|実話をもとにした愛の物語『チョコレートドーナツ』
MOVIE|世界の片隅で家族になった三人
実話をもとにした愛の物語『チョコレートドーナツ』
1970年代のアメリカでの実話をもとに、母親から見捨てられたダウン症の子どもと一緒に暮らすべく、偏見の目や司法と闘ったゲイのカップルの姿を描く『チョコレートドーナツ』。4月19日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
ニー賞俳優アラン・カミングがショーダンサー役を熱演
ゲイのカップルとダウン症の子ども。普通の家族とはちがうけれど、世界の片隅にいた3人が愛にあふれた家族の姿をみせる『チョコレートドーナツ』。全米各地の映画祭で観客賞を受賞した感動作が公開される。
監督や脚本を務めたのは、『シン・レッド・ライン』(1998年)や『17歳のカルテ』(2000年)などに出演していた元俳優であり、パイロットでもあるというユニークな経歴をもつトラヴィス・ファイン。原作のシナリオを読み、愛するわが子を奪われる苦しみに普遍性を感じ、映画化を実現させた。
また主演で、ショーダンサーのルディには、舞台『キャバレー』でトニー賞を受賞したアラン・カミングが熱演。圧倒的な演技とともに、劇中で彼が歌うボブ・ディランの名曲『I Shall Be Released』は観る者を圧倒する。また弁護士のポール役には『ノーカントリー』(2007年)のギャレット・ディラハント、そして少年マルコにはオーディションで見出されたというアイザック・レイヴァが心温まる演技を見せた。
ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされるルディとポール
1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きている弁護士のポール。そして母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年マルコ。
世界の片隅で出会った3人。そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築きはじめる。
ルディは録音機でデモテープをつくってはナイトクラブへ送り、マルコは、はじめて学校に入学し友達とともに学びはじめた。こうして叶うかにみえた夢だが、幸せな時間は長くはつづかなかった。
ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ルディとポールはマルコと引き離されてしまうのだ。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い、深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛するひとを守るために奮闘するルディとポール。本当の愛とは何かを問う、魂を震わす物語だ。
『チョコレートドーナツ』
4月19日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督・脚本・製作│トラヴィス・ファイン
出演│アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ、フランシス・フィッシャー
配給│ビターズ・エンド
2012年/アメリカ/97分/原題『Any Day Now』
http://bitters.co.jp/choco/
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