エミール・ハーシュとスティーヴン・ドーフが見せる兄弟の絆

一昨年のローマ国際映画祭で観客を熱狂の渦に巻き込んだ『ランナウェイ・ブルース』。本作で長編デビューを果たしたアラン・ポルスキーとガブリエル・ポルスキーという“兄弟監督”がおなじく、兄弟の愛、絆をいまが旬のハリウッド俳優を迎えて表現した。

出演は、優しく繊細な弟フランクに『ミルク』（2008年）のエミール・ハーシュ。不器用だが弟想いの兄ジェリー・リーにはスティーヴン・ドーフという個性的なキャストが実現。観る者に大きな共感を与えるあらたな兄弟の物語を紡ぎだした。また、ヒロインでフランクの恋人アニーには、ダコタ・ファニング。貧しさから望まぬ生き方を選ばなければならない若い女性をみずみずしく演じている。

エミール・ハーシュ

スティーヴン・ドーフ

ダコタ・ファニング

劇中にはボブ・ディラン＆ジョニー・キャッシュの名曲『北国の少女』をはじめ、全編にわたりブルースが流れるのも特筆すべき点のひとつ。さらに、兄弟が空想のなかで生み出す冒険がアニメーションとなって映画に挿入され、豊かなイマジネーションをもたらしている。

交通事故を起こした兄を抱えて逃亡を決意する弟フランク

フランクと、幼い頃に負ったケガの後遺症があるジェリー・リーは孤児として育つも、固い絆で結ばれた兄弟。弟フランクが紡ぎだす痛快な冒険譚に兄のジェリー・リーがイラストを描き起こし、つらく何の展望もない毎日を笑い飛ばしながら、二人は一緒に生きている。

ある日、ジェリー・リーが交通事故を起こし、フランクのかつての恋人アニーが住む街とへ二人は逃れることに。互いに愛しながらも、ある出来事をきっかけに別れてしまったフランクとアニー。再会したアニーは変わらぬ愛と優しさでフランクを包み込むのだった。

本当はアニーのことをずっと想いつづけるフランクに「一歩前に踏み出せ」と背中を押すジェリー・リー。しかし、ジェリー・リーの足のケガが悪化しはじめ――。

フランクはアニーの愛を取り戻し、ジェリー・リーとともに幸せを手に入れることができるのか。これまで数多く描かれてきた兄弟をテーマにした作品にもたらされた新風。互いを思いやる絆が観る者の心を熱くする。

『ランナウェイ・ブルース』
3月15日（土）より、シネマート新宿ほかでロードショー
監督│アラン・ポルスキー、ガブリエル・ポルスキー
出演│エミール・ハーシュ、スティーヴン・ドーフ、ダコタ・ファニング、クリス・クリストファーソン
配給│熱帯美術館
2012年/アメリカ/85分
http://runaway-blues.jp

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