MOVIE|俊英ハル・ハートリー待望の新作『はなしかわって』
MOVIE|過去の名作3作品も同時ロードショー
俊英ハル・ハートリー待望の新作『はなしかわって』
“ニューヨーク・インディペンデント映画の雄”としてその名が知られる映画監督ハル・ハートリー。日本で初公開となる『はなしかわって』は1月25日(土)から、デビュー作であり、日本の劇場では未公開だった『アンビリーバブル・トゥルース』や、その名を世に知らしめた『シンプルメン』『愛・アマチュア』の3作品は、ひと足早い1月18日(土)から、新宿K'sシネマほかでロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
恋愛模様をシンプルかつ辛口な映像で魅せる
ハル・ハートリーは1989年、長編デビュー作『アンビリーバブル・トゥルース』の発表直後から世界が注目。2作目の『トラスト・ミー』(1990年)はサンダンス映画祭の脚本賞を受賞。さらに今回上映される『シンプルメン』(1992年)はカンヌ国際映画祭のコンペに選出、『愛・アマチュア』(1994年)は東京国際映画祭ヤングシネマ1994コンペティションでシルバー賞に輝くなど、世界中で高い評価を得てきた。
ホームグラウンドであるニューヨークを舞台に繰り広げられる男女のナイーブな恋愛模様を、シンプルかつ辛口な映像で見せる独特の作風は、1990年代の日本でも人気を呼んだ。今回ハートリーにとって5年ぶり、日本での公開は実に13年ぶりという新作『はなしかわって』が公開されるのを記念し、過去の名作3作品もあわせて同時上映。特に、処女作の『アンビリーバブル・トゥルース』は劇場公開されず、ビデオでの発売のみだったため、待望の劇場初公開となる。
アメリカでは2011年に公開されていた『はなしかわって』は、マンハッタンで人助けに奔走するジャズドラマーの人間関係をスタイリッシュに描き、初期作品にみられるような抑制されたミニマムタッチのストーリー。主役のジャズドラマーには、ハートリー作品の常連でもあるD・J・メンデルが演じ、ハートリーのミューズであり元妻の二階堂美穂も出演している。
社会的成功を求めるジョセフだが──
マンハッタンに暮らすジャズドラマーのジョセフ。多くの友人をもち、エコ窓の輸入や小説の執筆、広告用のビデオの制作、さまざまなものの修理などを請け負うなど、器用な性格を生かしたビジネスも手がけている。
こうして社会的成功を求めるジョセフだが、そのどれもがなかなか実を結ばない。しかし、さまざまな人と一瞬のふれあいを繰り返すなかで、徐々に人との距離を縮めていく。
ニューヨークの街とひとびとの情景を描くとともに、ハートリー作品の根底に流れるお互いをいたわる優しさ、日常生活のなかにあらわれる希望といった普遍的なテーマで魅了する新作『はなしかわって』。過去の名作とともに、ハートリーの世界を存分に堪能してみたい。
『はなしかわって』
1月25日(土)より新宿K'sシネマほかでロードショー
監督・脚本│ハル・ハートリー
出演│D・J・メンデル、ダニエル・メイヤー、二階堂美穂、カンスタンス・フレイクス
配給│ジェイ・ブイ・ディー
2011年/アメリカ/59分
『アンビリーバブル・トゥルース』
1月18日(土)より新宿K'sシネマほかでロードショー
監督・脚本│ハル・ハートリー
出演│エイドリアン・シェリー、ロバート・バーク、クリストファー・クック
配給│ジェイ・ブイ・ディー
1989年/アメリカ/97分
『シンプルメン』
1月18日(土)より新宿K'sシネマほかでロードショー
監督│ハル・ハートリー
出演│ロバート・バーク、ウィリアム・セイジ、カレン・サイラス、エレナ・レーベンソン、マーティン・ドノバン
配給│ジェイ・ブイ・ディー
1992年/アメリカ/106分
『愛・アマチュア』
1月18日(土)より新宿K'sシネマほかでロードショー
監督・脚本│ハル・ハートリー
出演│イザベル・ユペール、マーティン・ドノバン、エレナ・レーベンソン、ダミア・ヤング、チャック・モンゴメリー
配給│ジェイ・ブイ・ディー
1994年/アメリカ・イギリス・フランス/106分
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