MOVIE|反骨の芸術家に迫るドキュメンタリー『アイ・ウェイウェイは謝らない』
MOVIE|政府に挑み、アートを生み出してきたアイ・ウェイウェイに密着
反骨の芸術家に迫るドキュメンタリー『アイ・ウェイウェイは謝らない』
中国の現代美術家であり、反骨のアーティストとして知られるアイ・ウェイウェイ。彼の生き様に迫るドキュメンタリー『アイ・ウェイウェイは謝らない』が11月30日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかで全国公開される。
Text by YANAKA Tomomi
監督はフリージャーナリストでもあるアリソン・クレイマン
2008年に開催された北京オリンピックのメイン会場“鳥の巣”の設計にも携わるなど、アイ・ウェイウェイは中国を代表する現代美術家としてきわめて有名だ。2009年に森美術館で開かれた個展には、約46万人もの人が詰めかけた。多くの人の心を打つ作品を生み出すウェイウェイだが、自由な表現、そして真実を追い求めるゆえ、中国政府から現在大きな圧力を受けている。
そんなウェイウェイに、かつて中国で暮らしていたフリーのジャーナリストであり、ドキュメンタリー映画作家でもあるアリソン・クレイマンが、2年にわたり密着。ウェイウェイの人生と作品に迫り、インディペンデント映画の世界最大の祭典でもあるサンダンス国際映画祭で審査員特別賞などを受賞した、話題のドキュメンタリーが日本でも上映される。
作品のなかではウェイウェイの前衛的かつ、メッセージ性の強い作品を紹介。また母親や弟ら関係の深い人物たちのインタビューも収録した。ウェイウェイの父親で現代中国を代表する詩人艾青(アイ・チン)が遺した影響や、友人たちからはウェイウェイが1980年代のニューヨークでボヘミアン的に過ごした10年などが語られている。
襲撃、個展、軟禁――ウェイウェイに起こった出来事を目撃する
アイ・ウェイウェイは中国随一の著名な現代芸術家であると同時に、もっとも声高な自国批判者だ。1957年、北京の革命的な知的階級に生まれたウェイウェイの経歴はしばしば、現代中国史の流れと同調する。そして2008年、多くの人が亡くなった四川大地震のあとに開かれた北京オリンピックを糾弾したことで、彼は政府から危険分子と見なされるようになる。さらに、四川大地震での校舎倒壊と5000人以上の児童の死を独自に調査したことにより、中国政府との対立は決定的になった。
そして2008年12月。深夜に警察が急襲し、ウェイウェイは暴行を受け、脳外科の緊急手術を受けるほどの傷を負う。しかし、ウェイウェイは諦めない。地震で亡くなった児童たちのために、9000個もの通学カバンで作った感動的なインスタレーション『追悼』を発表したのだ。
その後も、2011年には自身の上海スタジオが取り壊され、81日間にわたり非合法的に身柄を拘束されるなど、弾圧を受けてきたウェイウェイ。政府に挑み、芸術を生み出してきた男の破天荒の生き様に、きっと私たちは魅了される。
『アイ・ウェイウェイは謝らない』
11月30日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー
監督・撮影・共同編集│アリソン・クレイマン
出演│アイ・ウェイウェイ
配給│キノフィルムズ
2012年/アメリカ/91分
http://www.aww-ayamaranai.com/