MOVIE|東京国際映画祭でグランプリを受賞した『もうひとりの息子』
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2015年4月6日

MOVIE|東京国際映画祭でグランプリを受賞した『もうひとりの息子』

MOVIE|紛争によって引き裂かれた国の子どもが、取り違えられていたら

未来を信じたくなる感動作『もうひとりの息子』

 

出生時に取り違えられたふたりの息子。ひとりはイスラエル、もうひとりはパレスチナ。その事実が明らかになったときふたつの家族は? 世界が希望を見い出した感動作『もうひとりの息子』。10月19日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開される。

Text by KUROMIYA Yuzu

実際におこりうるリアリティを追求

 

イスラエルとパレスチナ。たえず世界の紛争の火種となってきたこの両者の子どもが、もし取り違えられたとしたら、家族はいったいどうやってその試練を乗り越えていくのだろう。

世界がいまだ解決できない困難な問題を、家族という身近な問題としてとらえリアルに描き出したのは、フランスの女性監督ロレーヌ・レヴィ。準備段階だけでなく、撮影中にもイスラエル人やパレスチナ人スタッフの意見を日々取り入れ、感動的な家族の物語を完成させた。

イスラエル側の母親に、フランスでもっとも尊敬を集める女優のひとりであるエマニュエル・ドゥヴォス。その息子を、『ぼくセザール10歳半1m39cm』(2003年)で子役を務めたジュール・シトリュクが繊細に演じている。

本作最大の魅力は、イスラエル/パレスチナ問題にさまざまな問いを投げかけながらも、世界中のすべての人びとが共感しうる感動作である点。胸に抱くことができなかった息子への想いが溢れながらも、育てた子への愛情から理性的に振る舞おうとする母親たちの姿は、国も民族も宗教も関係なく心を揺さぶる。

 
もうひとりの息子 02

もうひとりの息子 04

もうひとりの息子 05

 

動揺するふたりの息子、葛藤する父、そして母は――

 

フランスからイスラエルに移住したユダヤ人の家族。ある日、ひとり息子が兵役用健康検査を受ける。そして残酷にも、その結果が証明したのは、息子が実の子ではないという信じ難い事実。出生時のハイファの病院で、パレスチナ人の赤ん坊と取り違えられていたのだ。やがてその事実は相手側の家族にも伝えられる。

アイデンティティを揺さぶられ、家族とはなにか、愛とはなにか、という問いに直面するふたつの家族。はたして、彼らは最後にどんな人生を選択するのだろうか。

昨年の東京国際映画祭では審査員のみならず観客からの反響も大きく、審査員全員一致のグランプリ、さらには最優秀監督賞もダブル受賞した本作。ふたりの母のつなぎあう手から息子たちの未来へ。国も民族も宗教も超える普遍的な感動作が誕生した。

 

 

『もうひとりの息子』

10月19日(土)より、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開

監督・脚本|ロレーヌ・レヴィ

製作|ヴィルジニー・ラコンブ、ラファエル・ベルドゥゴ

原案|ノアム・フィトゥッシ

出演|エマニュエル・ドゥヴォス、パスカル・エルベ、ジュール・シトリュク、マハディ・ダハビ、アリン・オマリ

配給|ムヴィオラ

101分/2012年/フランス映画/原題『Le fils de l'Autre』

http://www.moviola.jp/son/

© Rapsodie Production - Cité Films

           
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