MOVIE|名匠スティーヴン・ソダーバーグ“最後の劇場映画”『サイド・エフェクト』
MOVIE|名匠スティーヴン・ソダーバーグ、“最後の劇場映画”
新薬の副作用と男女をめぐる心理サスペンス『サイド・エフェクト』(1)
アメリカを代表する映画監督、スティーヴン・ソダーバーグの最新作にして“最後の劇場映画”。『サイド・エフェクト』が、9月6日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほかで全国公開される。
Text by YANAKA Tomomi
引退作品に華を添える豪華な俳優陣
わずか26歳のときに発表した長編デビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』(1989年)で、カンヌ国際映画祭パルムドールを史上最年少で受賞。さらに『トラフィック』(2000年)ではアカデミー賞監督賞に輝いた。名声に溺れることなく、『オーシャンズ』シリーズなど、実験的な野心作をつぎつぎに発表してきたスティーヴン・ソダーバーグ監督。
多くの映画人にリスペクトされるとともに、世界の注目を集めてきた異才は、本作を最後に劇場映画製作から降り、今後はテレビ作品等の製作に専念すると公言している。そんな彼が最後に生み出した作品は、うら若き美女が起こした異様な殺人事件をめぐる、ヒッチコック調の心理サスペンスだった。
“引退作品”に華を添えるのは豪華な俳優陣。主人公の精神科医バンクスを演じるのはジュード・ロウ。誠実なファミリーマンでありながら、ミステリアスな女性患者に魅せられていく精神科医の葛藤を、迫真の演技で表現している。いっぽう、バンクスを惑わせる“ファムファタール”エミリーに扮するのは、若手女優のルーニー・マーラ。さらにキャサリン・ゼタ=ジョーンズやチャニング・テイタムら、多彩な面々が脇を固める。
MOVIE|名匠スティーヴン・ソダーバーグ、“最後の劇場映画”
新薬の副作用と男女をめぐる心理サスペンス『サイド・エフェクト』(2)
副作用で夫を殺してしまう若き妻エミリー
最愛の夫マーティンがインサイダー取引で収監されたのをきっかけに、幸福の絶頂から絶望のどん底に突き落とされた28歳のエミリー・テイラー。その人生はマーティンの出所により好転するとおもわれていたが、夫の不在中にうつ病を発症させていたエミリーは、何度も自殺未遂を犯してしまう。
哀れなエミリーに同情した精神科医のバンクスは、「アブリクサ」という新薬を処方するが、薬の副作用によって夢遊病者となった彼女は、眠ったまま自宅でマーティンを殺害。主治医の責任を問われ、キャリアも家族との生活も失いかねない窮地に追い込まれたバンクス。独自の調査に乗り出し、このセンセーショナルな殺人事件の背後に渦巻く衝撃的な事実に迫っていく──。
ただ幸せを取り戻したい、悩める患者を救ってやりたいという切実な想い。そして、まったく動機が見当たらない殺人事件により強烈にねじれ、関係者やマスコミを巻き込みながら、事態は予想もつかない方向へと発展していく。セクシュアルな芳香を漂わせる、二転三転のミステリーから一瞬たりとも目が離せない。