松浦俊夫|五感を刺激する2012年のモダン・ミュージック
松浦俊夫|from TOKYO MOON 8月26日 オンエア
五感を刺激する2012年のモダン・ミュージック
日曜の夜、上質な音楽とともにゆったりと流れる自分だけの時間は、おとなたちの至福のとき。そんな時間をさらに豊かにするのが、DJ松浦俊夫によるラジオプログラム『TOKYO MOON』――。彼が世界中から選りすぐったすばらしい音楽や知的好奇心を刺激するおとなのためのトピックスを、毎週日曜日Inter FM 76.1MHzにて24時からオンエア。ここでは、毎週放送されたばかりのプログラムを振り返ります。今週は五感を刺激する最新のモダン・チューンをお届けしました。
Text by MATSUURA Toshio
五感を刺激する2012年のモダン・ミュージック
今回は、まもなく公開になる素晴らしい映画とドキュメンタリーの2作品をご紹介。さらに、レディオヘッドのプロデューサー、ナイジェル・ ゴッドリッチがあらたに立ち上げ、今秋デビューするバンド、ウルトライスタ(Ultraista)。彼らの楽曲を、11月に開催されるエレクトリック・ミュージックの祭典、エレクトラグライドに出演するフォーテットが手がけた話題のリミックスを先行独占オンエア。また、イギリス・リーズから、そのシネマティックで、ダブステップとジャズを融合した先鋭的なサウンドが話題となったデビュー作につづき、早くも発表されるサブモーション・オーケストラの新作から、ピアノと手拍子が印象的なジャジーなモダン・チューンなどを紹介しました。
REVIEW|TRACK LIST
01. Submotion Orchestra / Intro (P-Vine)
02. Ludovico Einaudi / Una mattina (Universal)
03. Nina Simone / Feeling Good (Philips)
04. Ultraista / Small Talk - Four Tet Remix (test)
05. Fur Coat / She's All Good (Crosstown Rebels)
06. The Wailers / Get Up Stand Up (Island)
07. Bob Marley & The Wailers / No Woman No Cry (Island)
夏の終わりに楽しみたい、良質の映画とドキュメンタリー
先日開催されたロンドン・オリンピックにおいて、ウサイン・ボルトを中心に陸上男子で圧倒的な力を見せつけたジャマイカ。開催国イギリスからの独立50周年に花を添えた感動的なシーンでした。
そして、ジャマイカを代表する音楽といえば、レゲエ。それを世界中に広める伝道師を務め、祖国の平和のために政治の領域まで踏み込んで活動をした伝説のアーティスト、ボブ・マーリー。わずか36歳という若さでこの世を去ってから30年あまり。初となるオフィシャル・ドキュメンタリーが、ついに我が国でも上映されることになりました。家族、友人、そして音楽的繋がりを持った人びとの証言と名曲の数々とともに振り返る、彼の偉大なる足跡と知られざるエピソード。
10代の終わりにクラブで初めて聴いた「No Woman No Cry」は、わたしが出合ったはじめてのレゲエでもありました。見終わったあと、改めて彼の作品を聴き直そうとおもわせてくれる、素晴らしいドキュメンタリー・フィルムでした。
『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』
9月1日(土)より、角川シネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷・吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー
監督|ケヴィン・マクドナルド
出演|ボブ・マーリー、リタ・マーリー、ジギー・マーリー、セデラ・マーリー、バニー・ウェイラー、ピーター・トッシュ、リー・ペリー、ジミー・クリフ、クリス・ブラックウェル他
エグゼクティブ・プロデューサー|ジギー・マーリー、クリス・ブラックウェル
2012年/アメリカ=イギリス/144分/カラー/1998×1080 1:1.85(FLAT)/5.1ch
原題|MARLEY/字幕翻訳|石田泰子/字幕監修|藤川毅、高橋瑞穂
後援|ジャマイカ大使館、ジャマイカ政府観光局
配給|角川映画 宣伝:ミラクルヴォイス
bobmarley-movie.jp
facebook.com/bobmarley.rootsoflegend
twitter.com/Bmarleymovie
『最強のふたり』
9月1日(土) より、TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、新宿武蔵野館他 全国順次公開
監督|エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ
キャスト|フランソワ・クリュゼ、オマール・シー他
http://saikyo-2.gaga.ne.jp/
実話にもとづいて作られた本作。フランス・パリに暮らし、事故が原因で首から下が全身麻痺となった大富豪が、アフリカからの移民を家族に持ち、スラム街で暮らす青年に介護を受けることからはじまる、まったく異なる環境に生きる男2人の友情物語。
こういったシリアスな境遇を描く際にありがちな、説教臭さや重々しさは影を潜め、フランス人らしくシニカルでコミカルなやり取りが笑いを誘い、そんななかでも問題点をしっかりと考えさせるあたりが、本国をはじめ、ヨーロッパ各国での驚異的な大ヒットに繋がったのだとおもいます。個人的には、“人と接する時に考えすぎないこと”。そして、“今の瞬間を精一杯生きること”。この2点をこの映画から考えさせられました。
そして、映画を観ている間ずっと気になっていた、大富豪のフリップを演じたフランソワ・クリュゼが、わたしがこの世界に入るきっかけの1つとなった映画、『ラウンドミッドナイト』で主人公のジャズマンを献身的に支える青年を演じた俳優だったとあとで知り、とてもうれしくおもいました。
松浦俊夫『TOKYO MOON』
毎週日曜日24:00~24:30 ON AIR
Inter FM 76.1MHz
『TOKYO MOON』へのメッセージはこちらまで
moon@interfm.jp
Inter FM 76.1MHz
www.interfm.co.jp