組織の内側からデザインする会社グッドパッチが考える「ニューノーマル」人材|LOUNGE
LOUNGE / FEATURES
2023年8月29日

組織の内側からデザインする会社グッドパッチが考える「ニューノーマル」人材|LOUNGE

Sponsored

LOUNGE|グッドパッチ

「デザインの力を証明する」をコーポレートミッションに掲げ、パートナー企業との戦略策定からグロースフェーズまでを一気通貫で行う株式会社グッドパッチ。
2020年には、デザイン会社として初めて株式市場への上場を果たした。

今回は、グッドパッチ社員でありながら上川町に移住をしたデザインリサーチャーの米田さん、KAMISORI WORX代表の吉本さんにインタビューを行った。
吉本さん(画像右)と米田さん(画像左)

次世代のリーダーに求められる資質は、個人としての強い想いを込めて行動する人間

ーーグッドパッチとして主催した、丸井グループの人材育成研修に同行取材をさせていただきました。「Why(なぜやるのか?)」をテーマに、研修地である北海道上川町のリーダーたちと交流する内容でした。アサインされたリーダーたちは単なる大企業の重役ではない個性的な方々。どのような意図で選ばれたのですか?
※研修プログラムの詳細は『人口3000人の町で丸井グループが行った若手の人材育成研修「NEW NORMAL CAMP」』
吉本さん:人物自体は上川町と協議して決めましたが、一言で言うといわゆる「自分が描くビジョンに突き進む人」をアサインしたかったんです。
今回の人材育成研修は「NEW NORMAL CAMP」というプログラム名です。ニューノーマル人材になるきっかけを、研修を通して参加者たちに与えることがミッションでした。
ニューノーマルという言葉自体は、新型コロナウイルス以降、生活やビジネスが新しい新常識へシフトすることを指す言葉です。ここで言う「ニューノーマル人材」は、会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)はもちろんのこと、それと同じくらい自分の価値観を大事にする人。そして、それによって会社の中で「新しい何か」を生み出せる人ですね。
研修時の様子
ーー会社が目指す方向も大事だが、個人の価値観も重要ということですか?
吉本さん:はい、その通りです。利益を追求するのが会社ですから、経済合理性をもとにした判断は重要です。ですが、これからは多様性の時代。お金だけで人を動かせる時代ではなくなると思っているんです。
様々な価値観を持っている人がいるんです。我々は多様化する時代に旧来のやり方では上手くいかないと思っていて、お金ではない何かで、人を巻き込む力を持つ人間が求められると考えているんです。
今回、研修参加者が交流したリーダーたちは、その力を持っている人たちなので、実際に体験することで学ぶ機会を与えました。
ーー米田さんはグッドパッチの社員でありながら、上川町に昨年移住をされたとお聞きしました。実際に上川町に住んでみて、吉本さんがおっしゃるような人が上川町に多いと感じましたか?
米田さん:とても多いと思います。だからこそ、今回のプログラム内容になりました。
実際に住んで感じた町の特色として寛容性の高さがあります。私自身、移住してきた外の人間ですが、初対面にもかかわらず町の方が親身になって接してくれるんです。外から入ってきた人に疎外感を与えない。そんな町なんです。
そして、自分がやりたいことを見つけて、周りを巻き込みながら推し進めることのできる人が多いこと。これは、先ほどの寛容性とも繋がっていて、自分のやりたいことをやろうとする人が許されるというか、新しいことをやろうとしたときに、これまでの町の慣習と違うからNoと反対しない環境がここにはあるんです。だから、同じような人が増えて、さらにやりやすくなる。そんないい循環が起きているんです。
町長をはじめとした町のリーダーたちのおかげだと思っています。
ここからは、人材育成研修に協力した上川町のリーダーの言葉から、特に印象的だったものを抜粋して紹介する。

役場を巻き込んで、やりたいことの実現のために部署を新設。上川町役場 地域未来創造担当 小知井和彦

上川町出身で高校卒業後、上川町役場に入職。各種観光施設や地元住民や観光客の交流スペース、移住プロジェクトなどの企画、立ち上げをこれまで主導してきた人物だ。
上川町役場 地域未来創造担当 係長の小知井さん
研修参加者とのトークセッションでこんな質問が上がった。
「私はこれまで住んでいる地域にそれほど想い入れはありませんでした。町を好きになるためにはどうすれば良いでしょうか?」
小知井さん:特別、町が好きかと言われたら、そんなことはないですね。
この町で生まれ、この町の役場に勤めている人物からそんな言葉が出たのだ。では、何を原動力に仕事に向き合っているのかという質問にこう続ける。
小知井さん:子どもの頃、自分はまともな人間ではなかったんです。ある時、母親に「役場に務めて人間としても落ち着いてくれ」と言われて、なんとなくで役場に入庁したくらいです。
入庁式の後、自分だけ偉い人間に呼ばれて、「お前ごときが役場で生きていけると思うなよ」と忠告されたんですよ。それが頭に来て、次の日にパーマをかけて役場に行ってやりました。役場をぶち壊してやろうと思って。その時の感情が、今もマインドの底にあるのかもしれないですね。
そこから始まり、役場でいろいろな業務に携わりました。今自分が担当する地域未来創造係は、はっきり言って何かをしてもいいし、何もしなくてもいい部署なんですよ。当然何もしないということはないですが、役場のこれまでの慣習から外れるようなことをしようと思ったら、そういう立場を作らなければ無理だと思ったんです。
元は些細な反発精神がきっかけだったのかもしれないが、それを原動力に自分が自由の力を発揮できる環境を役場を巻き込んで作ってしまったのだ。
彼が関わる町の取り組みは、昨年の実績が評価され、国の「令和4年度ふるさとづくり大賞」にて総務大臣表彰を受賞している。

10人が10人不可能だと言ったことこそ伸びしろがある。上川大雪酒造 塚原敏夫

大手証券会社、外資系保険会社、ヘッドハンティング会社などを経て、フレンチの巨匠 三國清三シェフとともにこの地にレストランを開業。その後も酒造やチーズ工房など新規事業を起ち上げ続ける塚原さん。
上川大雪酒造の塚原さん
この地で事業を立ち上げることになったきっかけは、ある時、三國シェフから「上川町という町からレストランを開業しないか?という話を貰ったので同郷の縁で立ち会わないか
?」という相談だったという。
当時、塚原さんは会社員。自分自身には無関係な話だと思い、軽はずみに賛同したところ、自分がオーナーになることになったと冗談交じりに語る。
当時、塚原さんのお子さんは幼く、お金も手もかかる時期。それでも資本金の30万円で法人を設立し、牛だらけの牧場だった場所に、レストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」をオープンさせる。
夏場は満席だったというが、冬季期間はあたりが雪に埋まり、隣接するため観光施設も休業。1年のうち8か月間は開店休業状態だったそうだ。
撤退を考え出した時期、また人の縁で日本酒を醸造する酒蔵を作ることを決意する。資金難の中、家族に内緒で解約した生命保険の返戻金を元出に上川大雪酒造を起ち上げた。
今では、上川大雪酒造の日本酒は、東京に持っていけば高値で取引されるほど評価されている。
上川町のふるさと納税の返礼品にもなっている上川大雪酒造の日本酒
彼がここまで成し遂げられた理由として、三つの理由を話してくれた。
塚原さん:一つは、ヘッドハンター時代に色々な人を見てきた経験。人生にはイベントがつきものです。結婚だったり、子どもが生まれたり。それを気にしすぎて、いつまでたっても動き出せない人をこれでもかというほど見てきました。やろうと思えば明日にだってできたのにやらずにチャンスを逃した人を。だから、レストラン立ち上げの時も、酒造をこの地に作ると決めた時も、一歩踏み出すことができたんです。
二つ目は、証券会社時代の経験。
酒造を上川町で作ろうと思ったときに相談した人、全員に反対されたんです。なんでそんな町で?なんで斜陽産業の日本酒を?と。
私は過去に証券マンだったので、値上がり幅がどのくらいあるか?で考える癖があるんです。10人中10人がダメだと言ったらゼロ。つまり上がり幅が10あることになります。これが、もし7人は賛成とかであればやらなかったと思いますね。上がり幅がたった3しかないわけですから。
元がゼロなわけだから少しでも成功すれば、それは価値を生み出せたということになる。だから挑戦しようと思いました。
最後は、「ポテンシャルがある」と言われるのが嫌いなこと。
この町に来た人が「この町は自然が豊かで、温泉もあって水も綺麗で、ポテンシャルを持っているよね」と話されると頭に来るんですよ。
私には、「ポテンシャルがあるのに努力をしていない」と言われているように感じてしまって。だからポテンシャルを潰すようにしているんです。
「上川町は水が綺麗なのにね」と言われたくないので、日本酒の酒蔵を作りました。「生乳が盛んな町なのにね」と言われたくないから、生乳を使った加工品を製造するチーズ工房を作りました。
そうやって、町が持っているポテンシャルを一つ一つ潰していくことを心がけてここまでやってきたんです。

今回の研修は弟子入りがコンセプト 実際に体験しないと伝わらないものがある

ーー上川町役場の小知井さん、塚原さん。同じく今回の研修に協力した社会福祉協議会で高齢者支援を行う馬場さんや、フリーの林業家として北海道内の森林整備をする足立さんなど、皆、経済合理性とは違う理由で行動し、周囲を巻き込んで活躍している方々でした。
米田さん​:私は、地域活性化起業人という制度で上川町にやってきたので、グッドパッチの業務もやりつつ、月の半分を役場業務に充てています。
頻繁に登庁するので、役場内のオープンスペースで談笑しながらミーティングする小知井さんをよく見かけます。温かい空気感の中でアイディアを出し合い、形にしていくんです。思い込みで持っていた「行政の人」のイメージとは全く違いました。
また、塚原さんには、今回の登壇にあたって事前の打ち合わせをさせていただきました。
その際に語られていた「自分のレストランや酒蔵の名前を売るのではなく、上川町自体を有名にして盛り上げれば、自然と恩恵として返ってくる。だから、そちらを優先したい。」というのが印象的でした。
自分本位の視点だけで動いていないんですよ。先を見通しているんです。
吉本さん:そうなんです。参加者たちには、そんなリーダーたちに直接触れ合うことで学んで貰いたかったんです。
儲かるからやるのではなく、自分が好きだから、こういう社会課題を解決したいからという、やる理由を体現している人物を。
そして、実際にこの地に来てもらうことも重要だったんです。変な話、オンラインでスライドを使いながら話してもらうこともできます、でも、それでは伝わらないと思うんです。
例えば、野球のイチロー選手が「僕は毎日素振りをしています」と言われても「ふん。すごいね」で終わってしまうと思うんですよ。でも実際に一緒に素振りをしたら「まだやるのかよ、やめてくれないとこっちがやめられないよ。どうして最後までこの眼差しで続けられるんだよ」と、忘れられない経験になる。
今回の研修は弟子入りがコンセプトの一つになっています。実際に彼らと一緒にやることによって、なぜやるのか?を本質的に学ぶことができる。だから、今回のプログラム内容になったんです。
なぜやるのか?を伝えて周囲を巻きこめるような人材が、これからの時代に活躍していくと考えています。
                      
Photo Gallery