人口3000人の町で丸井グループが行った人材育成研修「NEW NORMAL CAMP」|LOUNGE
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2023年8月29日

人口3000人の町で丸井グループが行った人材育成研修「NEW NORMAL CAMP」|LOUNGE

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LOUNGE|NEW NORMAL CAMP

丸井グループが若手社員を対象とした4泊5日の人材育成研修を行った。研修の舞台となったのは人口約3000人の北海道上川町。

そして、この研修を主催したのは、グッドパッチというデザイン会社である。なぜデザイン会社が研修プログラムを行うのか。なぜこの町を研修の舞台に選んだのか。
その理由とともに、同行取材をした研修プログラムの内容を紹介する。
この記事が、人材育成に悩んでいる経営者や管理職のヒントとなれば幸いだ。

表面的なスタイリングが「デザイン」という誤解

まず、なぜデザイン会社が人材育成を行うのか。という疑問を持った方は「デザイン」という言葉の意味を誤って理解している。
日本でデザインというワードで連想されがちなのは「表面的な装飾部分」だ。しかし、本来の意味に近い日本語は「設計」である。
デザインとは本来、目標設定・計画策定・アウトプットまでの一連のプロセスのことを指し、一般にイメージされる装飾部分は、アウトプットの一要素に過ぎない。
グッドパッチ公式サイトより
実際、グッドパッチでは戦略立案、プロダクト開発など多岐にわたる事業を展開しており、デザイン会社として初の上場を遂げた会社でもある。丸井グループとは、共同でジョイントベンチャー株式会社Muture(ミューチュア)を設立し、DX推進を戦略および戦術面から支援している。
今回の人材育成研修は、共同で取り組んでいる企業改革の一環で行われることになったもの。

自治体と企業の新しい連携の形を模索する北海道・上川町

上川町は、北海道の中心に位置する人口約3000人の町なのだが、数年前に東京事務所を設置し、業種を問わず民間企業との連携協定を数多く締結している。
一般に自治体が企業と連携協定を結ぶ場合、企業側が持つシステムやノウハウを提供してもらうために結ぶことが多い。
しかし、上川町は、企業と町の「共創」を目的に連携協定を進めている。
日本最大の山岳自然公園「大雪山国立公園」の北方部に位置し、町の大部分を国立公園が占める自然豊かな町、上川町。
少子高齢化により各自治体は、人口を増やすことに躍起になっている。全国的に人口減少が進んでいる状況でだ。結果、各自治体同士で人口の奪い合いをしている。
しかし、この町は、人口減少は避けられない現実であると考え、直接的な定住人口増加ではなく、町と関わる人間「関係人口」の創出に力を入れている。
町を企業の実証実験フィールドとして積極的に提供することで、上川町を起点として企業や人が繋がる仕組みを作ろうとしているのだ。
一例を挙げると、2021年に上川町はアパレル企業のコロンビアスポーツウェアジャパンと連携協定を締結。コンセプトショップを町内にオープンさせたかと思えば、ふるさと納税返礼品の共同開発、役場職員の制服制作など、自治体とは思えないスピード感で事業を進めている。
Columbia Field Store 黒岳ロープウェイ店
グッドパッチも、そんな上川町の連携企業の一つであり、昨年からは地域活性化起業人という制度を使い、上川町に自社の社員を派遣している。
今回グッドパッチ主催の人材育成研修に上川町が協力する形で本プログラムが実現したのだ。

町に関わるリーダーたち、多様な住民と触れ合う「NEW NORMAL CAMP」

このような繋がりを持って、実現した丸井グループの人材育成研修。行程は4泊5日でプログラムの大まかな流れは下記の通りだ。
本プログラム内容は、グッドパッチ社員にして上川町に移住をした米田さんが、実際に町で生活を送ってリサーチした内容を反映している。
グッドパッチの米田さん
各行程の中で、参加者たちは上川町に関わるリーダーの話を聞き、その仕事を実体験する。この研修に参加しなければ、人生で訪れることがなかったかもしれない土地で、普段の業務でまず関わることのないであろう人間と交流をするのだ。
上川町役場にて行われた開会式の様子

なぜやるのか?自ら実践し、周囲を巻き込むリーダーたち

上川町役場 地域未来創造係で、観光施設や移住プロジェクトなどの企画、立ち上げを主導する役場職員の小知井和彦さん。フレンチの巨匠、三國シェフと共にこの地にレストランを開業、その後も酒造やチーズ工房など事業を次々と起ち上げる上川大雪酒造の塚原敏夫さん。町の社会福祉協議会にて高齢者支援などを行う馬場隆行さん。フリーの林業家として北海道各地の森林整備を手がける足立成亮さんなどジャンルは様々だ。
共通しているのは、自分の価値観を行動の原動力にして活躍しているという点だ。単に彼らの講演を聞くだけではない。彼らの仕事を実体験する。
また、人生の先輩から教えを乞うだけではない。参加者よりもさらに人生経験の少ない上川町の高校生たちに、研修参加者が「働くとは何か」「なぜ自分が丸井グループで働いているのか」を言語化し、チームで発表する場も用意された。
上川町のリーダーたちと交流して感じたこと、自分の日々の業務で感じていることを言語化しアウトプットする。

人の心を動かすWhyを見つける

研修プログラムの最終日は「大振り返り会」と称した締めくくり。
リーダーたちとの交流によるインプット、高校生へのプレゼンというアウトプットを経て、研修で得た学びを、他の参加者に向けて発表する。
ファシリテーターを務めたのは、元グッドパッチ社員で、現在は独立してKAMISORI WORXの代表を務める吉本健太さん。
研修を振り返って、「明日から自分はこう変わります。というありきたりなパフォーマンスは不要です」と参加者に伝える。
「必要なのはWhy。良い問いを見つけることができたかが重要で、それが成長につながります」
研修参加者に配布された、しおりの1ページ目にもこう書かれている。
参加者たちが、今後人を束ねるポジションになった時、「How(どうやって?)」を伝えれば、ひとまずメンバーは作業をこなしてくれるだろう。しかし、それではメンバーが主体的に動くことはない。「why(なぜやるのか)」が浸透していないからだ。
多様化する社会の中でそれが欠如していれば、チームとしてモチベーションを維持することはできない。
本研修は、「why(なぜやるのか?)」を先頭に立って実践、周囲を巻き込んで邁進するリーダーと直接触れ合うことで、「人を巻き込む力」を体験することを目的としていた。
この人材育成研修は立候補制。参加者たちは、自らが望んで参加したとはいえ、すでに丸井グループの第一線で働く社員たちである。日々の業務を止めて4泊5日の研修に参加することを、当初「長い」と感じたかもしれない。しかし、彼らが今後30年40年働くうちの5日間とすれば、ほんのわずかな時間だ。
研修終了後に参加者に実施されたアンケートも一部紹介する。
アンケート内容は今後もこのプログラムを丸井グループにて実施すべきか否かというもの。
●    マインドセットやチームビルディング、成長の起点につながったので、ぜひ他の人にも上川町を体験して欲しい!!!と言うのが本音。 また5日間は長くも感じますが、すべてのプログラムあっての最終日だったので、これくらいの日程は必要に感じます。

●    対話についての理解が自分の中で深まった感覚があり、それは東京で合宿するのではなく、上川町で色々な角度から色々な方のお話しを聞き、インプット→対話→インプット→...のサイクルを回せたからだと考えています

●    私は、組織や環境などに貢献したいという気持ちが、前進し続けるためのモチベーションになっているため、さまざまな方の「Why」に触れられたことで、モチベーションリソースは人それぞれだと気付かされました。  このような自分の前提とは違った価値観に触れた時の疑問や違和感は自身の考え方や価値観の棚卸しをする機会になると思います
参加者の感想は総じて、今後も実施すべきという意見。本プログラムが自社や後輩たちのためになるとアンケートに回答した。
人材育成は一朝一夕で終わるものではない。
日々、問いを見つけ、なぜやるのかを自問自答しながら、成長していくことで「人を巻き込む力」が備わっていく。この5日間はあくまでも、きっかけ作りに過ぎないのだ。
参加者たちが、丸井グループ全体を巻き込むような人材に成長したとき、この研修が実を結ぶことになる。
                      
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