アートフェア東京2013|アジアン・アートの現在を体感する 「ディスカバー・アジア」
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2014年12月9日

アートフェア東京2013|アジアン・アートの現在を体感する 「ディスカバー・アジア」

ART FAIR TOKYO 2013|アートフェア東京2013

アジアン・アートの現在を体感する「ディスカバー・アジア」

3月22日(金)から3月24日(日)の3日間、東京国際フォーラムにて「アートフェア東京2013」が開催される。オウプナーズでこれまでお届けしていた本特集の最終回は、特別企画のひとつ「ディスカバー・アジア」にフォーカス。東アジアの現代アートを紹介するセクションとして好評を博した昨年に引きつづき、規模を拡大しておこなわれるこの企画から、アートフェア東京のエグゼクティブディレクター、金島隆弘氏に注目のアーティストを紹介してもらおう。

Text by KANESHIMA Takahiro(ART FAIR TOKYO)

「アピチャッポン・ウィーラセタクン」

《ブンミおじさんの森》でタイ映画初となるカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクンは、インスタレーション制作など、アートの分野でも世界的に活躍している映画監督です。

個人的な思考や社会的な問題を取り上げ、多元的で別次元へ浮遊するような作風で、「記憶」と「場所」についての作品を作りつづけています。とりわけ、記憶という消滅しつつあるもの、形を変えつつあるものを映像としてとどめるような表現活動をおこなっています。今回は、無機質な宇宙船を舞台に撮影した2面マルチ映像作品《FAITH》を上映します。

Apichatpong Weerasethakul

Apichatpong Weerasethakul/《FAITH》/2006年/HD, 2-channel video projection, stereo, Color/courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

「ジュン・グエン=ハツシバ」

Jun Nguyen-Hatsushiba

Jun Nguyen-Hatsushiba/《Survival-New History》/1998年/名刺、布/4 x 3m/Courtesy: Mizuma Art Gallery, Tokyo/ the artist/ミヅマアートギャラリー

日本人の母とベトナム人の父のあいだに生まれ、幼少期を日本で過ごしたのちアメリカで美術教育を受け、現在はさまざまな社会問題を間接的に表現した作品を数多く制作。ベトナムのホーチミン市を拠点に活動をつづけるアーティストです。

前回の横浜トリエンナーレでは、東日本大震災から再生しようとする日本へのエールともいえる作品を発表。ランナーにGPSを付け、彼らの走った軌跡で地図上にたくさんの桜の花を描くというプロジェクトを成功させました。この作品は、特別企画として日本経済新聞の本社2F、スペースニオにて開催されている「アートと遊ぼう」展で4月25日(木)までご覧いただけます。アートフェア東京の会場では、1998年に制作された4×3メートルの大きな布に大量の名刺を縫い付けた作品が展示されます。

「クスウィダナント・ジョンペット」

電子楽器、カメラ、パソコンなどの機器を用いてサウンド系のパフォーマンスをおこなうインドネシア出身のアーティストです。

インドネシアという国の歴史はとても複雑で、宗教的にも政治的にも多くの変遷がありました。そのため、文化的アイデンティティも多層的で変化がたえず、不安定な状況です。今回の展示でも使われる空洞の人形というアイディアは、常に変化しつづける身体、またインドネシアに影響を及ぼしている矛盾した二元的緊張関係を乗り越えるための戦略として、常にあたらしいリアリティを展開する必要性から生まれています。

Jompet Kuswidananto

Jompet Kuswidananto/《The Contingent #5》/2012/mixed media installation/variable size/courtesy of NANZUKA

「ナウィン・ラワンチャイクン&リクリット・ティラバーニャ」

n_r Navin RAWANCHAIKUL & Rirkrit TIRAVANIJA

Navin RAWANCHAIKUL & Rirkrit TIRAVANIJA/《CITIES ON THE MOVE 6, BANGKOK》/1999年/Acrylic on canvas/170x120cm/シュウゴアーツ

タイの古都チェンマイ出身のふたりのアーティストが1999年に共作した巨大なペインティングを展示します。ナウィン・ラワンチャイクンは、インド系移民の子としてタイに生まれ、現在は福岡とチェンマイやバンコクのあいだを行き来しつつ、作品を発表しています。

一方のリクリット・ティラバーニャは、1990年にニューヨークのギャラリーでパッタイ(タイ風焼きそば)を振る舞うパフォーマンスで注目を浴び、以来コミュニケーションを主体とする観客参加型のプロジェクトを多数展開し、あたらしいアートの概念を開拓してきた作家です。インドというバックグラウンドがありながら、タイ人であるという葛藤をもちつづけるナウィンと、ブエノスアイレスに生まれ、外交官の父とともにさまざまな国で育ち故郷タイとの関係性が希薄なリクリット。どこにいても自分は外国人である、という共通する意識をもったふたりが共作した力作に、ぜひご注目ください。

ほかにも、スペシャルビデオプログラムではサラリーマンコレクターの宮津大輔氏が所有するアジアのアーティストによる映像作品も特別に上映いたします。今年6月に開催される、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の日本代表作家に選ばれた田中功起の作品をはじめ、前出のジュン・グエン=ハツシバ、ホー・ツーニェン、志賀理江子ほか、「謳い、踊ること」をテーマに集められた、注目作家の作品が目白押しです。

アートは経済の発展と高い相関関係にあると言われていますが、近年、経済発展の目覚ましい東南アジアで活躍するアーティストの作品に触れ、そのエネルギーをぜひ体感していただきたいとおもいます。アジアの現代美術の現在を、会場にてご覧ください。

アートフェア東京2013
日程|3月22日(金)11:00~21:00
     3月23日(土)11:00~20:00
     3月24日(日)10:30~17:00
会場|東京国際フォーラム 地下2階 展示ホール
東京都千代田区丸の内3-5-1
料金|1-DAY パスポート 前売り 1500円/当日 2000円
     3-DAY パスポート 前売り 3000円/当日 3500円
     小学生以下無料(大人同伴) ※チケット販売は3月21日(木)まで
チケット取扱い|チケットぴあ(Pコード:765-549)、ローソンチケット(Lコード:34589)、セブンドリーム・ドットコム(セブンコード:020-844)、i.JTB(JTB商品番号:1-DAY 0233948、3-DAY 0233949)、イープラス(http://eplus.jp)、Voyagin English Ticket Service(http://www.govoyagin.com)

アートフェア東京実行委員会事務局
Tel. 03-5808-1451
http://artfairtokyo.com

           
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